中妻穣太:武研門

中妻穣太と申します。noteでは「武研門」での稽古の振り返りや、中国武術を中心とした武術についての考察を書き記していきたいと考えています。板橋区議会議員としての活動については: https://nakatsuma.jp

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    武術研究会「武研門」のマガジンです。

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    武研門の記事のうち、おすすめの本を紹介しているものです。

  • 林崎新夢想流居合

    板橋武研の研究の中でも、特に「林崎新夢想龍居合」に関する研究の紹介です。

最近の記事

武研門ホームページ正式公開 & 今後の記事は公式ブログに移行します

中妻の長年の研究成果を広くお届けする「武研門」の公式ホームページを公開しました! これに伴い、これまでnoteに書き留めてきた武術研究に関する記事は、今後は武研門公式ブログで公開します。 これまでのnoteの記事も、重要なものは順次公式ブログに転載していきます。 これまでnoteの記事をご覧くださった皆様、本当にありがとうございました。 これからはぜひ、武研門公式ブログをチェックしてください!

    • 孔子の宣う「天命」とは何か

      一昨日、53歳になった。 孔子は「五十にして天命を知る」と宣ったが、この「天命」という言葉は誤解されてるな、と感じるようになった。 「天命」を「ミッション」と考えるなら、私の天命は未だにさっぱりわからん😅 そんなものあるのか?という気すらする。 そうではなく、天命とはおそらく、単に「命」という意味だろう。 「ああ、自分はいずれ死ぬのだな」 という感覚。 単なる知識ではなく、自分の中からその感覚が生まれてくるのが五十、ということだろう。 まさにそうした感覚を味わうように

      • ブラジリアン柔術は「個別分断・各個撃破」の体系

        お盆期間中はアクティブな稽古は控えめにし、これまでの稽古の振り返りや今後の計画策定に充てている。 その一環として、これまでのブラジリアン柔術研究の途中経過を書いておく。 なぜブラジリアン柔術は強いか。 それは、「敵を個別分断し、各個撃破する」体系ゆえに強いのである。 日本や中国の伝統武術は、「身体をまとめる」ことを第一に置く。 站椿がその代表であろう。 例えば、同じ1㎥で同じ重さの石であっても、一枚岩を切り出した石とブロックを積み上げた石が衝突したら、どちらが勝つか

        • 「型稽古」だけでどこまで強くなれるか

          現在、稽古はブラジリアン柔術に大きなウェイトを置いているが、おかげさまで大変多くの勉強をさせていただいている。 また、これまでやってきた様々な武術…中国武術や日本剣術との関係性も朧げながら見えてきた。 中国武術や日本剣術の稽古は「型稽古」が中心になるが、「型」とはそもそも何か。 「型」とは、一言で言えば「過去の経験」である。 先人が試行錯誤する中で、「これは有効だ」と感じた経験が生まれる。 しかし、経験とは本来一回性のものであり、再現ができない。 それをなんとか後世に伝

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          「第六の指」で「握る」行為の質が変わる

          不肖非才の武術家たる私としては、ひたすら学び続け、一歩ずつ前進することしかできないが、その中で、自分自身で発見した要訣もある。 ・第六の指 ・ダメ社長理論 ・遊園地コーヒーカップ理論 などがあるが、今回は、最近思ったよりも重要だと感じている「第六の指」を解説する。 「第六の指」とは、両の手首の小指側にある固い突起のような骨「豆状骨」を指す。 これは文字通り「第六の指」だ。 おそらく進化の過程で、元々は指だったものが単なる突起に退化したと思われる。 最初に陸上進出した

          「第六の指」で「握る」行為の質が変わる

          「眼球に触れる練習」なんて、認めていいわけがない

          (目突き・金的などが許容されている某スパー会に参加している参加者が、他のスパー会にて目突きを繰り返し、ケガをさせた件を受けて) この件、もう絡みたくはないのだが… 健全な武術の発展のため、見過ごすわけにはいくまい。 「眼球に触れる練習」なんて、認めていいわけがない。 例えば銃の練習ならば、的を撃ったり、BB弾で模擬戦をやれば十分だ。 生身の人間を実弾で撃たなければ練習にならない、などという理屈は認められない。 私も、必要に応じて穿掌や弾脚を指導している。 穿掌を使う

          「眼球に触れる練習」なんて、認めていいわけがない

          流派の大河は絶えずして、しかももとの水にあらず

          山西派形意拳に伝わる套路「内功盤根」。 私も同じものを学んでいる。 おそらく、馮正宝先師が各地に伝えたものと思われる。 もう一度言うが、これは形意拳である。 「どう見ても八卦掌ちゃうの?」 などと言ってはいけない😅 形意拳と八卦掌はお互いに交流し、影響し合ってきたことは知られている。 おわかりと思うが、中国武術で「交流」というのは、バチバチやっているということである。 推測だが、形意拳は八卦掌に結構痛い目に遭わされているのではないか…と、思う。 そうなってくると、

          流派の大河は絶えずして、しかももとの水にあらず

          右回転? 左回転? (林崎新夢想流居合のミッシングリンク2)

          4/14の林崎新夢想流居合仙台稽古会で、礼法について質問した参加者がいらっしゃった。 最初の礼法時、「刀を3回回す」ということが定められている。 ある参加者が、これは「右回転」なのか「左回転」なのか、という質問をされた。 小山隆秀先生は「明確に定められてはいない」と答えられた。 ついては、誠に僭越ながら、私なりの見解を申し上げたい。 「右」と「左」には根源的な違いがある、というのが古流の基本である。 「右回転」を行うと、中心に集約されていく気が生じる。 「左回転」を

          右回転? 左回転? (林崎新夢想流居合のミッシングリンク2)

          ブラジリアン柔術の源流は津軽にあり…かもしれない

          本日の稽古は、林崎新夢想流居合とブラジリアン柔術。 前田光世も弘前出身なんだよな。 弘前とのご縁を感じる。 前田光世がグレイシーに伝えたのは、どのような柔術だったのだろうか。 基本的には講道館柔道のはずだが、2000戦無敗と言われる異種格闘技戦を勝ち抜く上では、講道館柔道そのままのスタイルではないだろう。 前田光世には津軽藩に伝わる柔術・本覚克己流を学んだ経験もあるとされる。 この本覚克己流もまた既に失伝しており、これを復元しようと取り組んでいるのが、やはり小山先生

          ブラジリアン柔術の源流は津軽にあり…かもしれない

          蛇は鷹を柔術で仕留めるーー他武術経験者のためのブラジリアン柔術練習法

          This snake has a black belt of Jiu Jitsu😊 銭育才『太極拳理論の要諦』の中で、孫子の「常山蛇」という兵法が紹介されている。 頭が打たれたら尾で応じ、尾が打たれたら頭で応じ、胴を打たれたら頭と尾の両方で応じる。 銭育才は太極拳の要訣としてこれを紹介しているが、この常山蛇こそブラジリアン柔術の特徴を最もよく表している。 私としては、ブラジリアン柔術は「蛇の身体観」だと捉えている。 蛇に準えた流派は中国武術の中にもあるが、ブラジリアン

          蛇は鷹を柔術で仕留めるーー他武術経験者のためのブラジリアン柔術練習法

          「立つ・座る」の研究(林崎新夢想流居合のミッシングリンク1)

          では林崎新夢想流居合における「ミッシングリンク」を埋める「ピース」を提案していきたい。 (教伝されたものをただ紹介することはしない。それはぜひ、弘前稽古会か埼玉稽古会で学んでいただきたい) まず私が「今すぐ解決しなければならない」と感じたのは「立ち・座り」の問題である。 林崎新夢想流居合の最初のハードルは「ひたすら立つ・しゃがむを繰り返すことになる」という点だ。 そのため、小山隆秀先生も「林崎は疲れるもの」と認識しており、同道した指導者も、数回「押立(一本目)」をやっただ

          「立つ・座る」の研究(林崎新夢想流居合のミッシングリンク1)

          仙台稽古会終了! 林崎新夢想流居合・卜伝流剣術

          2日間に渡る、小山隆秀先生主催の林崎新夢想流居合・卜伝流剣術仙台稽古会終了。 あまりに多くの「宝」をいただいた。 小山先生、および指導者の皆様に心より感謝申し上げたい。 また、埼玉稽古会に出席したご縁により、さらなるご縁を預かる形ともなった。 武縁こそ最も得難き宝である。 今回得られた「宝」についての記事をさっそく書いていきたいのはやまやまだが、これがもうあまりに多すぎて、noteの記事5〜6本で済むかどうかというくらいである。 導入として、林崎新夢想流居合の現状と、

          仙台稽古会終了! 林崎新夢想流居合・卜伝流剣術

          日本剣術の最重要要訣「浮き」

          「浮き」という言葉。 甲野善紀先生はよくおっしゃる。 「浮き」とは何か。 これは、日本剣術の最重要要訣のひとつだ。 刀を主とし、刀に従う。 こうすると、自分の存在が薄くなり、身体が軽くなる。 この状態を「浮きがかかった状態」と呼ぶ。 私はいくつかの日本剣術流派の指導を受けたが、共通しているのは「浮き」だ。 流派の指導として「浮き」という言葉を使うとは限らないが、自ずと「浮き」を使う形となっている。 例えば先日紹介したオリジナル練功法「兎突」だが、これも「浮き」を使って

          日本剣術の最重要要訣「浮き」

          ホワイドンチュードゥ林崎新夢想流居合!

          本日の林崎新夢想流居合埼玉稽古会終了。 私が稽古した向身はまだ5本目だが、今日は右身5本を稽古した。 なるほど、三尺三寸とは刀であると同時に、杖であり、槍であり、さらに鞘も使える万能武器というわけだ。 林崎は本当にいい! 激推しである。 本日はたまたまだが、山形で庄内藩伝の林崎をやっていたという方が見学に来た。 埼玉稽古会のやっている弘前藩伝とは細部が異なるものの、その方の動きは明らかにかなり稽古を積んだ風格で、私も勉強させていただいた。 ただその方曰く、自分の地元で

          ホワイドンチュードゥ林崎新夢想流居合!

          行こう。「しんどくない世界」へ

          武術の稽古をする上で 「しんどいか、しんどくないか」 という判断基準は、いいかもしれない。 王向斎の言葉 「一用力便是錯(少しでも力を使ったら間違いである)」 は、こう言い換えることもできる。 「少しでもしんどければ間違いである」。 見よ、この王向斎のめっちゃ楽しそうな顔を😊 ただし、「しんどい世界」に向き合わなければ「しんどくない世界」には行けない。 「しんどい」と感じるということは、そこが「際」であるということだ。 稽古をしてない状態では、「際」を観ていな

          行こう。「しんどくない世界」へ

          「十路弾腿がしんどくない世界」に行かなければならない

          弾腿は間違いなくおすすめできる。 中国北派武術をやってて迷ったら、ここに戻ればよい。 最初はしんどい。 十路弾腿を通してやるなどとてもできない…と昔は思ったものだ。 しかし、これを「しんどくなくやれる」ようになる必要があるのだ。 これは、自分の中で「転換」が起こらないと、どれだけ繰り返しても「しんどくない世界」には行けない。 とにかく繰り返していればいずれできるようになる、という考えは、間違いである。 ここにもっと早く気づきたかったものだ…と私も痛感する。 「転換

          「十路弾腿がしんどくない世界」に行かなければならない