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映画『ルックバック』ネタバレ感想

※別記事の埋め込み用

実は前半の方が泣き所多い作品だよね。人によるとは思うけど。
天才だと持て囃される気持ちよさ、負けん気から生じるエネルギー、上を行く存在にへし折られる辛さ、そして――「認めている人に認めてもらう」最高さ。結末を知っていると京本が出てくるだけでちょっと泣けるのも追加で。
創作をする人全てに刺さる作品だとかあれこれ言われていたが、まあ言いたいことはわかる。ただTwitter(現・X)の作品批評は概ねバズりたくて強い言葉を使っていることが多く、過大評価だろと言いたくもなる。この作品に対してとかじゃなくて。この作品についても、まあ正直言われているほどか……? と思ってしまっていたのは事実だけれど。本当に教養がないので本当に藤本タツキ作品と合わない(2回目)。
映画そのものに対しては、BLUE GIANTの後に見るものじゃなかったなと思う。BGが動ならルックバックはかなり静で、インパクトに欠けるように感じてしまった。ただそれは、作中に描かれる雪国の静けさのような気もしており、それならはらりと部屋に舞い降ちる4コマ漫画は雪解けと春の訪れを教えてくれる花びらなのかもしれない。
原作より希望的だという感想を見たが、同意だ。エンディングのレクイエムを含めて、原作の持つメッセージ性を強化している。だが、原作未読の完全初見である恋人が「京本が死んだのが悲しすぎてその印象しかない、ただただ悲しい気持ちになった」と述べていて、そのほの明るさ故に、少しだけ話をわかりづらくしてしまっているのかも、と考えさせられた。確かに文脈がわかっていないと……例の事件が関連していることを踏襲していないと、あまりにも理不尽な死で、それでも前を向こう、と明るく言われても……という気持ちになるのかもしれない。キャプションのない映画はこういうとき不利だ。だが理不尽だからこそ現実的で、物語的都合が排除されているとも言えよう。たとえば、物事が上手く行きそうなときの関係者の交通事故、なんかは完全に作者の手が運命を設定しているので。でもど~~~~~~~~~だろ、個人的にどちらが好きかと言われたときに、後者かな、普通に。小説よりも奇で悲な事実って、心が受け入れてくれない。
書いていて思ったが埋め込み先にも書いた通りこの映画自体をテクストとして捉えるかどうかなのでは。自伝的作品である以上どうしても作者と切り離せない感じがする。恋人も終わった後に色々感想検索してようやく納得してたし。作品単体で完結させるにはあまりにも文脈モリモリだ。
あと、俳優さんが上手すぎる。宮崎駿監督のよく言う、声優の不自然さ、みたいなのがやっと体感できた気がする。声優の味付けが濃い演技も私は愛しているが(声豚寄りなので)、この作品には、自然で本当に居そうな俳優さんたちの演技がばっちりハマっていて、幼少期から通して演じているのに違和感もなく、素晴らしかった。

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