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「達成して何の意味があるの?」という営業組織を3年連続毎月達成に導いた話

あなたの組織には明確な目標がありますか?
活気があり“達成させよう”という空気が流れていますか?
そして、その目標はしっかりと達成できているでしょうか。

もちろん、目標達成だけが全てではありません。
法令順守、モラルを持った活動、会社の方針への適応、他部署との関わりなど、いろいろなものを守りながら健全に向き合う必要があります。

とはいえ、設定している以上、目標達成は重要です。
(これを否定する方は、今すぐその目標を廃止した方がいいです。意味がありませんので)

今日は、私がジョインした当初は「目標達成って意味があるの?」「チームの目標なんて意識したことがない」といった方が多かった組織を3年以上(今も継続中?)毎月達成に導いたお話をします。


あらかじめことわりを入れておきますが、もちろん私一人の成果ではありません。
外部環境、当時のメンバーの協力、個々の努力などあっての成果ですが、そこに至るまでのきっかけや組織風土(文化の醸成)、オペレーション構築などを0ベースから作った自負はあります。

また、その後異動した組織では、オペレーション・組織改革を行った結果、1年間で昨対240%に成長。
転職した現在も文化の醸成・オペレーションの構築などを行っており、ジョインして4か月ほどで月間売上は2~3倍に、インサイドセールスのアポ率は関わって2か月ほどでアポ率が4倍になったりと、複数回の再現性を確認できています。

とはいえ全て運が良かっただけかもしれません(笑)


どんな状態だった?

当時その組織(以下「大阪拠点」と言います)にジョインしたのは私が26歳の時で、大阪拠点の中では最年少でした。

人数は10名ほどでほとんどが営業メンバー。
年齢幅は私を入れて26~35歳、約半数が30代。
全員私より先に大阪拠点にいたメンバーなので、当時私は最年少かつ一番の新人です(役職もなし)

私はジョインして3か月ほどで、個人の実績が認められたのか、「新規営業」のリーダーを担うこととなりました。

チームの状態はというと、ベテランメンバー数人はチームの目標に向き合っていましたが、多くのメンバーは、次のような状態でした。

  • チーム全体の目標を認識していない

  • 新規を取ろうという意識が弱い

  • 「〇〇さんが喜んでくれるから獲得しているだけ」

  • 達成意欲というか意識が弱い(ない)

営業組織であるはずなのに、「こんなもの営業組織と呼べないな・・・」と思った記憶があります。

私の前職が結構ゴリゴリの営業組織だったので、その差分の大きさから衝撃を受けていたんだと思います。


どんな取り組みをした?

スタンス編

一番初めに取り組んだことは、『勝ち癖をつける』ことです。
当時見ていたyoutube動画の一つに、孫正義さんが『勝ち癖』について語っている動画がありました。

当時、契約数がNTTやKDDIから大きくビハインドしていたSoftbankは、「どうせ勝てないよな・・・」という負けムードが流れていたと言います。
そこで孫さんは「全体の契約数はいきなり勝てないかもだが、“単月の新規契約数”で勝とう!」と方針を示し、見るべき指標を絞り、そこで1位を目指したそうです。

結果、1回1位を取れたら、もう1回もう1回と連続で「月間新規契約数1位」を取り、いつしかその達成が当たり前、落とすわけにはいかないという空気が流れ、チームに活気も生まれたそうです。

シンプルに「これを参考にしよう!」と思いました。

そして私はチーム全体の会議で「私はチームの達成にこだわります。いきなり皆に無理を強いることはしませんし、今まで通りでいいですが、目標に足りない分は全部自分で埋めます」と言い放ちました。

完全なパワープレイです(笑)
先述の通り、チーム内では最年少で一番の新人です。
理屈でいくらきれいなことを言ってもそんなやつの話なんて誰も聞かないだろう・・と思っていたので、まずはスタンスと結果で示すしかありませんでした。

数か月連続達成が続き、ほんの少しだけチームに“達成意欲”が芽生え始めました。
しかしそれも束の間、逆境に立たされることとなります。

コロナウイルスです。
顧客の動きが鈍くなる中、目標が修正されたわけでもなく当初の計画通りの獲得を求められました。

「コロナの影響で・・・」と未達要因をそれらしく語るマネジャーもいましたし、大阪拠点内でも「さすがにしょうがないか・・・」という空気が流れていましたが、幸い、業界的にコロナ渦であっても動きを止めることができない業界でしたので、勝機は必ずあると信じて営業を続けました。
せっかく芽生え始めた“勝ち癖”をなくしたくなかったという気持ちもありました。

結果、コロナ渦でも連続達成を続け、逆境の中でもそのスタンスを貫いたのが周囲にも伝わったのか、今まで「達成して何の意味があるの?」と言っていたメンバーが、「チームの達成まであと何件?」「私はあと今月何件獲得すればいい?」と、発言と行動が変わっていきました。

  • チームを達成させたい

  • 連続達成を崩すわけにはいなかい

個人個人のスタンス、意識が変わり、同時にチームの空気や当たり前基準の明らかな変化を感じることができました。


スキル編

しかし、スタンスだけでは実績は伸びません。
スキルセットも必要です。
ですが、スタンスさえ醸成されれば、今まで私の話を聞く気がなかったメンバーも素直に話を聞いてくれるようになります。

今回はスタンス編で述べた話がメインなので、スキルに関する1つの1つの取り組みについて詳細は書きませんが、大枠は下記のような方針でした。

『ひとりひとりとしっかり会話をし、そのメンバーごとの特性を理解した上で適した営業方法・コミュニケーションを取り、指示を出す』

例えば下記のようなものです。

  • 目標だけ言えば行動を設計できる人には個人のやるべき数字だけ伝える

  • KPIを嫌うひとであれば、KPI管理ではなく営業スキルを磨くことでどんなキャリアを形成できるのかを説き、モチベーションを醸成

  • 個別個別の案件を確認し、訴求ポイントとクロージングタイミングなど細かく指示出し

当時、メンバーは10名ほどいましたが、スキルセットが十分なメンバーもいましたので、スキルを磨く必要のあるメンバーは約半数でした。
対象が5~6名だったので、上記の1to1のやり方は実現できましたし、このやり方が個人個人の能力を最大限引き出せるというメリットがあります。
ですが、正直欠点も多いです。

  • 私は人の特性をつかむのが得意(?)なので、個別個別の働きかけができましたが、他の方に同じことをしてくださいと言ってもできない可能性がある(自分の中で再現はできるが汎用性がない

  • また、メンバーが増え自分では手が負えなくなったときに個別個別で見切れなくなる(工数の限界

  • 上記2つを組み合わせた結果、間接マネジメントができないなどの欠点が存在します。

この辺りは私自身の成長ポイントでもありますが、欠点が存在することは認識していた方がいいです。


オペレーション編

オペレーションにも軽く触れておきます。
これは主に、営業組織としての当たり前でもありますが、チーム一丸となるために行ったことです。

組織フェーズや各人の意識などによってはやり方は大きく異なりますので軽く触れるだけにしておきますが、下記が一例です。

  • 毎週決まった時間にチーム全体予実と個人予実の進捗を細かく報告(全体目標の認識)

  • 上記報告と併せて、誰がどの案件にどう動けばチームが達成できるのかのレポートを提出(チーム達成への意識強化、行動の明確化)

  • 個人個人の進捗が一発で可視化できるように、スプレッドシートで実績管理システムを構築(個人の貢献度、目標への差分の可視化)

  • 過去実績のデータを分析し、月次のどのタイミングでどんな状態になって入れば達成するのかを定義し、達成可能性を伝達(危機感の醸成)

  • 達成すれば、連続の達成月数を実績と共に報告(勝ち癖の醸成)

方針が定まり、一貫して同じオペレーションを敷くことで、意識すべきものが個人個人の中で明確になり、邪念が取り払われることから個別の動きが最適化され、実績も最大化されていきます。

しかし、一貫しているとは言えもちろん変化はあるので、変化があった際はどのような変化か、なぜ変化したのかを説明した上で、納得感を持って動いてもらうことを意識していました。


その結果どうなった?

題名で、“3年連続毎月達成”と書きましたが、もう少し詳細に触れていきます。

私は、連続達成から1年半ほどで大阪拠点を去り他の部署に異動することになりましたが、“自分がいなくても達成し続ける組織”をテーマに、できる限りの言語化と型化をして次のリーダーに引き継ぎました。

その後、私がその会社を去るまでの情報しか知りませんが、連続達成はし続け、おそらく今も途切れてないのかな・・・?と願っています。

また、”達成、達成”とばかり言っていますが、ジョインした当時は達成や未達がまちまちであったことから目標が低かったわけではないと思っています。

実際に、私が大阪拠点にジョインした当時の実績と3年後の実績を比較しても、営業の人数は当時比で約120~130%ながら、シンプルな新規獲得数は3~4倍ほどとなっています。

サービスリリースから15年ほどのサービスで、なおかつシェア率が20%ほど(業界TOP3)の状態からこの実績の伸びは、明らかに組織が強くなった証拠と言えます。


一応補足しておきますが、業界自体は成長産業でした。
が、それまでも成長産業であり、業界自体がその時に急激に成長したわけでもなく、他拠点と比較しても圧倒的な組織成長であったことから、ちゃんとチームが強くっています。

そして、上記のような成果は、これまで書いた取り組みだけではなく、新しい施策も行っています。

当時、私ともう一人のベテランメンバーで進めたアライアンス開拓の取り組みは、圧倒的な成果を上げ、今では全国のフィールドセールスのメイン戦略となっています(直近は知りませんが)
また、大阪拠点は地方拠点ながら、翌期以降の中長期戦略のフィジビリを任されるほどの存在となり、他拠点や他部署からも一目を置かれる存在となりました。

更に、一緒にアライアンス開拓を進めた方は、拠点の実績が認められ、私の異動後に昇格し、喜んでいたことも私としては嬉しいできごとでした。

昇格後、その方と2人で食事をした際、「昇格できたのは、なかのさんのお陰だと思ってる。一緒に働いてくれてありがとう」というお言葉をいただきましたが、私より社歴が圧倒的に長く、10個近く年上の方が面と向かってその発言をできるのはすごいなと・・・。
その方の人間性というか素直さというか変なプライドがないというか、シンプルに頑張ってよかったなと思いました(笑)


最後に

まとめというわけではないですが、業界といい会社といい、上長、同僚、タイミングなど、本当に恵まれていたし運がよかったなと思っています。

その後の異動後も転職後も、どこ行っても周りのメンバーには恵まれているし、タイミングもいいしと・・・運がいいのか単純にポジティブなだけなのか(笑)、本当に周りには感謝の気持ちでいっぱいです。

自身が本気で取り組むことによって、周りも本気になり、協力してくれる人も現れるもんなんだなと実感してます。
(本気と言っても必要なことをやってるだけですが・・・)

つらつらと長文の記事でお疲れかと思いますが、これからも誰かの何かをプラスにできるよう精進してまいります。

おわり。


他にも、仕事や生きる上で役立つ考え方に関する記事を書いています。
ご興味のある方はどうぞ。

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