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「介護力 ダメ人間のススメ だんじろう」

 世の中
 おかしいことだらけ
 だから私の
 出番だらけ
 福島正伸

「だんちゃん」こと、だんじろうさんとのvoicyラジオ対談を終えて、まず浮かんできた言葉は「恕」。孔子の「論語」に出てくる言葉で他人の立場や心情を察すること。また、その気持ち、思いやり。だんちゃんは「恕の人」。

ちょうど81歳で認知症の母と、摂食障害(拒食症)で通院している21歳の次女・七海(なつみ)と会ったばかりのタイミングで収録した。だから、34歳のだんちゃんに還暦の俺が公開個人コンサル、セラピーを受けたような放送になった。穏やかな語り口に心がじんわりと温かくなった。フォローして聴いてほしい。

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家のトイレにも貼ってあり、母にも娘たちにも祈るような気持ちでプレゼントした言葉がある。それが、去年12月、七沖さん(鈴木七沖さん)が運営する天外伺朗さんのオンラインサロン「サロン・ド・テンゲ」湯河原合宿で知った魔法の言葉だ。

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その言葉を紡いだのが、だんちゃん

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自分自身が落ち込んで追い込まれていた時、自らに投げかけた言葉と言うから説得力がある。紙に書き出していくと自分が癒されたという。トイレなど何度も目にするところに貼っておくと、認知症にも、摂食障害にも、鬱の人にも効果があることが実証されているらしい。

 私はダメな自分がいてもいい、
 弱い自分がいてもいい、
 役に立てない自分がいてもいい、
 それでも私は愛されているから、
 守られているから、みんなが助けてくれるから

多くの人が生きづらいと感じてる今、より多くの人に知ってほしいし、次世代に残したい言葉だ。

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幼稚園から小中高と怒られないように周りを見て生きていた、だんちゃん。家の中では伸び伸びできても学校では周りを意識しすぎて仲間や自分自身と繋がることができずに苦しかったと語った。友達はいても本当の心は笑っていなかった。大学時代に自分の中で修行ブームが起きて山籠もりしたり、インドへ行ったりしていくうちに、「自分自身と繋がっていいんだ!」と自分が本当に求めていたものに気づけた。人生の転機となったのは父親の一言。「お父さん、脱サラしたから、これからは自分の力で生きていってくれ!」20歳のだんちゃんは自分が変わると周りが変わっていくことを実感する。さらに右脳開発に目覚め、速読や脳トレをして自分自身を実験台にいろいろ試していく。就活になって「自分は何がしたいか?」わからなかった時、友人が声をかけてくれた。「高齢者施設を一緒にやらないか?」たまたまお世話になっていた叔母さんが認知症になって何もできない自分を責めていた時期。「今までやってきたことが役に立つかもしれない」と引き受けた。ところが誰もが未経験者。何を提供していいかわからない状態の準備期間の6か月間、彼らはいろいろな施設を回って「ここは楽しいですか?」と利用者に聞いていく。「楽しいことあるかい!?」「こんなところに来たくないわ!」スタッフからも「そんなことを聞くな!?」そんな中、1、2割くらい利用者もスタッフも活き活きしている施設があった。施設を回っていくうちに30秒でビジネス寄りか愛ある場所か、施設長の思いがわかるようになる。利用者とスタッフの顔色に表れていたのだ。何をやるのにもトップの思いが反映するなら、家族のためだけの施設ではなく、利用者もスタッフも家族もみんながハッピーになる施設を目指そうと決意する。

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そもそも福祉関係の仕事は、だんちゃんにとって、どちらかというとやりたくない仕事だった。手探りでやっていくうちに「人に優しくしてお金をいただける、こんな素敵な仕事はない」と思うようになる。シニアの介護をする上で何をするかより、どうあるか、「あり方」がカギになる。介護のマニュアルだけのやり方ではなく、どう介護したら幸せになるのかサポートする。考え抜いて粘り強く少しずつ行動していくうちに利用者に変化が見られた。寝たきりの人が自転車に乗って髪を切りに行ったり、毎日「死にたい!」と叫んでいた94歳のお祖母ちゃんが人のお世話をするくらい元気になった。尽くせば尽くすほどお互いに成長して良くなっていく喜びを分かち合っていけた。

だんちゃんが利用者に心寄り添えるのは、認知症や鬱の人など精神疾患の人と波長が合うからだ。仲間が苦しんでいるのを見るのは、我が事のように辛く苦しい。この利用者との気持ちの共有、共感が出発点になっていると思う。シニアの介護のやり方を学べても、考え方、行動、あり方まで教えるところがない。ならば、自分が創るしかないと、「孤立フリー協会」を立ち上げる。さらに止むにやまれぬ気持ちから、友人の高齢者施設を3年で出て28歳の時、障碍者施設を立ち上げ、今、6年目。10人程度の小規模態勢のため今は施設の入所をお断わりしている状態だ。

学校からも治らないものと断定されいた、ご飯とみそ汁しか食べられない摂食障害の小学生に感謝の手紙を書く。自分がダメな子と思っている子に「君は誤解されるところもあるけど、僕はいい子って知ってるからね」と根気よく何度も何度も語り続けることで変わりだす。中学生になって今まで食べられなかった「キンピラごぼう」が初めて食べられるようになった。放送4日目には、思わず拒食症の娘のことで相談してしまった。完治のための多くのヒントをもらえた。

誰だってウソもつくし、嫉妬もするし、ドロドロと醜い部分をもっている。どうしようもなくドジで間抜けで間違いもする。一方、誰もが美しさも持っている。だんちゃんが学生時代、インドのマザーテレサの施設でボランティアしていた時、「この世界の一番の病気は何か?」「自分はこの世界に不要な人間だと思うこと」と教えられた。これからも「あなたも大切ですよ、とハグしていく」と優しく語った。

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止むにやまれぬ思いと聞いた時、天命を果たそうと動く覚悟が見えた。変化の先にしか進化はない。こういう人に優しい丁寧な仕事が日本の未来を変えていくように思う。精神疾患を患った人とその家族のために、生きてることを肯定する、だんちゃんの本の出版をサポートできたら、どんなに多くの人を救えるのか、アタマをよぎった。いつか実存的変容を遂げ良くなっていく事例を集めた「希望の書」を世に送りだそうね、だんちゃん。

最後に以前、voicyラジオにゲスト出演した友人、松尾校長から教えてもらった言葉を贈る。

 あなたの「これから」があなたの「これまで」を決める!
  宇宙物理学者 佐治晴夫


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