ミドル教員の安全基地をどう作るか?

 ここではNPO法人Grow Up で行なっている「ミドル教員のマネージメント(仮)」の活動の一つである「Twitterのspace機能を用いたミドル教員との対談」で話題に出た内容について書いています。

 この活動の目的は二つあり、一つは、マネージメントのしくみを現場に下ろすのではなく、現場の困り事の実情を把握する事にあります。もう一つが、何人かのゲストと継続して対談する事で、個別セッションのように個人情報を伴う具体的な深掘りはできませんが、安全基地となれるかの検証です。

 10月30日に行った8回目の対談の行いましたが、今回の対談は初の2回目の対談でした。3時間もの長い対談でしたが、その話題の中からミドル教員の安全基地について書きました。

 今まで対談してきた方々には、初任の頃に安全基地となる先輩や目標となる先輩がいました。ですが、実際にはそうでない先生の方が多く、安全基地としての経験がないからこそ、若手の方々に対して安全基地として振る舞えていないなと考えられます。

 では、どのようにしていけば良いのか?残念ながら答えはまだ見つかっていませんが、今回の対談で感じた事を書きましたので、参考になれば嬉しいです。

1.安全基地とは何か?

 まず、この活動における安全基地の定義を明確にします。元々は愛着障害での考えであり、それをベースにしています。

 安全基地とは「何でも話せる相手」であり、そのためには4つの条件がある
①安全感を保証する
②感受性を持ち、共感できる
③応答性があり、求めているときに応じられる
④安定性があり、対応が一貫している
「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」岡田 尊司 光文社新書より抜粋

 安全基地は対子どもだけでなく、全ての対人関係で重要です。重要というか、必要です。安全基地の存在が、不安を激減させるだけでなく、自分の成長を加速してくれますから。

 人には未知の恐怖があり、新しい環境を嫌います。ですが、人は歳を取りますし進学や就職や昇進や結婚出産と、本人が望むと望まざるとに関わらず、環境が変わっていきます。

 その未知を既知とするためには、経験が必要ですが、多くの場合それは痛みを伴います。過去の価値観で行動して、失敗して、修正していく。このサイクルを繰り返す事で、価値観がアップデートされていきますが、痛みを伴うため、その環境での正解が見つかるまでに必要な繰り返しが多いほど、諦めたくなります。

 安全基地となる人がいると、失敗の痛みも軽減できますし、サイクルも少なくできます。だからこそ、不安を激減させて成長を加速させる事ができるのです。

 安全基地は、必ずしも答えを提示する必要はありません。条件には「適切なアドバイスができる」事は入っていません。その人が感じている過去の価値観と今の環境との差をアップデートする時の、選択や決断を応援できればよいのです。

 だからと言って、安全基地を決めるのは相手です。自分から「私はあなたの安全基地だから何でも話してね」と言っても、相手がそう思わなければ、安全基地にはなれません。
 
 ですから、自分が自分の安全基地である人との関わる事が大切です。本を読んだり、誰かに教わったりするだけでは不十分で、実際に経験してこそ、他の人の安全基地となれるのです。

2.対談の中で

「前回の対談からもっと話すようにしたら、周りの先生達をより巻き込めるようになった」
「前回の対談の中で、伝えるためのヒントを見つける事ができた」
「今まで行動したかったけど出来なかった事を、次の対談までにやってみようと思います」 

 2回目の対談を行うことで、前回の対談からの変化をお話しいただけました。個人情報についての具体的な話は聞いていなくても、その人がやりたいと思ってた事を応援する事ができたようです。

 ゲストとしてご出演いただいている方々は素晴らしい方ばかりですが、ミドル教員の多くは、素晴らしい能力があるにも関わらず、その能力を対先生には活用できていません。

 担任からミドルマネージャーとして環境が変化した時に、まったく新しい価値観を学ぶ必要はありません。子ども達から先生方へと価値観をアップデートする事で、今持っている能力を活かすことができます。

 学級経営で発揮している手腕を、学校経営で発揮するのに必要なのは、安全基地なのです。

3.職場で活用するために

 安全基地がいれば、ミドル教員の悩みは激減して、他の先生方の笑顔も増えて、子ども達の笑顔を増やすことができるでしょう。

 私はプロのコーチをしていますので、クライアントさん達にとっての安全基地と言えます。その経験と能力があるし、YouTubeやspace等での対談から、ゲストとして出演された方から安心感を持たれているので、安全基地としてみていただいているのだと思います。

 とは言え、そこから広げていくのが難しい。
 中島個人の活動として広げていくだけでは限界がありますから。
ですが、この活動の中で新しいアイデアを見付けていけるよう継続していきます。


 今回の記事はこれで終わりです。少しでも役に立ったな、と思われたらスキや登録していただけると励みになりますし嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?