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「起業の天才」を読んで。

「起業の天才」・・・めちゃくちゃ面白かった。
NewsPicksで北野唯我さんが大絶賛していたので速攻でポチッたのだが、寝る間も惜しんで一気に読んでしまった。

リクルートの創業者であり、「リクルート事件」の首謀者でもある、江副浩正さんの生涯を綴った本なのだが、リクルートが発展していく様子がとてもリアルに感じられる内容であった。

今でこそ、リクルートは巨大企業として多くの人が認識しているが、1960年に学生だった江副さんが1人で立ち上げた企業であった。当時は、巨大製造業が経済を支配し、リクルートの競争相手は電通や各新聞社を中心とするマスコミだった。

「日本は産業立国。原料を輸入して日本で製造したモノを世界中に輸出することで繁栄してきた。日本でモノをつくらない会社が繁栄するようになると、日本の将来は危ういと思う。」

この言葉は、新日鐡出身の当時の経団連会長が江副さんに対して述べた言葉である。なんの違和感もなくこのような言葉が出る時代に、「情報」を生業にして巨大企業にまで築きあげた人物の話が面白くないわけないのである。

「リクルート事件」を境に消えてしまったが、次の社訓は1968年に定められたものである。

「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」

大量生産、大量消費の同質化が求められていた時代に、従業員の自律を標榜し「任せる」という江副さんの考え方に、どこかで社会に対する違和感を感じていた優秀な若者達が惹かれ、リクルートを発展させていった。

結局、江副さんは「リクルート事件」により、表舞台から消えることになる。真相は分からないが、リクルートにパイを奪われたマスコミが潰しにかかったのは間違いないだろうし、政治的に上手く使われてしまったのも事実だろう。

当時のメディアは、新聞とテレビが全てであり、今以上に印象操作はできたのだと思う。仮にSNS全盛の今だったらどういう展開になっていたか?
いや、今の時代なら「江副浩正≒リクルート」は生まれていなかったのかもしれない。

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