マネジメントの基礎。“理解した”と“できる”を切り分けて導く
今日は、今までいろいろな方から指導を受けてきた中で感じた違和感から、私自身が後輩や同僚などに指導をする際に効果のあった気を付けているポイントについて書いていきます。
教える側のよくある勘違い
まずはこれについて考えていきますが、最も多いと感じているのが、
『ロジカルに理屈を説明して相手が理解できれば、それはできるようになる』
という勘違いです。
こんなやりとりをしたことはないでしょうか。
・上司「俺の言ったこと理解できなかったか?」
・自分「あ、理解できてます」
・上司「じゃあなんでできないの?」
・自分「いえ、やろうとしているのですが・・・」
・上司「お前は全然ダメだな」
今となっては古めの上司イメージですが、実際にこういうコミュニケーションを取る方はまだまだ多いように思っています。
また、直接的に「なんでできないの?」と詰めることはなくても、「しっかり説明しているのになぜできないのだろう・・」と、後輩や部下に対して心の中で感じている方は多いのではないでしょうか。
私はこれを、“教える側の勘違い”だと思っており、実際にこういうコミュニケーションに苦しんでいる部下側は多いと思っています。
そして、『教育する・指導する』ということが実質的に機能しなくなり、結果的に自分で這い上がるしかないような環境になっているのだと思います。
(余談ですが、結局自分で這い上がったのに、結果出た時だけ上司が「俺の指導がよかった」と重ねて勘違いを繰り返すから厄介なんよな・・)
“できる”までの正しいプロセスとは?
じゃあ、“理解する”から“できる”まで、どのようなプロセスがあるのか?
私の考えは下記の通りです。
理解する
やると意思決定する
具体的に動くイメージとできるイメージが湧く
結果につながる
です。簡単に1つずつ見ていきます。
①理解する
これは簡単です。例えば営業であれば、
『今月は新規売上を100万円作らないといけないので、単価10万円として10社の新規獲得、受注率20%として50商談しないといけない』
という具合です。
これは、一定の計画立案力や、過去実績の分析能力が必要かもしれませんが、四則演算さえできれば誰でもできます。
しかし、誰でもできるような掛け算だけをしてドヤ顔をして、「はい。これをやってください」と投げるだけの方がいます。
これで動ける方もいるかもしれませんが、基本的に人間は誰かに押し付けられたことに対して高いモチベーションを発揮できない生き物だと思っています。
なので「はい、やってください」ではなく、まずはこの段階では、この計画が理解できるのか納得感があるのかの認識合わせを行うことを目的にします。
②やると意思決定する
続いてこちらですが、理屈が理解できただけでは人は動きません。
営業の新規商談でも、自社商品の特徴だけ話して顧客にとっての必要性を話していないのに、唐突に「導入してください」と言ってもほとんど受注に至らないですよね。
これは指導の際も構造は同じだと思っていて、
『なぜそれをするのか。それをすることでどんなメリットがあるのか』が、相手の中で腹落ちできている状態が理想です。
例えば先ほどの営業のKPIの話しで言えば、
営業マンとしての計画立案能力と、自身の行動マネジメントができれば、独立した時にも、計画通りに実績を上げられる力がつく
安定して売り上げを立てられる営業力がつくことで、転職した際にも即戦力でどこでも通用する人材になれる
月100万円を安定して達成できれば、半年後に月5万円の昇給がある
などなど。。
できれば、給与やインセンティブなどの目先の人参ではなく、多少強引なこじつけがあったとしても、その方個人の人生プランに沿うメリットを示せれば良いかと思います。
このように、その方にとって「よし、やろう!」と思えるような意思決定ができる要素を与えてあげないといけません。
③具体的に動くイメージとできるイメージが湧く
しかしこれだけでは、まだ“できる”からは遠いように思っています。
初期段階で具体的な行動計画まで落とした上での指示であればいいですが、抽象度が高い状態だと、“やる気はあるが何をしていいのかわからない人間”が誕生してしまいます。
目標値やそれをやるべき理由に腹落ちできている状態で、
『それを実現するためには、どの時間にどのような行動をとればいいのか』のイメージを湧かせないといけません。
また、ここでも気を付けておきたいのが、あくまで押し付けないことです。
自分がやってきたこと、自分がイメージできるものを人に押し付けようとしてしまう方が多いです。
もちろん、過去の成功ナレッジは必要ですし、それを共有するのは素晴らしいですが、その人の参考になる情報として与えるものであり、最終的にそれをやるかどうかの意思決定は、部下・後輩側が行わなければなりません。
結果的に目標を達成できればOKなわけで、目標を達成するための手段は1つではありません。
押し付けではなく、あくまで議論の中で、その人ができるイメージが湧く方法でその人自身が意思決定することに意味があります。
④結果につながる
先述③で「自分のやり方の方が絶対いいのに・・・」と思う方もいるかもしれませんが、納得感があり自分の意思決定に責任を持たせる方が何倍も達成率は高いと思っています。
教える側は、あくまでコーチングの視点で導いてあげるのが役割で、極力自分で意思決定させることで、モチベーション向上、やりがい醸成によるエンゲージメントの向上、成長実感などの効果で、結果的に実行力が上がり成果につながります。
まとめ
私自身、10名程度のチームしか持ったことがないので、50人100人規模のマネジメントでこれが通用するかはわかりません(笑)
ですが、実際にこのやり方をやることで、個人個人のKPI設定や管理などをほぼしなくても、成長(達成)し続ける組織を作ることができたのも事実です。
また、逆にほぼKPI管理だけのマネジメント風土の会社も経験をしたことがありますが、みんな理屈は理解できているはずなのに、離職率が高かったりモチベーションが低下している社員が多かったのも事実です。
今回書いたようなやり方は、正直手がかかるし時間も奪われるし、マネジメント側は大変かと思います。
ですが、計数管理だけであればそれこそ人がやる必要すらなくなると思っていますし、このご時世、転職が当たり前の世の中です。
昔のように、終身雇用の概念があれば「入社したからには勤め上げないと・・・」という勘違いが横行していたので、一定のパワーマネジメントや係数管理だけでゴリゴリやらせることは容易だったかと思います。
しかしこれからは、社員のエンゲージメントややりがいが醸成できなければ、他社に人材を簡単に持っていかれる状況です。
また、日本の生産人口はこれから減っていく一方です。
企業として成長し続けるためにも、人材という資産をどう獲得してどう活用するかは非常に重要になってくると感じています。
こういうマネジャーが増え、イキイキと働ける人が増えますように。。
おわり。
他にも、仕事や生きる上で役立つ考え方に関する記事を書いています。
ご興味のある方はどうぞ。
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