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コピーを書きなぐる。


こんにちは。

コピーライターの中島佳人です。

今回は、いかにも
コピーライターっぽい話

「書きなぐる」

という話をしたいと思います。


コピーライター1年目のときの話です。

仕事のなかで、
現在も数多く関わっている
マンションの広告制作なんですが、

最初の頃は

「マンションのキャッチコピーって、全然わからん」

そう思ってました。


販売価格が何千万円という商品…

当時、20代半ばで、
手取りが20万円もなく、

築30年以上で、
天井が歪み切ったマンションに
住んでいた僕には、

天井高3mの部屋に
リアルに過ごすシーンが
想像できるわけもなく‥‥

なので

「何を言うべきか」

「どのように言うべきか」

マーケティングでなんとなく
答えが出ていても、
実感がついて来なかったので、
苦手意識が
高かったんです。

というか、
苦手意識しかありませんでした。

書けませんでした。


では、どうしたかというと

逆に、書きなぐりました。


コピーを、書きなぐる。

その言葉の通り、紙に向かって
殴り倒す感じで書きまくりました。

思い通りに書けないことや
自分に対する不甲斐なさへの
フラストレーションみたいなものも
あったと思います。

「これだ!」という
ドンピシャなものを書けるイメージが
微塵もなかったので
とにかく思いつくものを
ひたすら書くのみ、でした。

今は、1枚の用紙に複数の案を
ちょろちょろっと書く、
省エネスタイルになりましたが、

当時は、A4用紙1枚につき1コピーを
ぶっといマジックでガッツリ書く、という
スタイルでやっていました。

エコもクソもなかったです。

この「A4用紙1枚につき1コピー」
って意味あるの?

って感じなんですが、

実はなかなかありました。

なんといいますか

一つひとつのアイデアに
存在感が生まれるんです。

単純に、紙のはしっこに
小さく書いたコピーよりも、
A4一枚に書いた1コピーの方が
存在感が大きくなる。

当然といえば
当然なんですが

ボツ案でも
無駄に流されることのない、
埋もれることのない
次のアイデアにつながる
「糧」としての存在感が生まれるんです。

一つひとつの案に愛情が生まれる…
という感じなんでしょうか。

感覚的な話に
なってしまいますが。

その案の束を見返すことで、

「言葉のチカラ」というものを
客観的に感じたり、
より深く考えるようになりました。

「言葉として弱いな」

とか

「他と比べてこの言葉が強いな」

とか

どのような表現が、
突き刺さるものになるか。

見分ける力が
自然と磨かれていったと思います。


駆け出しのころは、

「束になるくらい、とにかく書く」

「A4用紙400枚をすべて使い切る」

みたいな、謎の追い込みを

自ら課していました。


そうすることで
コピー筋肉のようなものが
鍛えられていったんですね。

次に、コピーの書きかたについて。

これは、ケースバイケースなんですが…

商品オリエンを聞いたときが
いちばん刺激を受けて
アイデアが湧き上がってくる状態なので

まずは閃いたコピーを、
勢いよく書きなぐります。

「快」を感じる、楽しい時間帯ですね。

しかしながら、
当然、勢いはとまるので、
その時はオリエン資料を読み直して、
ふたたびコピーを書きます。

そして、

過去のマンション広告を参考に、
書いたり

他業種の広告を参考に、
書いたりもします。

はたまた

コピー年鑑やら広告雑誌やらを見て
インスピレーションを得ながら、
書きなぐったり

プロデューサーやデザイナーと
しゃべりながら、書いたり

漫画を読みながら、
その合間に書いたりもします。

こんな感じで、常に

自分に刺激を与え続けながら書いてきます。

そして、ひと通り書いたコピーの束を、
机に広げたり、壁にバーッと貼って
グループ分けしたり
取捨選択したり、
「もう少しこの方向を増やそう」と
コピーを追加したり。

ひとりワークショップみたいなことを
しょっちゅう、繰り返しやってました。

この作業をすることで、

◎商品理解がグッと深まり、整理される

◎訴求すべきことについて
 フォーカスが絞れるようになる

◎アイデアの幅がグッと広がる

◎思いも寄らない、突き抜けたアイデアが出てくる

また、

◎アイデアがストックされる

◎アイデア出しの質と速度が上がる

といった感じで、
次の機会にも良い形でつながっていきます。


あと、書きなぐったA4用紙の束を見ると

「自分、ここまでやれるんだ」

と自信につながったんですね。


というような具合で、

マンション広告のコピーに対する苦手意識が

自然となくなっていきました。

小さなことを忠実に重ねていく


これに勝る近道はないですね。

次回も、このテーマについて
もう少しだけ書かせていただきます。

他のひとに「書きなぐる」を
実践してもらったらこうなった…
というお話です。


長文におつきあいくださり感謝です。

では、また。

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