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6月18日「フランス田舎道の冒険:ポン運河からクーロンへ」

Pon canalを後にし、私たちはレンタカーで新たな冒険に向かった。目的地はCoullons。友人と前日に苦労して計画したこの旅は、オルレアンに帰る途中で古城の美しさに触れるというものだった。広がる小麦畑を横目に見ながら、高い並木道を突き進んだ。一見、終わりのない旅路。時おり、遠くに小さな町や教会の塔が見え、それが唯一の変化となった。しかし、地図上の道路番号が見つからず、私たちはしばしば道に迷った。方向感覚を失い、心細い気持ちになることもあったが、太陽の位置を頼りに、なんとか正しい道へと戻ることができた。

奇跡的にCoullonsに到着し、カフェで一息ついた後、時間の遅れを取り戻すため予定を変更し、オルレアンへ向けてハイウェイを走った。それは、いつもとは異なる旅の展開だったが、その瞬間瞬間を楽しむことに意味があった。

オルレアンの町で起きた出来事は、私たちの友情を試すようなものだった。友人とはぐれ、心配と不安でいっぱいになりながらも、彼女が無事に戻ってきた時の安堵感は言葉にできない。車を返し、オステリッツ駅へ向かう列車の中での出来事は、この旅の中でも特に心に残るものとなった。

隣に座った三歳の男の子とその母親。母親は眠りにつき、男の子は退屈そうにしていた。私が折り紙で風船と鶴を作ると、彼の興味は一気にそちらへ。風船をサイコロに見立て、すごろくを始める彼の発想には驚かされた。その遊びを通じて、彼から「Merci beaucoup」という言葉を聞いた時、私の心は大きな喜びで満たされた。列車がパリに到着するときの別れは、言葉少ないながらも深い絆を感じさせるものだった。

夜行列車での南フランスへの旅は、バカンスシーズンの真っただ中。予想以上に列車は寒く、体を縮こませながらの一夜だったが、それでも目的地へと進む列車の中で感じる旅の興奮は何物にも代えがたい。炭酸飲料を手にした時の自由さ、日本では考えられないような解放感を味わった。

この旅は、単なる移動から得られるものではなく、途中で出会う人々、体験する小さな冒険が私たちの心を豊かにしてくれる。オルレアンからオステリッツ駅、そして南フランスへと続く旅路は、私の人生において忘れられない貴重な時間となった。


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