見出し画像

大きいイチゴ

よく見かけるイチゴは、円錐型である。
クリスマスの2日前、SNSに投稿されていた記事に載っていたイチゴは、先端まで丸く大きく育ったものだった。写真では、普通のイチゴの2倍近く大きく見えた。クリスマス商戦に合わせて育てられたイチゴなのだろう。通常サイズで出荷せずに、たとえ大きくなりすぎてもクリスマスに合わせて販売する方が、売れるのに違いない。

同じ日、私もスーパーに買い物に行った。クリスマスケーキに飾るイチゴを買わなくてはならない。果物コーナーに足を運んだ。よく見える平台には、1パック980円のイチゴがあった。粒が揃い、パックの中できちんと並べられている。
今日は1種類しかないのかな、と思って、売り場を見渡す。少し離れた棚の隅にイチゴの鮮やかな赤色が目に入った。私と家族は、その棚に移動する。その棚には、2種類のイチゴがあった。数の少ない小さめのパックのものと、ケーキには大きすぎるイチゴのパックだった。どちらも498円。イチゴは大きくなりすぎると、同じ大きさのパックでも半額程度になるのだ。

クリスマスケーキには、丸々1粒のイチゴが並んでいるとうれしい。イチゴが好きな私が、一粒をかぶりつく瞬間はとても幸せな時の1つだ。けれども、その日選んだイチゴは大きく丸いイチゴだった。大きいイチゴは、半分に切られてケーキに飾られた。イチゴの断面の白と薄桃色が艶やかに光って、美しい絵画のようだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?