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6月11日「パリの日常と非日常:ケチケチ旅行の冒険」

時差ボケをほとんど感じずに、新しい一日が幕を開けた。ホテルの窓から望んだあの壮大なロケットの正体については、謎のままLe Bourgetと別れを告げた。10日間自由にフランスを旅できるレールパスは、まさにこの旅の強力な味方だった。チケット売り場で並ぶことなく、直接電車に乗り込むことができるのは、何とも言えない快適さである。
パリの北駅に到着し、まずは情報センターを探し始めた。周りにはすでにいくつかの列ができており、私もその一つに加わった。ドキドキしながら自分の番を待ち、「30~40ユーロで泊まれる部屋を探しています」とメモ用紙に書かれた文を見せた。インフォメーションのスタッフは、少し無理そうな表情を浮かべながらも、「54ユーロならありますよ」と、熱心に地図を広げて説明してくれた。現在地から行き方を丁寧に示してくれる。後ろに待っている人たちもいるが、スタッフは一人一人に丁寧に時間をかけて対応しているのが印象的だった。この場所での時間の流れと人々の急かさない態度に、ふと感心してしまった。結局、提示された54ユーロのホテルに妥協し、少し自信を失いつつもそのホテルへと足を運んだ。
地下鉄の回数券であるカルネを購入し、Corentin Cariou駅で下車。そこから歩いていくと、Canal de l'Ourcqの近くに位置する、非常に魅力的なホテルにたどり着いた。
その場所がいかに素晴らしいかを後に痛感することになった。運河沿いに広がる公園、その中に佇む現代的な建物や球体の映画館が、東京のお台場を思わせるような雰囲気を醸し出していた。旅の疲れを癒し、これからの計画を練るのに、3日間ここに滞在することに決めた。
ホテルに落ち着いたのは午前中。少し休息を取った後、両替と買い物のため外出した。ワイン、アプリコット、洋梨、トマト、チーズ、パン、サラミ、オリーブといった品々を少量ずつ購入。量り売りで価格も手頃、買い物がとてもしやすかったことに感心した。果物が豊富な時期に訪れることができ、本当に良かったと心から思った。パリの夜10時頃にやっと日が沈む中での、遅い夕食は手作りサンドイッチであり、それがまた一層の喜びを加えてくれた。
この3日間のパリ滞在は、宿泊費が予想以上に高くついたものの、その価値は十分にあった。心地よいホテル、周辺の美しい景色、そして自分で準備した食事は、このケチケチ旅行を特別なものに変えてくれた。2004年6月11日から13日までのパリでの日々は、旅の記録に新たな色彩を加えてくれた。

ホテルメモ
6/11~13 Paris …宿54€ Ibis

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