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「神戸の縁を足す場所、エンタス店主 上田和良」

KAZ(上田和良さん)は良いことも悪いことも何でも優しく包み込むような男。

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その影響は母親にあると対談して確信した。KAZの人生の節目には、必ず母の姿があったのだ。

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神戸・三宮にある、縁を足すカフェバー「エンタス」店主、KAZ、41歳。縁を足すからエンタスだ。もう16年もやっているというから、それだけでリスペクト。俺は旅行会社を経営していた22年のうち、5年だけカフェバーを経営していたことがあるから、飲食業を続ける難しさを身をもって知っている。「地球探検隊」大阪・神戸交流会をした時、モンゴルを一緒に旅した隊員(お客さん)ちかちゅうから2018年7月にKAZを紹介されて、去年の11月22日に開催されたオンラインイベント、「いい夫婦の日@ZOOM」で再会、voicyラジオに誘った。

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KAZは神戸生まれの神戸育ち。3歳の時、両親が離婚して母子家庭となる。小学5年生になって初めて父親がいないことに気が付いたという。「母親の愛情で足りてたから」。

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さらに生まれつき心臓の病気があって13、4歳までは運動を控えるように医師に言われたのを知ったのが20歳の時。いつ亡くなるかわからないから、敢えて「こうしちゃダメ!」と制限をかけなかった母親。KAZは「お金は残せないけど、経験は残せる!」その母の言葉を憶えていた。初回からウルっとしたのは、今、2歳の息子と愛情たっぷりに接する妻の美香を毎日見ているから。それに、認知症で80歳の母に会いに行ったばかりだったから。

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特に向上心もなくボォーっとしてた小学生だったKAZが中学に入って変わった。塾に通い始めて自分に自信がついたのだ。親同士の会話から通い始めたのはスパルタ塾。やればやるほど30~40点も一気に成績は上がっていった。やったことが即結果となって返ってくることが楽しくて仕方ない。前に出るタイプではないのに学級委員になり、立場で人はつくられていくことを実感する。チャンスをもらったら能動的にやる快感を覚え大学へ。苦手なことも何でもやるようになっていた。楽しさしかない「リア充」な学生生活の中で人生の転機を迎える。当時150万円、3ヵ月で世界一周するピースボートと出合う。母に「無理!」って言ってもらおうと相談すると、意外にも「行ってきなさい!自己責任でね。」。彼は初めて自立心が芽生えたという。旅を通して楽しむ制限をかけずに、自分で価値を決められるようになっていく。「いい意味で期待しないようになった」と言っていたが、おそらく他人に期待しないで、自分に期待するように変容したんだと思う。

ピースボートを終え、2年間フリーターをする。世界一周していた頃感じた高揚感が日本にいると萎んでいく。世界一周するピースボートから生まれたミュージカル「コモンビート」。そのコモンビートを創り上げていくNPO活動を通して、自分だけでなく他人の人生のターニングポイントになっていくのを目の当たりにする。

24歳になって「まだやったことのない会社員になる!」と決意。教材の販売をする営業マンになる。今まで世界にハローというとハローと返ってくる世界から一転。家庭訪問で罵詈雑言を浴びていると毎日吐くようになってピンポンを押せない。気づくと人と会うのが怖くなっていた。ここで再び母親が登場する。「体調を崩したので神戸へ帰ってきてほしい」と母からの電話があったのだ。辞める機会を得たKAZは翌日退社した。

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半年でドロップアウトしたというが、俺なら3日も持たないと思う。神戸に帰ると、30年母が経営していたスナックの隣が空くと「お店やってみない?」と母親から提案され、「その時がきた!」と何も決めないまま店主となる。対談して一番感じたのは、いつも息子のKAZを100%信じて見守る母の姿だ。

KAZの人生のターニングポイントは3つある。世界一周ピースボートの旅、NPO法人コモンビートの活動、そして、自分の店を持ったこと。「夢を叶えたんですね!」と言われる度に違和感を感じた。ずっと夢のない人生で、たまたま流れに乗っただけという。自分の気持ちに素直で正直でないと流れに乗れない。旅をすると心が真っ裸になる解放感を得るのと同じように、多くの人が求めていることに気づく。既存のBARのイメージはカッコいい場所、カッコつけさせてくれる場所。ならば、カッコつけずに素の自分でいられる場をみんなで創ろうと「エンタス」を始めた。最初は縁のあった人が足を運んでくれる場所から、感謝を伝えていると、人を紹介する店に変わっていった。今も感謝することしかしてないという。

8席の小さな店からスタートした「エンタス」。5年が経過した30歳、母親が引退した。それをきっかけに壁を破って店をつなげ20席の店になった。母親、姉、自分という末席にいた彼は初めて表舞台に出て大きな責任を感じる。世帯主も母親から自分に、融資も自分の名前で受けスタッフも雇った。責任を負う喜びを感じつつ、最初の1年はずっとお腹が痛かったKAZ。

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4年前に結婚、今、3歳の娘さんがいる。「結婚って、いいもんだなー!」と照れながら語ってくれた。仲間と過す横のつながりから、子どもが生まれて縦の繋がりが加わって、KAZの人生はより深く濃くなった。娘に名付けた「一日」という意味の「ひとひ」に込めた願い、思いとは?KAZが未来に託した思いとは?

そんなKAZとの対談全6回、フォローして聴いてほしい。

voicyラジオをZOOMで収録したのは2月7日。その時は、全く語ってなかったが、放送終了した翌々日の3月15日(サイコーの日)、kindle版「あかるく かるく あたたかく」出版という嬉しい報告があった。すぐにポチった。本の収益は全額、ウクライナ他、被災地、当たり前の日常をおくれない地域の生活支援に寄付するという。KAZらしい。これから読むのが楽しみだ。

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「世界が柔らかく優しくハッピーに!」by KAZ。

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 「勉強にも、プロとアマがいます。何かをやったら、
 とりあえず10年続けられるのがプロです。
 プロとアマの違いは、
 食べていけるかいけないかではありません。
 「どれだけ長く続けられるかどうか」の差です。」
   中谷 彰宏 (著) 『なぜあの人は勉強が続くのか』


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