SDGsの達成には世界共通通貨とユニバーサルベーシックインカムが必須な理由
2015年に国連のサミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成には、世界共通通貨による普遍的なベーシックインカム(ユニバーサルベーシックインカム。以下、UBI)の導入が必要不可欠だと考えています。その理由について、資本主義を中心とした現行の社会経済システムのままで進んだ場合と比較しながら述べたいと思います。
以下、SDGsが掲げる17の目標です。
1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
1. 世界共通通貨・UBIの条件と基本的な仕組み
世界共通通貨・UBIについて、まだざっくりとしたアイデアの段階ではあるのですが、どんなものなのかちょっとでもイメージを掴んでほしいので、現時点で考えている条件や仕組みを簡単に書いてみます。基幹技術はブロックチェーンを想定しています。
(* 現時点では仕組み的に色々と破綻していると思います。実際に実現するとしたら、頭のいい人たちの議論が必要です)
1.1 実現したい項目
下記の7つの項目を重点においてシステムを構築したい
1. UBIの配布によって通貨を発行する
・おそらく、今までにないマイニング方式
・全人類の暮らし(生きて存在することそのもの)に対する報酬としての「基礎所得」=「UBI」の提供
・一番重要な要素。これが実現できるならブロックチェーンじゃなくてもいい
2. 個人と公共(機関)の両方にUBIを配布する
・納税額による格差(施す側と施される側という構造)などを是正して、できるだけ不公平感や蔑みなどを生み出さない仕組みにしたい
3. 他の通貨との為替取引、交換を不可とする
・法定通貨の価値に影響を受けたり、流通量に偏りが生じるなどの混乱を招かないようにしたい
4. 流通量を自動で調節する
・UBIの配布によって通貨が発行されるため、ユーザー数に比例して通貨の流通量が増加してしまう
・全アドレスから一定期間毎に残高を償却?(減少)するなどして、全体の流通量を一定に保つ仕組みにしたい
5. 全世界の人々が使用できる仕組み
・スマートフォンは世界全体で比較的普及しているので、スマートフォンにインストールしたアプリなどで商取引を完結できる仕組みにしたい
・スマートフォンを持っていない人に対しては、ユーザー登録と同時に簡易的な端末を配布し、UBIで支払ってもらう?
・UBIの二重受け取りの可能性もあるが、複雑にし過ぎて受け取れない人がでないようにしたい
・普及と不正の兼ね合いが難しいところ
6. 全世界の人々の使用に耐えられる仕組み
・80億人が1日に平均3回の買い物したとして、毎日240億回以上の取引が発生する
・地域(リージョン)を分割してトランザクション処理やブロックの生成を行って、あとから結合する?
・でも、この仕組みだと二重支払が発生してしまうかも…ここも難しいところ
7. システムを維持するためのエネルギー消費量をできるだけ抑える
・システム的に可能であれば、ビットコインに採用されているプルーフ・オブ・ワークのような、高負荷な処理のない仕組みにしたい
1.2 基本的な仕組みアイデア
・UBI受け取り用アドレス(口座)の開設
通貨表現用と個人認証用の2つのブロックチェーンがあり、各ユーザーは通貨表現用アドレス(口座)を発行し、そのアドレスに対して個人認証用アドレス(個人ID)を結びつけることでUBIが受け取れる。
・プライベートUBIの配付と通貨発行
各ユーザーへのUBI(プライベートUBI)の配付によって通貨が発行される(例:毎日、7000コイン程度)。これによって、流通(為替取引・交換の必要がなく)が自動で行われる。
・パブリックUBIの配付と選択
税の徴収は行わず、代わりに公共機関へのUBIを配付する。仕組みのアイデアとしては、プライベートUBIを受け取っている各ユーザーに対して、個人では使用できない別のUBI(パブリックUBI)を配付し(例:毎日、1700コイン程度)、各ユーザーが自身に関係する公共機関のアドレス(口座)を複数選択して送金する。
・流通量の調節
一定期間毎に通貨表現用ブロックチェーンの全アドレス(口座)の残高からコインが償却(残高が減少)される(例:毎日、残高 - 残高 × 0.09%)。これによって、流通量の調節が自動で行われる。(ユーザーの総数に合わせて流通量の上限が決まる、と思う…)
2. 世界共通通貨・UBIを導入すると世界はどう変わるのか
現行の社会経済システムのまま進んだ場合に起こりうる課題と、世界共通通貨・UBIを導入することでその課題にどう対応できるのかについて、いくつかの例をあげます。
2.1 貧困問題の解決
1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
16. 平和と公正をすべての人に
- 課題 -
世界の約10人にひとりが1日1.9ドル未満(国際貧困ライン未満)で生活していて、絶対的貧困状態にあるといわれています。また、貧困は開発途上国だけの問題ではなく、先進国では格差の拡大が原因で起こる相対的貧困も社会問題になっています。日本やアメリカなど、先進国といわれる国々においても貧困が存在するということは、現行の社会経済システムを続けていても、全ての人が豊かになることは、あり得ません。
- 対応 -
世界共通通貨・UBIを導入することで、全てのユーザーが安定した収入を得ることができ、絶対的貧困は解決します。また、先進国における相対的貧困も、儲けたい人は儲けやすくなる仕組みなので格差が今よりも拡大してしまう可能性もありますが、生活困難や教育が受けられないほどの貧困状態には陥らない(お金持ちでも無限に貪ることはできないので、モノは行き渡る)と考えられます。さらに、格差や貧困から生じている妬みや蔑みといった感情が減少すれば、犯罪や過激思想への傾倒も減少すると予想しています。
2.2 教育の促進と人口増加の抑制
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
16. 平和と公正をすべての人に
- 課題 -
教育の促進は個人の可能性の拡大や生活の自立、環境意識の向上など色々な面で重要になってきます。また、人口増加の問題にも繋がっていると考えられていて、女性の教育を促進することで爆発的に増加する人口の問題に対応できるのでは、という予測があります。ですが、現状では様々な理由で教育を受けられない児童が存在しています。
- 対応 -
世界共通通貨・UBIを導入することで、現状よりもデジタル機器の購入やインターネットへの接続がしやすくなるため、オンデマンド教育などの機会が増えます。また、現状では援助として提供している開発途上国への教育においても、援助ではなく対等な立場のビジネスに変わるので、収入も大幅に上昇すると考えられます。すると、教育事業の展開が活発になり、多くの人に教育の機会が開かれていくと予想しています。
2.3 経済発展にともなう環境破壊の軽減
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
13. 気候変動に具体的な対策を
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
- 課題 -
最近では、中国やインドなどの新興国と呼ばれる国々で経済発展にともなう環境破壊が問題になっていますが、それは現在の先進国と呼ばれる国々も通ってきた道です。ですが、これから経済発展をしていく全ての国々が同じ轍を踏んでいったとしたら、地球の数が足りません。近年、ブラジルやインドネシアなどでの森林破壊が地球温暖化を加速させると問題になっていますが、これらは国際的な経済競争が要因にあると考えられます。
- 対応 -
世界共通通貨によって通貨格差がなくなることで、新興国や開発途上国は先進国の技術やノウハウを使い、環境破壊を最小限に抑える方法で経済発展をすることができます。ゴミ処理・リサイクル処理施設などのインフラにおいても、先進技術で整備できるので、新興国が直面する廃棄物処理の問題も軽減することができると考えられます。また、UBIによって全ての人に安定的な収入を維持することで、環境に大きな負荷を与える無理な経済活動の必要がなくなり、人為的な環境破壊を減少させられると予想しています。
2.4 資本主義による大量生産・消費社会からの転換
8. 働きがいも経済成長も
12. つくる責任 つかう責任
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
17. パートナーシップで目標を達成しよう
- 課題 -
資本主義経済においては、目まぐるしく生産と消費を繰り返して、無理に仕事を生み出し続けなければ、失業者が増え、税収が減り、収支のバランスが取れず、経済が維持できない構造になっているように思えます。ドイツやスウェーデン、デンマークなどの環境先進国といわれる国々も一応あるのですが、そういった国々の経済も大量生産・消費国との貿易なくしては成り立たないのではないかと推測しています。だとすれば、現行の社会経済システムを維持しながら、全ての国々を環境先進国にすることはできません。
- 対応 -
世界共通通貨・UBIが導入されれば、経済を維持するために無理に仕事を生み出して失業率を下げる必要も、大量に生産と消費を繰り返す必要もありません。また、資本主義が生み出す競争志向が軽減されていけば、企業の商品開発のサイクルもスローペースになっていき、それにともない環境破壊の速度もスローペースになっていくと考えています。個人においても、仕事のストレスや自己顕示欲から生じる病的な消費が軽減されると予想しています。
2.5 自動化にともなう世界的な不況の回避
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
12. つくる責任 つかう責任
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
- 課題 -
先進国や現在の新興国が、AIやロボット技術の発達によって、安価で高品質な商品を生産できるようになると、人件費の安い国に工場を持つよりも低コストで生産できるようになり、委託製造が行われなくなります。すると、現在の開発途上国などの国々は経済成長のペースが鈍くなり、それにともない世界経済成長のペースも鈍くなると考えられ、世界恐慌のような状況に陥ってしまうのではないかと懸念しています。
- 対応 -
世界共通通貨・UBIを導入することで、世界中の人々が低所得や通貨格差によって手に入らなかった商品を購入できるようになり、市場が拡大します。それによって、自動化にともなう世界的な不況は回避できると考えています。一方で、市場が拡大するのだとすれば、前項で述べたような大量生産・消費社会からの転換は本当におこるのかが疑問ですが、それは一気におこるのではなく、転換の副作用を軽減しながら徐々に新しい社会経済システムに移行していくと予想しています。