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原稿料気にしてたら原稿料なくても死なない漫画家になってた - [note生活|営業□報]

■トピックス

*「“漫画家の原稿料は安い”みたいな話をしていたクセに、なんで1円も原稿料が出ないnoteで連載できるの?」という質問に対する回答です。

《お金は汚くない対価だとハッキリさせたい》(2015/2/18)
《3年前の理想が本当に叶っている》
《一番大きい利益は権利》(2018/7/5)

■このシリーズの概要

もともとは「他人が努力して蓄えた情報を無料で聞くわけには!」「質問に答えさせて時間を取るなら対価を払いたい!」という誠実な主義を持つ同業者の友人たちに頼まれて始めたレポートです。「お金を払わず教わってしまったら、自分も誰かに無償で利用されることを拒めなくなるので」とのこと。ありがたいです。

運営する中で気付いたことのメモ。
走り書きのメモなので要点は極力こぼさないようにしているけれど推敲や語尾の調整などしていません。ぶっきらぼうなところや雑な書き留めの箇所もあるけど、私は『ハウツー・noteビジネス』のライターではないので、業務日誌だと思って寛大に許して…。


■以下、リアルタイムのメモ


お金は汚くない対価だとハッキリさせたい

私は出版社から原稿依頼を受ける際、はっきりと「この原稿料でできる作画の質はこの程度です」という返答を出している。

緻密で大掛かりでリアルな絵を求めるのであれば、その分のアシスタント代がかかるのだから原稿料はそれ相応になるべきだし、予算を抑えるなら作画に対するワガママも同時に抑えるべきだ。

ラーメンの料金で頼んだものに「これもラーメンのうちだろう」「本当にラーメンが好きなラーメン屋であれば客を喜ばせるために頑張れるはずだ」などとチャーシューや煮卵を無償でトッピングすることを要求する編集者も非常に多いが、チャーシューを乗せて欲しいならチャーシュー麺の料金でチャーシュー麺を頼めばいいし、煮卵が欲しいなら煮卵を有料で注文したらいいと思っている。

これが私の基本姿勢だ。———であるにもかかわらず、元手ゼロで連載可能というのは一体どうしたことかと思うだろう。

まず単純に、ラーメン屋の店主は、自分の食べるラーメンを〈材料費〉のみで作っている。〈技術料〉(=調理の技術を材料に施す料金)についてはタダで、自分のラーメンを食べている。

ただ、自分のまかないラーメンに金を払っていないからと言って「俺が食べる時は金を払わないから、あんたもタダでいいよ」と客に提案するラーメン店主はいないだろう。
自分の料理を自分で食べる行為は「自分で出した技術料を自分に払っている」という一連の流れが込められた“タダ”だから、タダというか“経理上、技術料の部分についてはプラマイゼロになっている案件”というだけ。

私も自分のイラスト入り年賀状を書く時、私にイラスト制作料を請求していない。タクシーの運転手も、自分で運転する際にメーター通りの運賃を自身に支払っていない。
要するに、「頼まれたか、頼まれていないか。」の問題で、他者から頼まれた場合は、技術料や材料費なんかがかかるのは当たり前。

頼まれた依頼というのは、そこそこちゃんとしていれば、予算が明確で、納期があり、チェックがあり、先方の要望というのがある。ちゃんとしていないと最後まで予算が伏せられ、納期はウソでかなり早めに言われたりということもあるが、とにかくまあ、予算と期限が先方の都合で限られている場合がほとんどだ。更に、打ち合わせに呼ばれることもある。先に聞いていなかった変更に応じることもあるし、修正が入ることもある。
そのあたりの思うところに関しては拙作『フリーランスの地雷原』を参照されたいが、

相手と向き合うターンや確認事項が多いため、なんにしても〈依頼〉があって手掛ける業務というのは割と忙しいのである。
納品物がOKになるかどうかも先方次第で、原稿料3万円の仕事で1週間拘束されるようなこともザラに起きてしまう。これでは原稿料が3万円でも日給は4,000円だ。こうした不安定をコントロールすることは非常に難しい。
場合によっては別件のスケジュールに食い込んでまで粘られることもある。

かたや、個人連載はどうだろう。誰からの指示もなければ、チェックもない。急な変更もねじ込まれないし、チェックを受けるためのラフや書類を起こす手間もない。(一部、実在人物が登場するエッセイに関しては確認があるが、それは当人にとって不利益となる情報が含まれていないかの確認なので、全然種類が違うし、仮に修正依頼があったとしても不当な変更ではない。)確認用の書類を送る際に添えるメールの作文も必要ないし、当然、打ち合わせに呼び出されることもない。

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