いい加減な舌

 セブンイレブンのコーヒーが一番美味い。二番目にドトールのコーヒーで三番目にネスカフェドルチェグストのローストブレンドだ。どれも毎日飲んでも飽きない。実際にどれかは毎日飲んでいる。

 もともとコーヒーは好きだが、味の違いを楽しむという飲み方はしてこなかった。ただ気持ちの切り替えに出勤前や休み時間に飲むのが日課になっていっただけだ。

 先日みんなが集まる場所でコーヒーが出された。僕は一口飲んでどこか違和感を感じた。癖があるというか、美味いのか不味いのかよくわからない味だった。
 すると誰かが「このコーヒーめっちゃ高いやつじゃないですか?」と提供者に訊ねた。提供者は「そうです、そうです、美味しいでしょ?」とみんなに訊ねた。するとみんなも口々に美味しいというようなことを口にした。どうやらこれを店で出すと千円は取られるらしい。

 僕はもう一口飲んだ。あれ、旨い? なんだかさっきまでの違和感が味わいに変わって旨みに変わった。美味しいなあ。
 もう一度飲んでみた。やっぱり美味しい。味わい深い。

 自分もやっぱり情報に流される生き物だ。

 

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