見出し画像

2016年 81冊目『大統領の演説』

ハーバード大を卒業したタレントのパックンことパトリック ハーランさんの本です。

アメリカ人がスピーチ上手なのは、技術を学び、練習を重ね、実践を繰り返しているから。

スピーチが上手いと、それだけで頭がよく見えるし、味方が増えるし、好感度が上がります。

そして、大統領のスピーチにはそのエッセンスが詰まっているのです!
とあります。

ルーズベルト、ケネディ、レーガン、オバマそして今回の選挙戦のヒラリー、トランプ、サンダースなどが取り上げられています。

大統領のスピーチのコツを学ぶことで、人前で話すコツを掴めますと言うのが本のテーマです。

基本的な構造はアリストテレスが弁論術でまとめた「説得の3要素」が重要だと言うことです。

各大統領の著名なスピーチをこの3つの観点で評価しています。

ちなみに3要素は、エトス、パトス、ロゴス。

エトスは話者の信頼性を高める要素。

パトスは感情に働きかける要素。

ロゴスは知性に訴えかける要素です。

・エトスは、共通の価値観やキーワードを入れる。
個人の経験や思いを語る。立場や語る根拠を示す。
自分にあった話し方を考える。ユーモアを入れる。など
 
ちなみにアメリカ人の共通の価値観は「宗教」「戦争」「憲法」「神」だそうです。

・パトスは、愛国心を煽る。子供、弱者への同情を促す。不公平やずるさ、非道徳な怒りをあらわにする。英雄の誇らしさを想起させる。

・ロゴスは、簡潔明瞭。対象法。3つの言葉。韻を踏む。列挙など。
が基本的なテクニックです。

名スピーチの5つのポイントは次のようにまとめることが出来ます。
①シンプル
②短い
③ビジョンの大きさ
④サウンドバイト:印象的なフレーズ
⑤耳に入った時の心地よさ

いくつか参考にしたい文章を書いておきます。
・トーマス・ジェファーソンの就任演説
 We are all Republicans. We are all Federalists.

 ・ケネディの有名なフレーズ
 Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.

・レーガンのベルリン訪問
 Mr. Gorbachev, Tear down this wall.

・レーガンのチャレンジャー号事故追悼演説の冒頭
 Nancy and I are pained to the core by the tragedy of the shuttle Challenger. They, the Challenger Seven, were aware of the dangers, but overcame them and did their jobs brilliantly.

・ルーズベルトの真珠湾攻撃の冒頭
 Yesterday, December 7th, 1941 - a date which will live in infamy - the United States of America was suddenly and deliberately attacked by naval and air forces of the Empire of Japan.

・ヒラリーの女性問題についての当事者意識が分かる一言
 Woman's rights are human rights.

・トランプの少女があなたはこの国を守るために何をしてくれますか?への回答
 You know what, darling? You are not going to be scared anymore. They are going to be scared. We have to attack much stronger. We have to be more vigilant. We have to be much tougher. We have to be much smarter.

・サンダースの数字を示した問題点
 There is something profoundly wrong when the top one-tenth of 1 percent owns almost as much wealth as the bottom 90 percent, and when 99 percent of all new income goes to the top 1 percent.
残りは長文解説なので全部書きませんが、オバマの広島訪問など参考になるのがたくさんで載っています。
興味があれば読んでみて下さい。

▼前回のブックレビューです。

▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?