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無自覚の病「双重の病」

王宗岳『太極拳論』で語られる「双重の病」は非常に重要である。

「偏が沈なれば即ち随し、双が重なれば即ち滞る。数年も純功あれど運化不能たる者を毎々に見るのは、概ね皆自ら人に制され、未だに双重の病を悟らぬためである」

これは太極拳に限った話ではなく、凡そ「双重の病」にかかると、動くことができない。

自分が「双重の病」にかかってないかどうか、常に眼を光らせておく。
これも非常に重要な稽古だ。

伝書は極めて重要な示唆をもたらすも、その重要性を悟るということも、長年の修行なくしてはできないことである。

多くの現代人にとっての「双重の病」とは、「両方が重い」というよりは、「重いも軽いもわかってない」状態である。
捉え方の不足により「双重の病」が常態化しているわけだ。

まずは「陰陽」「軽重」がわからなければならない。
これを教えるのが、指導者にとって重要な責務である。

重いものは重いと捉える。
軽いものは軽いと捉える。

陰は陰と捉える。
陽は陽と捉える。

有るものは有ると捉える。
無いものは無いと捉える。

かく捉えるべし。
これが最初の要決である。

王宗岳『太極拳論』を学ぶのに最適なテキストは、やはり銭育才『太極拳理論の要諦』がベストだ。

絶版で値段が高くなってしまっているが、まだマシなほうだろう。
本当に手に入らなくなる前に入手することを強くおすすめする。

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