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2022年 16冊目『オートポイエーシス』

ウンベルト・マトゥラーナとフランシスコ・ヴァレラの著書です。
松岡正剛さんの塾に通っているのですが課題図書です。

松岡さんが驚いたのは、「オートポイエーシスとしてのシステム」を自律的で自己言及的で自己構成的なシステムは閉鎖系であると言い出した。

なぜ閉鎖系なのか。
オートポイエーシス・システムの特徴
① 自律性
② 個体性
③ 境界の自己決定
④ 入力も出力もない。
①から③は、開放系でもありえる。
④の入力も出力もないなら閉鎖系であろう。

生物は入力と出力をしている(食物を摂取し排泄していることも新陳代謝をしている)?

オートポイエーシス理論にとっての重要な規定:ニューロン・ネットワークは、どの部分をとっても内部も外部もないということ、つまりは入力も出力もしていないということ、いいかえればニューロン・ネットワークはどの部分にも原因をもたず、そのシステムはシステム自体の作動をもってすべての特徴としている。

→ニューロン・ネットワークは閉鎖的に自律している。
ニューロンの特性、その内的構造、形態、相対的位置が、神経システムの連接を規定し、神経システムを相互作用するニューロンの動的ネットワークとして構成する。

ニューロンの特性が有機体の個体発生とともに変化する時に、この特性はニューロンの内的規定と神経システムの構成素としての相互作用の結果とに依存するので、神経システムの連接は有機体の個体発生とともに再帰的に選択されて変化する。

神経システムの連接は、それを構成するニューロンを通じて、それ自体が統合する有機体のオートポイエーシスに動的に従属する。
システムの作動という点では、神経システムは相互作用しあっているニューロンの閉鎖的ネットワークである。

つまりニューロン・ネットワークとしての神経システムには、内部も外部も存在しない。

神経システムの状態変化の起源という点で、内的原因と外的原因の区別が成り立つのは、有機体を単位体(ユニティ)としてとらえ、境界を特定することによって内部と外部を定義する観察者にとってだけである。

神経システムは関係とだけ相互作用する。

著者は「生命システムは有機的な機械だ」とみなした。

オートポイエーシス・システムとはオートポイエティック・マシンシステムだったのだ。

フランシスコ・ヴァレラが1974年につくった「オートポイエーシス」のモデル
ひとつひとつの要素は、隣の要素と相互作用するだけであるが、全体的に内側と外側を分けるような不思議なふるまいが現れる。

オートポイエーシスという概念
アリストテレスが設定した認識学習と行為表現のための重要な3つのスコープ「テオリア・プラクシス・ポイエーシス」のうちのポイエーシスに注目。
そこにオートがくっついた。

1テオリア(teoria):「観察・観相・認識」
2プラクシス(praxis):「実践・行動・実行」
3ポイエーシス:「制作・生産・創作」
→ポイエーシスにオートがくっついたオートポイエーシス:自己制作性とか自律的制作性

アリストテレスにとって、ポイエーシスはテクネー(技)やアルス(芸)がかかわるすべてのことをさしている。制作・生産・創作のすべてがポイエーシス。

オートポイエーシス理論がもつ自己言及性の可能性に注目が集まった
→閉鎖系であるとしたばあいのメリットである自己言及性にルーマンが着目した。
→自己言及する個体こそが個体の独自性だということに突如として気がついた。
個体が個体であるのはそこに自己言及があるからで、社会が社会であるのはそこに自己言及が前提とされているからだということに気がついた。

→生命や社会は自己言及システムの特別な一例だと考えた。
 自律的システムの理論:生命系はどのような自律性をもってそのシステムを調整しているのかを説明するための理論。
 生命系は物質系や機械系とちがって、自己修正や自己調整を自律的にするシステムをもっている。
 第一世代のシステム論は「動的平衡システム」

→有機体は外部の環境と物質代謝やエネルギー代謝で自己を維持しているシステム。

→環境条件がかなり変動しても、この自己維持はなかなか壊れない。

→動的平衡システムとしての生命系は、入力と出力の流れのなかで「ゆらぎ」を解消しながら自己維持するシステム。

→「ホメオスタシス」(homeostasis):有機体にそなわっている恒常性の維持という機能。

→ベルタランフィはそのような階層が多階層になっていることに気がついて、その各層ごとにオーガニズムが機能しているとみなした。

→第一世代のシステム論は動的平衡を保つためのオーガニズムに関する理論と階層間を関係づける理論とを組み合わせるという方向に進んでいく
 第二世代のシステム論は「動的非平衡システム」

→物質代謝とエネルギー代謝をしながら、システムの形成を通じて周辺条件を有利に変えていく開放系。

→階層生成論;階層は自律的に生成される。
1前成説:当初から微妙なかたちで潜在していた
2後成説:生成のプロセスのなかで徐々に秩序だったものに形成されていった

→エピジェネティック・ランドスケープ」(後成的風景)
→生成のプロセスが進むことを「カナリゼーション」(運河化)
→生成のプロセスの階層的な飛躍「相転移」がおこることと、生物たちが「自己の境界」を絶妙に変動させていくことを説明しきれなかった。
→自己組織化現象が熱力学的な平衡状態から隔たった非平衡な開放系でおこる。

・開放系というのはシステムがエネルギーの流れにさらされているということを示す。そこでは大エントロピーの増大に反して、「負のエントロピーを食べる」(シュレーディンガー)というような秩序の形成がおこる。←システム内部の「ゆらぎ」(fluctuation)を動因

相転移がおこっているときには分子間に協調的なシナジーが動いている。

「ハイパーサイクル」の発見を通して自己触媒システムが作動している。
階層が安定しているとき、生成のプロセスの産物そのものが生成プロセスを自己触媒的に調整しうるというのがハイパーサイクルで、ここでは自己複製的な構成素の自己とシステム全体の自己とが重なってきて、そのことが階層分化を促している。

自己組織化理論は、
「ゆらぎ」によって新たな秩序の形成がおこる
階層は自己生成されている
そのようなことが可能になる自己の境界の決定には非平衡開放系という状態が関与
→太陽系地球に生じた生命系がおこなっている自律的システムの特色を
 第三世代のシステム論が「オートポイエーシス・システム」。
システムを自己決定しているシステムだ。
→みずからの構成素と相互作用しながら作動する自己言及システム、
→そのように作動することでみずからの構成素を次々に産出しているシステム。

第一世代や第二世代のシステム論との違い。
1オートポイエーシス・システムは産出するプロセスだから、階層をつくる必要がない。

2オートポイエーシスが自己言及しているということは、同義反復によってシステムを作動させている。→自己が自己を生んでいる自己創出システム。

3空間や時間に煩わされていない。
→空間条件や時間条件すらシステムの産出プロセスが自己決定してしまう。
オートポイエーシス理論は機械的決定論なのである。

→タンパク質や核酸ではなくて、もしも鉄のイオン交換を用いてオートポイエーシスが成立するのなら、そこに別個の構造をもち別個の産出プロセスをもつ有機体が成立したっていいと判断する。

→「創発」(emergence)とは何かについての新しい示唆をもたらそうとしている。

→動的平衡を前提とする第一世代のシステム理論では、創発は稀な偶然→システム全体が組み替わってしまうような構造転換におよぶ→動的平衡を前提とする第一世代のシステム理論では、創発は稀な偶然→システム全体が組み替わってしまうような構造転換におよぶ

→動的非平衡の第二世代のシステム理論では、システムがもつ取り除くことのできない「ゆらぎ」そのものがシステムの創発をもたらすと考えられた。それを自己組織化とよんだ。それを自己組織化とよんだ。

→第三世代のオートポイエーシス理論では、創発そのものがシステムの本質。創発は新たな発現なのではなくて、自己創発システム。→第三世代のオートポイエーシス理論では、創発そのものがシステムの本質。創発は新たな発現なのではなくて、自己創発システム。

→第三世代のオートポイエーシス理論では、創発そのものがシステムの本質。創発は新たな発現なのではなくて、自己創発システム。


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