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スプリントにおける鉛直方向の力発揮とは(ストライド長の増大は鉛直と水平の両方向の地面反力(Ground reaction force:GRF)を増大させることによって達成される可能性が示されている)

筋パワーが青少年におけるスピード決定因子である

Chelly&Denisは、青少年におけるスピードの決定因子を検証した数少ない研究を行い、「筋パワー」が加速および最大スピードの鍵を握る重要な決定因子であり、さらに脚のスティフネスも最大スピードの向上に貢献していると報告しました。
また、Oliverらは、思春期直前期と思春期直後期の子供における最大ランニングスピードの変化は「パワー」と「水平方向への力」によってすべてが説明できるとしました。

これは、パワーが増大することにより、ストライド長(SL)の増加が可能になり、結果としてスプリントスピードが向上するためであるとされています。

ストライド長の増大とは

Nummelaらは、ストライド長の増大は鉛直方向に発揮される力(r=0.58)と水平方向に発揮される推進力(r=0.73)の両方に関連していると報告し、ストライド長の増大は鉛直と水平の両方向の地面反力(Ground reaction force:GRF)を増大させることによって達成される可能性を示しています。

これらの結果は、ストライド長を伸ばすための主要メカニズムとしてランナーた用いている手段はより大きなGRFの獲得であることを示唆しています。

すなわち、ストライド長は足が地面に接する局面において発揮される力との積によって決定されることになります。

速度の決定因子は、地面に対して発揮される力、ならびに足が地面と接する時間であると考えられます。

すなわち、より大きな速度を獲得するためには、より短い接地時間の間により大きな支持力を発揮しなければなりません。

GRFは3つの構成要素

GRFは3つの構成要素によって分けられますが、通常、最も重視されるのは水平成分(前後方)と鉛直成分のふたつになります。

Mero&Komiは、走速度と体重当たりの平均合力(水平と鉛直)との間には相関関係が存在することを証明して(r=0.65)いますが、スプリントパフォーマンスに対するGRFの諸成分の相対的重要性については多くの仮説がたてられています。

走速度の向上は、鉛直方向の力発揮の増大に関連していることが証明されていますが、一方で水平方向の力発揮とも関連性があることが明らかになっています。

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