子どもや思春期の若者の障害予防(筋力および神経筋のコーディネーションと制御が改善すると、重度の膝の傷害(すなわち前十字靭帯損傷)が減少することを示唆している)
障害予防に関する子どもや思春期の研究
MSF(筋骨格系能力)の他の要素と同じく、障害予防についても、子どもや思春期の若者に関する研究は成人に比べて少なく、しかもそのような研究の大多数が、思春期後期の若者の膝の傷害予防に関するものになります。
そのような研究の多くは、筋力および神経筋のコーディネーションと制御が改善すると、重度の膝の傷害(すなわち前十字靭帯損傷)が減少することを示唆しており、このような研究は有用であり、実戦にも確実に影響を及ぼしています。
現在では、複数の公式、非公式のプログラムを通じて神経筋のコーディネーションと制御を高める取り組みが、スポーツ環境では比較的日常的に実行されています。
このようなプログラムの形態として最も多くみられるのが、Cincinnati sports medicine research and education foundationの「Sportsmetrics」プログラム、あるいは、伝統的なスポーツ練習に組み込んで実施されるプライオメトリックベースの体系的ウォームアップ(例えば、Santa monica sports medicine foundationの「Prevent injury and enhance performance program」)になります。
これらの研究結果は、対象範囲は限られるものの、潜在的に重篤な膝の傷害発達リスクを低減する効果がかなり期待できます。
筋力不足
動的な関節安定性は、受動的制限(靭帯と関節の配置)および能動的制限(筋と神経筋コントロール)によって影響を受けます。
能動的制限が損なわれると、傷害リスクが高まります。
筋力不足により神経筋コントロールが不十分になり、傷害の引き金となります。
研究によると、筋力不足は急性(ACL断裂やハムストリングスの肉離れ)と慢性(膝蓋大腿関関節疼痛症など)両方の下肢のスポーツ傷害に関連があります。
傷害予防に関する近年の研究
傷害予防に関する近年の研究は、代償運動パターンとそれらがもたらすオーバーユース障害を特定し、改善に取り組むことを目的としています。
これまでのところ、ほとんどの研究は、思春期後期から若年成人期のアスリートを評価し、矯正エクササイズの処方によって、パフォーマンスを阻害し、ひいては傷害を引き起こすおそれのある代償運動パターンを低減または解消することに焦点を当てています。
これを踏まえて当然、次に実施されるべき研究は、より若い年齢層において代償運動パターンの発生を予防することが可能であるかを調査し、発達段階に適したプログラムの全体を通じて予防や矯正エクササイズを処方し、オーバーユース障害と急性傷害を長期的に追跡することになり、このような研究は、不適切な動作パターンやパフォーマンスに関連する傷害の発生と重症度を大幅に低減する効果が確実に期待できます。
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