見出し画像

6月17日「ロワール河沿いでのんびりと過ごす時間」


その日は、まるで特別な贈り物のような晴天だった。朝から気持ちはわくわくしていて、ロワール河沿いの芝生が広がる公園へと足を運んだ。そこは、日常の喧騒から少し離れ、自然と対話できるような場所だ。歩いている人々は皆、慌ただしさを忘れ、のんびりとその瞬間を楽しんでいるように見えた。クルーザーから降り立った観光客も、Pon canalの風光明媚な景色をゆっくりと堪能していた。

公園の一角には、時間を忘れてベンチに座り込む老人の姿があった。彼の静けさに引き込まれるように、私もベンチに腰を下ろし、ただぼんやりと周囲を眺めた。そこには時間の流れを感じさせない、どこか別世界のような静寂が広がっていた。

ロワール河沿いに広がるこの公園は、様々な果樹が植えられていて、特にリンゴやブラックチェリーの大木が印象的だった。子供たちが木の下で実を拾い、木に登っては届かない実に手を伸ばす姿は、何とも言えず微笑ましかった。彼らが去った後、私もブラックチェリーの実に挑戦したが、高くそびえる木にはとうてい手が届かない。未練がましく実を見つめるうちに、時間だけが過ぎていった。

そんな穏やかな時間の中で、私はサンドウィッチを作り、絵を描き、ハガキを書き、友人とはドミノを楽しんだ。移動の予定もなく、宿も確保していたからこそ、心からリラックスしてその瞬間を満喫できた。

夜は、Pon canalを再び訪れた。ライトアップされた運河の美しさは、昼間とはまた異なる魅力があった。涼しい風と虫の声が、夜の訪れを告げていた。
そして、夕食には久しぶりに日本から持参した米を炊いた。キャンプファイヤーのように炊く米は一筋縄ではいかず、焦げ付かせずにちょうど良い硬さで炊き上げるには、少しのコツが必要だった。しかし、その日は奇跡的にうまくいき、インスタントの味噌汁とふりかけを添えて食べると、これまでにない満足感に包まれた。お腹が満たされると、その日一日の疲れが一気に出て、深い眠りに落ちた。

この旅は、単に場所を移動するだけではなく、その地の空気を感じ、時には何もせずに過ごすことの大切さを教えてくれた。ロワール河沿いの公園で過ごした時間は、私にとってかけがえのない宝物となった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?