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人はいいモノを買うんじゃない。知っているモノを買うんだ。

皆さん、こんにちは。事業戦略家の中村保晴です。

世の中には「いいモノ」とか「いいサービス」と言われるものがあります。例えば「高品質とか高性能」もそうだし「ノウハウが優れたサービス」や、単純に「優秀な人」というのもあるでしょう。
飲食店でいうなら「他の店よりも美味しい」というのもそうですね。
一般的に「より良質である」ということが「いいモノ」と言われるものですよね。

これを読んでくれている皆さんも、自分の商品やサービスが「よりいいモノ」であるための努力されていることでしょう。他が真似できない特許商品などを持っていない限り、他社との競争を抜け出すための「良質さ」を求めるのは当然なことです。

一方で「売れているモノ」という商品やサービスもあります。
字の如く「セールス力」が高くて実際にたくさんの人がそれを買っている。商品で言うなら「ヒット商品」というやつですね。人で言うなら「売れっ子」とか「人気講師」みたいな感じですかね。飲食店の場合は「繁盛店」ということになりますね。
そして「売れるモノには、売れる理由がある」と私は思っています。


この「いいモノ」と「売れているモノ」。
このことについては以前もこのような記事を書かせていただきました。

↑この記事(以前の記事)では「いいモノと売れるモノ」を「価値」「ロジック」「感情」という目線で書いていきましたが、今回はもっとシンプルに”顧客目線”で書いていこうと思います。


顧客心理ケース  : 
「いいモノ」=「売れるモノ」である。の間違い。

確かに人は「どれを買うか」と検討している時に「品質重視」で買うことがあるでしょう。
例えばコーチングのセッションを誰かに依頼しようとして、好感の持てるコーチ5〜6人のウェブサイトやSNSを見て周り、その中で最もキャリアや成功事例が多くて実力があって優秀と思える人をコーチに選ぶということはある。

しかし「顧客が選ぶ基準」はさまざまです。その人がべらぼうに高額であれば別の人にしようと考えることも当然ある。価格というのも大きな選択肢のひとつだということです。また時間(長さとかタイムスケジュールとか)という基準もあるし、自分のジャンルに強い・弱いという基準もあるでしょう。
それはつまり、必ずしも「高品質なもの」がイコール「選ばれるもの」ではないということを表しているのです。
人は最終的に「複合的な要素」を絡めながら、自分の財布と相談してモノを買うのです。

そして、それらをイコールだと思っている人が多いのです。
でもイコールじゃない。
ただここで言っておきたいのですが、私は「いいモノは売れない」と言っているのではないということです。もちろん買う側は「いいモノ」を買いたいと思っている。どうせ買うなら「高品質な方」がいいって思っているのです。

でも実際に財布の口を開く人はそればかりではないことが多い。
そこにマーケティングセールスの妙があるのです。
「いいモノ」だから「売れる」という考え方を一旦横に置いておきましょうということなのです。


いいモノでも売れないモノ。

そして「いいモノでも売れてないモノ」が実際にあります。しかもたくさんあると言ってもいい。

「いいモノ=売れる」という公式があれば、マーケティングは楽ですよ。
高品質にこだわるとか、質の高いサービスを構築することに集中すればいいのだから。それが飲食店だったら「おいしさを追求し続ければ」いいわけですよ。でもそれがイコールじゃないから、困ったもんなのです。
すごく美味しいのに繁盛していない店は確かにあるし、逆に 味はそこそこだけどすごく繁盛してる店もある。それが現実だということなのです。

もしかしたら「人」を例にしてみるとわかりやすいかもしれないから、人を例にしてみようと思うのですが、

「優秀な人」っているじゃないですか。少し想像してほしいのですが、
頭もキレて仕事も速くて、まあ一般的にいう「仕事ができる人」。
ビジネスパーソンとしては90点以上で、会社の中では出世するタイプ。
その「優秀な人」が仮に フリーランスとか自分だけの会社を作ったりすると
その起業が「うまくいかない」ことが結構の頻度であるのです。可能性の話ではなくて、私の周りにも実はたくさんいます。相談者の中にも顧客の中にも。

それはなぜなのだろうか。と一時期考えたことがありました。外から見ていると実にその理由は分かりにくい。だってその人はその仕事をしていく上で「とても優秀な人材」だからです。

「優秀なのに顧客がつかない」。
これは「いいモノなのに売れない」という視点と同じです。
つまり「優秀=売れる」ということではない「何か」があるということだと、私にとっては「気付くきっかけ」でもあったのです。

専門スキルとして「優秀」だということと、「売れる」ということ。
機能的に「高品質・高性能」だということと、「売れる」ということ。
圧倒的な「デザイン力」だということと、「売れる」ということ。
優れた「ライティング力」があるということと、「売れる」ということ。
優れた「技術力」があるということと、「売れる」ということ。
優れた「コーチング技術」があるということと、「売れる」ということ。


これらはすべて「別の能力」だと私は思ったのです。必要なスキルが違うし、使うノウハウが違うっていうことなのだと考えたのです。


フリーランスのあなたがやるべきこと。

使う能力が違うのなら「どちらになりたいのか」。
それは一概には言えないのかもしれないけど、
少なくとも「売れる」という結果がないとやっていけないのがビジネスだということは確かです。

いいモノを作って、それが売れる。
優れた技術を持っていて、それが売れる。
優れたサービスを提供していて、それに依頼が殺到する。
最高に美味しい料理をつくって、その店が繁盛する。

それがほしい結果だと思うんですよ。
人から「いい商品だね、いいサービスだね」と、いくら称賛されても売れなかったら実益がなく続いていかない。それがビジネスです。


だけど、
「品質はイマイチだけど売れてるね」
「技術はイマイチだけど売れてるね」
「不味いのにお客が入ってるね」


っていうのもちょっと嫌だったりするじゃないですか。
だからこそ、「いいモノをつくること」と「売れるようにすること」というその二つのバランスが偏っていきやすくなるのだと思うのですね。


人はどんなものを買うのか。

それで「人はどんなものを買うのか」という話。
まずすごく当たり前の話をしてしまうのですが、
「人は知らないものを買うことができない」ということですよ。どんなに欲しいものでも。どうしてか? だって知らないんですから。買うことができないじゃないですか。

だから「買ってもらう」ということを戦略的に考えるときに、
シンプルにいうと「まずそれを知ってもらう」ということが大事になってくるんですよ。

知ってもらうためにはどうするべきか? しかも誰に?どんな場所で?どうやって?
まあそれはマーケティングの入口みたいな話なのですが、
少なくとも「商品を発売すれば買ってもらえる」というその「幻想」をですね、まずは排除しないといけないのですよ。

いつの間にか自分のホームページ上でヒョイっと販売を開始したり、SNSでヒョイっとPRしてみたりすれば売れると考えているのなら、もうその考え方が「売れない方向に向かっている」のですよ。

いやそれはですね、自分のサービスに「興味を持っているフォロワー」が何万人もいる人なら効果があるかもしれないですが、SNSはあくまでコミュニケーションツールですから、商売っけを出したらいいねも減るし、反応が鈍るんですよ。それが普通。「いいね!」と「売上」は比例しないのですよ。

これは私の会社もいろいろと経費を掛けて実験をしてきましたから明確に言えます。「いいね!」と「売れ行き」は比例しません。自分の商品を自分でPRした場合は。

SNSのフォロワーはSNSを通じてあなたとコミュニケーションをとっているのです。売り込みを求めているのではないのです。友達感覚だった人から自分の商品のPRを受けたらどうなりますか?
「ほとんどの人が逃げます」。それがSNSのコミュニケーションレベルです。
少し脱線したので話を元に戻しましょう。

「買ってもらう」ということは、その「買う」という行動の具体的な理由があるんですよ。特にいい商品やいいサービスならなおさらです。

「知ってもらうこと」「知ってもらう行動」は、こちら側が「売っています」ということにならない(なりにくい)のですよ。相手が「こんな商品があるんだ」と「相手の意思として認知する」ことができる。
「言う」のではなくて、相手が「知ってくれる」という事実そのものなのです。

だから「無名」じゃダメなのですよ。知ってもらわないと。個人だったら知名度を上げないと。知名度というか、あなたが「何をどのレベルで提供できる人なのか」ということを知ってもらわないと。
売り込まなくてもいいのですよ、そこでは。知ってもらうということに集中させることが「売れる」の第一歩なのですよ。


商品やサービスだったら、そんないいサービスがあって、それを誰でもいつでも買うことや依頼することができるということを知ってもらうべきですよ。知ってもらわないと、それがどんないいものでも「無いのと同じ」ことなのですよ、ビジネスの上ではね。

ビジネスを組み立てる上で意識すること。

私はビジネスを組み立てるときに、この「知ってもらう」ということを「戦略的に、意図して仕掛けるように」相当意識してやっています。
でもクライアントによっては、そこにそんな労力をかけるくらいなら
「広告とかバーンとやりましょうよー」とか、「予算がないからSNSで毎日投稿し続けますわー」のように言われることがあるのですけど、

そこを雑にすると私の経験の中ではうまくいかないと思っていますね。
売り手にとって売上は「数字」だけど、買い手にとっては「買うかどうか迷って考えた結果買ってくれたもの」。
その「買う」という決断をしてくれるまでの時間を大切に考えるできないことが結果的に弱点になると思っているからかもしれません。

そこってある意味、いいモノをつくるという意識と同じじゃなければいけないところじゃないかなとも思えるのですね。その「せっかく作ったいいモノ」を、それを必要とするであろう人に知ってもらうための「重要なポイント」なのですよ。
私も自分のクライアントに そこはできるだけ具体的にして、納得してもらえるようにいつも伝えることにしています。

まずは知ってもらうことが大事。
買ってくれる人の人生を想像しながら。

「人はいいものを買うんじゃない、知ってるものを買うんだ」
というのはある意味「いいモノが売れていく」という「当たり前の世の中」をつくっていきたいから、それを大事に考えていきたいというメッセージみたいなものなのかもしれないですね。

いいものが普通に売れていく。そんな世の中でありたい。
日本には「いいモノ」が溢れてる。その勤勉さや技術、こだわり、文化、美学、世界観。

日本はいいモノはつくるけど、世界では売れないよね。売り方が下手だよね。

そう言われて久しいです。実際に家電業界は中国・韓国に売れ行きでは勝てていないのが現実です。
フリーランスの世界もそう。いいモノを「売れる」ようにする力をつけなきゃ。マーケティングを勉強しなきゃ。売れる力を個人個人の中に養わなきゃ。

そういう時代なのだと、私は思っています。

またnoteでお会いしましょう。
今回も読んでいただきありがとうございます。



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