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子供が疲労に対して示す反応(ハムストリングスの筋活動のタイミングと速度が変化すると、脛骨の安定性が低下、それにより脛骨の前方移動が増大するため、ACLが受ける機械適応力が増大する)

子供が疲労に対して示す反応

年齢、成熟度によって異なることが、近年の研究により明らかにされています。

欧州サッカー連盟(UEFA)に提出された報告書では、思春期前、思春期、思春期後の女子において、短時間の模擬的サッカーを用いた疲労プロトコルを実施後、下肢スティフネス、電気力学的遅延、および機能的な大腿四頭筋とハムストリングスの筋力比に違いは見られないとのデータを示しています。

これらの変化は年齢と成熟度により異なり、思春期前と思春期の女子は、前者が電気力学的遅延、後者が機能的な大腿四頭筋とハムストリングスの筋力比において最大の変化率を示したが、これらは動的な関節安定性に悪影響を及ぼす可能性があります。

ハムストリングスの筋活動のタイミングと速度が変化すると、脛骨の安定性が低下し、それによって脛骨の前方移動が増大するため、ACLが受ける機械適応力が増大します。

このように女子の被験者において上記の反応が測定され、また近年の研究において、疲労状態にある若年男子サッカー選手の神経筋コントロールのパターンが変化すると示唆されていることから、男子もまた、年齢、成長、成熟の度合いにより、示す反応が異なると考えることが妥当です。

成長に伴う神経筋、筋腱の変化

成長に伴って神経筋および筋腱の変化が生じますが、その変化が青少年のSSC能力に及ぼす影響はまだ明らかになっておらず、青少年の生物学的成熟が暦年齢通りに進行するとは限らないことも一因であり、集団が異なるとSSC能力も変動する可能性が高くなります。

留意点

留意点として、慢性的な疲労が求心性フィードバックのレベルに及ぼす影響です。

男性被験者を用いて、模擬的な伸張性の疲労プロトコルに対する反応を測定した研究では、実施96時間後に、筋機能がほぼ基準値まで回復したのに対し、電気力学的遅延は報告されたすべての収縮条件において増加していました。

この結果は、シナプス現象後の興奮収縮連関(ECC)に変化が生じたことが原因の可能性があります。

このことは、激しい疲労を引き起こすエクササイズ、例えばサッカーにおける減速や方向転換のように、何度も繰り返し実行される伸張性筋活動などの実行後にパフォーマンスを再開するにあたって、神経筋の準備状態をモニタリングする必要があることを示唆しています。

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