雑感107 塩むすび
家に体調不良の人がいるので、いつでも起きた時に食べられるようにと、おにぎりを作った。かつお節と梅干しを漬けてできた赤紫蘇を混ぜたもの、塩昆布の二種類を作った。形は俵型、と言いたいところだが、わたしの俵型は中央がふくらんでいるので、樽型といったところか。
俵型のおにぎりを作れるようになったのは、数年前である。ずっと三角のおにぎりで通してきたところ、本当に美味しそうなおにぎりを作る人がいて、その写真に憧れてから練習したのだった。もっと俵に近い形にするべきかとも思いながらも、樽っぽい形で落ち着いている。
そして、わたしにはもう一つ、作りたいおにぎりがある。それは、塩むすびを作ること。わたしの祖母は、手のひらに水をつけ、塩をつまんで広げ、熱いご飯をほっほっほっと握る人であった。真似をしてみたが、塩加減が難しい。水に溶けてしまったのかと、ご飯に混ぜてみたりもしたが、味がぼやけてしまう。
塩むすびができないがために、具を混ぜるおにぎりしか家族には出していない。それでもおにぎりは好評で、体調が悪い時に食べさせるアイテムになっている。
でも、本当に体調が悪い時はもちろん、一番ほっとできるおにぎりは塩むすびなのではないかと思っている。過剰な足し算のないものが、身体をシンプルに整えるような気がするのだ。祖母のような塩むすびを作るのが、わたしの秘かな抱負である。今年中にできますように。
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