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2022年 36冊目『中村天風伝Ⅱ ヨーガに生きる』

とても良い本でした。
UNIPOSの松島 稔 さんに紹介してもらいました。
この本自身は中村さんの事を著者が書いた本です。
あまりに興味を持ったので、中村さんご自身の本も購入して読みだしています。

中村天風さんは、若くから文武両道で優秀な人物でした。
頭も良く、身体も強く、その才能は戦争でのスパイ活動でも生かされました。
しかし、敵に捕まり、死刑を言い渡されます。
刑を執行される直前に、仲間が手りゅう弾を投げ込み、死の寸前に助かります。
まだ、20歳前後の事です。

その後、幸運なことに海外で医学を学ぶ機会を得ます。
ところが、今度は肺結核になるのです。
当時、肺結核は不治の病でした。
日本国中、海外も回りましたが、だめでした。
失意の中、日本に帰ろうとした時に、カリアッパ師に出会うのです。

師の私についてきなさいという言葉に、なぜか、はいと答えるのです。
師はヨーガの第一人者で、インドで師のもとで多くの人が一緒に生活をしながら学んでいます。
そして、中村天風さんは、そこで2年以上学びます。
しかし、当初は何も教えて貰えません。
それは、後から分かるのですが、学ぶ状態になっていなかったのです。
つまり器の中に、不要なものがたくさん入っていて
そこに新たな良い水をいれようとしても入らないからです。

不要なものとは、現状に対する不平や不満や不安など否定的な気持ちです。
否定的な気持ちがあると、それが精神や身体を病ませるのです。
病気であることは事実かもしれません。
不安であることも事実かもしれません。
痛い事も事実であるかもしれません。

しかし、それをどのように解釈するのかは、本人しだいです。
生きているから、不安である。
それを有難いと思える。
そんな体験を過ごすうちに、滝の爆音のもとでも鳥の声や虫の羽音や、最終的には虫の歩く感覚まで把握できるようになります。

師と一緒にヨーガの修練を過ごすうちに、精神が変わり、とうとう病気も治るのです。
実際、中村天風さんは、高齢まで生きられたのです。
同じ現実を見ても、前向きに捉えられる。
そして、それが全ての幸せにつながる
類似の事を考えて、日々過ごしています。
その方向性は良い事だったと再確認できました。
まだまだ、ここで書かれたような域とは程遠いですが、日々考え続けようと思った本でした。

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