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久々の恋愛小説

先日友人に勧められて江國香織先生の小説を読んでみました。
『東京タワー』は今、永瀬廉君主演で放送されています。
20才も年上の女性と恋に落ちるお話です。
私はまず、友人のお勧めの『きらきらひかる』から読みはじめて、3冊目の『真昼なのに昏い部屋』でつかまってしまいました。
どの作品も登場人物が多くその関係性をつかむまでは、ちょっと大変でした。 よくこんな人間模様を描けるなあと思ったしだいです。
『真昼なのに昏い部屋』は久々にほぼ1日で、一気に読みました。
アセクシュアルなんじゃないかと言っている私が、愛を語るのもどうかと思うのですが、面白かったです。
ここからは私の考察ですが、ネタバレもふくまれます。
寝言だと思って聴いてください。

ジョーンズさんは大学の教授で15年別居中の妻子がいます。
美弥子さんは、坂の上の大きな家の善良な主婦です。 子供はいません。
美弥子さんの家には、日中いろんな人が訪れます。
美弥子さんは家事をそつなくこなしながら、来客の話にも耳を傾けます。
ジョーンズさんもその来客の一人です。
ジョーンズさんは小鳥のような美弥子さんに好意をいだいていますが、美弥子さんは、気づきません。 どちらかと言うとそういうことには鈍感な女性です。 ジョーンズさんは、人妻の美弥子さんと交際する方法を臆面なく考えるジェントルマンです。 
そして、午前中10時位の、散歩に誘います。 これジョーンズさんが外人だから、ギリギリありかなと思いますが、普通は無理ですよね。
美弥子さんは付き合わないのも悪いと思って、1時間ならとつきあいます。
慣れ親しんだ土地なのに新しい発見もあって、二人での白昼散歩は思いのほか楽しいものになっていきます。
そして人の話を断片的にしか聞かない夫とちがって、思慮深いジョーンズさんは、美弥子さんが好きだから、細部に配慮ある心地いい時間をつくります。  でも身体の関係はいっさいないので、いわゆる不倫の後ろめたさはありません。 だから散歩のことは夫にも時折話ますが、夫はたいしてちゃんと聞いてもいません。
週に1,2回のペースで、この散歩を1年位重ねるうちに、肉体以外のすべてはジョーンズさんに奪われているのですが、美弥子さんは気づきません。 ドキドキもしているのにです。 楽しそうに散歩しているのは、ご近所の噂にもなって、夫の耳にも入ります。 そして「なにをしているんだ」と激怒する夫に、美弥子さんは潔白だと思っていますから、何がいけないんだ、私はいつも話していたと言います。 美弥子さんは夫の怒りに恐れをなして、ジョーンズさんのアパートに逃げ込みます。
そして、やっと美弥子さんの心と身体が一致します。
BLでもそうですが、触れたくてたまらなかった人に触れた時の喜びってとめどなく溢れてしまいます。  まさに肉体の潔癖さを固持したところで、不毛だと思うほど心はジョーンズさんでいっぱいでした。
私、前回恋は錯覚だと冷めたものいいをしたことを、こころよりお詫びします。 恋は落ちるもので、止めようのない、夢のような錯覚でした。
そして美弥子さんは一歩世界の外に出てしまったと感じます。
何にも寄りかかれない、何にも守って貰えない世界の外です。
自分の家が見知らぬ場所のように見え、もうもとの生活には戻れないと感じます。  罪悪感を感じる美弥子さんにジョーンズさんは罪悪感は自意識だと諭します。

なかったことにして何も話し合いをしようとしない夫とは、離婚調停となり、美弥子さんは実家暮らしになります。
見方によったら、幸せな結婚生活をあやまちで、台無しにしてしまったことになるのでしょうが、私は善良な主婦でいたら気づくことができなかった自我に目覚めたと思います。
驚くのはジョーンズさんもそのような手助けができたと、いっているのです。
二人の関係はつづくのですが、ジョーンズさんにはもう美弥子さんは小鳥のようには見えなくなったみたいです。
蜜月はそんなに長く続かないですよね。 日常に飲まれていきます。
私はジョーンズさんは、フィギュアスケートのステファンランビエールみたいな人かなと想像してました。  今はコーチですが、現役のころは表現力のすばらしい選手で、今でも覚えていて、インスタグラムもフォローしているくらいには、好きな選手でした。 最近は宇野昌磨君のコーチでした。
ランビエールは今39才だからジョーンズさんは、もう少し年上かも知れないですね。  ジョーンズさんの達観した大人ぶりが少し恐ろしい気がしました。

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