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2015年 26冊目『マクドナルド失敗の本質』

法政大学教授の小川さんと言う方の書かれた本です。

大学の授業でマクドナルドについて成功ビジネスケースとして取り上げられていた方で、昨今のマクドナルドの迷走ぶりについて、開示されている情報を中心に分析しています。

帯に「賞味期限切れのビジネスモデル 2011年の最高益から170億円の赤字転落へ、原田泳幸が陥った戦略の罠」とあります。

お会いした事はありませんが、原田さんはサラリーマン経営者の最高峰の1人ではないかと思っていますので、この本を手に取りました。

孫さん、三木谷さん、柳井さんのような創業経営者で有名な方は沢山いらっしゃいます。

経営のプロとしてアップル、マクドナルド、そして現在のベネッセと渡り歩かれているのは凄いなと思っています。

創業者である前任の藤田さんの最後の10年間と原田さんが在任した10年間の業績カーブがよく似ています。

最初の7年間大きく業績を伸ばし、最後の3年間業績を落として後進に譲っています。

マクドナルド事業はいわゆる食べ物を売る事業とFCとしてロイヤルティーを得る事業の2つからなります。

日本マクドナルドは、国内のFC店からロイヤルティーを徴収するのと同時にアメリカ本国にロイヤルティーを支払う関係性になります。

前任の藤田さん時代は、直営店で、日本独自の商品を低価格で提供することで、他のファーストフード店を凌駕しました。

しかし、最後の3年は低価格戦略ではお客様が来なくなり、失速しました。

原田さん時代は、国内での商品開発ではなく、グローバルで成功している商品、例えばプレミアムコーヒー、ビッグアメリカンシリーズを導入し、かつFC化を進め、業績を向上させます。しかし、後半は魅力的な商品開発ができず、失速してしまいます。

また、不幸なことに顧客満足度調査や覆面調査のデータに不具合が発覚するのもこの時期でした。

従来、これらのデータと売り上げに相関があったものがなくなっていたのです。理由はデータよりも、取集方法にあったようです。覆面調査の際に、店に行く日程を事前に告知するようになっていたのです。

同時に、頻繁なオペレーションの変更、新商品の投入、採用難によるスタッフの量、質の低下などが重なり、店舗のクリンネスや笑顔なども消えて行ったそうです。

以前だと、高校生が仕事の基本やチームワークなどを学んだ憧れの職場が、一般の職場になってしまったのです。

色々書いてあるのですが、やや後知恵っぽいなと思ったのが正直な感想です。

藤田さん、原田さんお二人の業績カーブの類似点を見つけて、それに驚き、無理やりそれを説明するために、データや情報を集めた感じがあります。

同社にとって知らなかった情報も多く、調査はきちんとされているのですが、分析・考察は甘いかなと言う感想です。

ただ、原田さんはどうすべきだったかについて、業績が良くなった間に、新商品を開発し、基本的なクリンネスやサービスを磨くべきだったと言うのはその通りだったと思います。

恐らく、手は打っていたのですが、それがうまくいかなかったと言うことだとは、思います。

経営者は結果なので、そのように書かれるのは仕方ないかなと思いました。

あまり、納得感の高い本ではありませんでした。

▼前回のブックレビューです。

▼PIVOTに出演しました。よかったらご覧ください。


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