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映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021が最高だった話

はじめに

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021を鑑賞しました。(コロナの影響で延期になったので、2022年だけど2021年なのです。)

旧作が特に好きなドラ映画の一つだったのでリメイクでの不安はありましたが、個人的には大満足なリメイクでした。

あらすじは以下の通り。

夏休みのある日。のび太が拾った小さなロケットの中から、手のひらサイズの宇宙人・パピがあらわれる!彼は、宇宙のかなたにある小さな星・ピリカ星の大統領で、反乱軍から逃れるために地球にやってきたという。最初はパピのあまりの小ささに戸惑うドラえもんたちだったが、ひみつ道具“スモールライト”で自分たちも小さくなって一緒に遊ぶうち、次第に仲良くなっていく。ところが、パピを追って地球にやってきたクジラ型の宇宙戦艦が、パピをとらえるためにドラえもんやのび太たちを攻撃。みんなを巻き込んでしまったことに責任を感じたパピは、ひとり反乱軍に立ち向かおうとするが・・・・・・。
大切な友だちと、その故郷を守るため、ドラえもんたちはピリカ星へと出発する!!

『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』公式サイトより

始めはネタバレなしのざっくり感想。

・旧作に比べパピの掘り下げが多くなった。
・戦争が行われているピリカ星が舞台のため、話のテーマが重い、だけど子供向け作品なので最終的にはハッピー。
・作画◎カメラワーク◎爆音◎ 戦闘の迫力がすごかったです。戦車変形もあるかっこいい。
・しずかちゃんが準主役。作画かわいい、行動かっこいい。ミルク風呂にちゃんと入ってくれる。
・敵のドラコルル長官がかっこいい&有能。そしてcv諏訪部順一。刺さる人にはかなり刺さる。セリフの多さに笑う。
・出木杉くんの出番あり!!!

旧作をしっている方はとくに「あのシーンは…?」と気になる部分も多いと思います。「ここないのか~」と思う点もありましたが、その分新規激熱シーンが増えているので、最終的な満足度は高いです。旧作の焼き直しではなく、選択肢をかえた別世界線と思うといいかも。

ネタバレなしの感想はここまで。



以下ネタバレ込みで感想。
今回は大きく5点についてお話します。

【1】旧作からの変更点

リメイク作品のため旧作から変更された点が多くありますが、大きな変更点は

①新キャラ(パピの姉、ピイナ)の追加
②しずかちゃんがPCIAに人質にとられ救出する際、パピも地球に残る

新キャラは元々PV等で存在を知っていましたが、②については「そうくるか~!?」と映画館で転げ落ちそうになりました。
例えるなら『ひぐらしのなく頃に』で圭一が魅音に人形を渡した時の衝撃。

今作のしずかちゃんは行動力すさまじすぎる。

パピが地球に残りのび太たちと行動することで、パピのエピソードが増え旧作と比べてキャラクター像がかなり深まりました。
個人的には良改変だったと思います。

ピイナについてはそんなに出番がないので、わざわざ追加したのに?とは思いますが、ピリカ星でのパピの心の居場所、唯一のパピの子供らしさと考えると必要だったのかなと思います。
でも姉としずかちゃんを重ねて顔を赤くするのは笑いました。お姉ちゃんのこと好きすぎん?

【2】リメイク版パピの活躍

パピの名シーンはやはりギルモアの戴冠式での演説でしょう。

のび太たちとの交流を通して成長したパピが、人を信じることの大切さを国民たちに向けて投げかけるシーン。

旧作でもあったパピの「ぼくが一度でも嘘をついたことがあるか?」というセリフの通り、パピはとにかく頭がよく真面目で立派な大統領。そのため何でも一人でやってしまうから取っ付きにくさもある人物像をしています。
映画内でもパピのピンチにのび太たちが協力しようとすると、「いやいやこれ僕たちの問題なので…」と遠慮する様子がありました。のび太たちはお構いなしで協力しちゃうのですが。
そんな我等友情永久不滅なのび太たちと関わり、成長したパピだからこそあの演説が出来、人々の心を動かすまでに至ったと思うと、小さいころからパピをしっている隣の家のおばあちゃんのような気持ちで感動してしまいました。
パピが手を伸ばすシーンの作画の勢い、最高だった。朴璐美さんの演技も最高だった。最高に最高を重ねた最高ミルフィーユシーンでした。

演説シーンはパピと過ごす時間が長く、彼をより知ることが出来たリメイク版だからこそ出来た名シーンだと思いました。

最初にリメイク版パピを見たときは「なんでこんなイケメンなのに、髪の毛がチョロっとしてるの…」と思いましたが、そんなの気にならなくなった。

【3】しずかちゃんが凄い

自由同盟の宇宙基地が襲撃されるシーンは、旧作でも人気シーンの一つです。

スネ夫が戦場に登場するシーンは、映画ドラ作品の中でのスネ夫一番の活躍シーンといっても過言ではないです。リメイク版もこのシーンは健在でした。でも、このシーンでは個人的にしずかちゃんの動きが最高過ぎて惚れたので語ります。

襲撃を受けみんなが出撃準備をする中、戦いに恐怖し物陰に隠れて縮こまっているスネ夫。
おそらくジャイアンだったら「おめぇこの期に及んで何してんだ!」と怒鳴り引っ張り上げることでしょう。
でもしずかちゃんは違います。しずかちゃんはスネ夫を怒鳴らず、隠れる際に脱げたスネ夫の靴を彼の前においてそっと立ち去るのです

そしてスネ夫は前を向いた靴を見つめ、戦場へ向かう決意を固める…

いやしずかちゃん、しびれるわ

スネ夫はあと一歩踏み出せば勇気を出せる段階にはいたので、ジャイアン式でも戦場に立つことは出来たかもしれません。
ですが、しずかちゃんは何も言わず、そっと靴を置いたのです。その靴に「あなたの考えは否定しない。でも待ってる。」とスネ夫への信頼の全てをつめました。そしてスネ夫は勇気を踏み出す、あくまで自分の足で。自分の力で立ち上がったからこそ、スネ夫が参戦したシーンは感動できるのです。

子供向け作品なのになんだこの感想は。すごいな。

出撃の際のしずかちゃんのセリフもすごい。

「そりゃあ私だって怖いわよ。でも…。このまま独裁者に負けちゃうなんて、あまりに惨めじゃない。」
「やるだけのことを、やるしかないわ!」

本当はしずかちゃん、スネ夫にこう言いたかったのかな…でもスネ夫を思って言わずに、彼の意志に託した…。いや君人生何回目?どう生きてきたら小学生がそんな考え持てるの!?と思わずにはいられない。好き。

【4】少年期と宇宙小戦争

旧作の見どころの一つは挿入歌『少年期』でしょう。私もドラ映画の挿入歌の中で一番好きです。
どうして大人になるのか、いつ大人になるのか。単純に見えて答えるのが難しい、この曲はまさに宇宙小戦争にぴったりの曲だと私は考えています。

リメイク版では流れませんでしたが、今回はパピとの友情にフォーカスしたこと、そもそも挿入歌を流す場面自体も変わっていたので特に不満にはなりませんでした。少年期への期待が(恐らく)高い中、素晴らしい曲をココロありがとう…。

とはいえ、リメイク版を見た後に改めて少年期を聞いても最高なので語らせてください。

宇宙小戦争は『のび太たち』と『パピ』が子供という点で見た時に対照的に書かれています。
のび太たちは夏休みをエンジョイしている普通(ドラえもんがいる時点で普通じゃないけど)の子供。
パピはのび太と同年代にも関わらす、大統領として大人の働きを期待されている子供。

ピリカ星では8歳に大学を卒業したら大人扱いのため、パピは地球に来ることでのび太たちと同年代の『子供』として友情を育みます。ロコロコものび太たちと出会った後のパピを見て明るくなったと驚いていましたね。大人としての役割を務めるパピですが、まだまだ少年の心を持つのび太と同年代の男の子なんだな、という印象を受けるのです。

一方のび太たちは、いつも通り友情第一!戦争だってやってやらぁ!精神。映画の最初はジオラマでキャッキャしてたのに恐ろしい精神力。でもそれってパピのためって子供らしく単純に考えられるからこその強さなのです。
唯一普通の精神をしているのはスネ夫。戦争に対して恐怖し、敵が攻めてきた際には逃げ隠れる場面もあります。他の奴らの精神力がおかしいだけで、スネ夫の反応が普通なのです。大人だって怖いよ。それでも最終的にスネ夫含め、みんながパピのために戦いに身を投じていきます。かっこいい反面、『子供』の役割越えすぎだよって思うのです。

この作品はパピとのび太たちを通して、子どもとは、大人とは、という境界線をとても曖昧にしてくる作品だと思います。テーマも友情の大切さを伝えている反面、戦争の恐ろしさと民衆の力を描いていたりして子供作品としてはかなりディープ。でもこの光と闇で心をぐちゃぐちゃにしてくるところがこの映画の魅力でもあるのです。

ここで『少年期』を聴いてみてください。切ないメロディーに単純かつ複雑な問い。映画にピッタリだと思いませんか?武田鉄矢先生ありがとう。

【5】のび太たち無能すぎ。でも…

この作品、敵のドラコルルは滅茶苦茶頭がキレて支持も的確。ドラ映画最強です。一方のび太たちは愛と勇気パワーは凄いのですが、あまり考えて行動は出来ない。
秘密基地が見つかる場面の大戦犯はドラえもんたちだし、しずかちゃんとスネ夫も自由同盟の話を聞かず星に突っ込んでいく。スモールライトを取り返しに行けど、敵が上手すぎて処刑台に送られる。

のび太たち、もちろん大きな戦力にはなるんですけどやらかしも多い。なので戦争中の動きとしてみると「おいおいおいおい」ってなる。それでも優しい自由同盟の人たちに涙が出てきます。さすがパピが大統領の国。

こんな小学生と子守りロボットでドラコルルに勝てるのか!?と思うのですが、勝てるわけがないので、みんな死にかけます(本当に死にかける)。
じゃあどうなるかというと、旧作品と同様スモールライトの効果切れで大逆転するのです。ピンチ⇒巨大化⇒逆転。最高!

「ここまできてそれで勝つんかーーーーーーーーい!」って思いますよね。旧作品を見た幼き私でさえも思いました。

でもそれでいいのです。のび太たち実際子供だし。勝てなくて当たり前。

だけどそこで諦めず、愛と勇気で押して押して押して色々な要因が重なって、奇跡的に勝利するのです。
のび太たちもパピもロコロコも自由同盟も、みんなの想いがつながって、スモールライトの効果切れにつながるのです。う~ん、良い話だ。

「えぇ!?効果切れで勝つの!?」ってちょっと笑えるドラえもんが私は好きです。

ちなみに今作、ドラえもん側は敵の戦闘機を撃墜しまくりますが、全部無人戦闘機なのでご安心ください!スネ夫がちゃんと調べといてくれて笑いました。進撃の巨人にならなくてよかった。

最後に

というわけで、旧作の宇宙小戦争が大好きな人間による宇宙小戦争2021の感想でした。リメイク作品の中でもかなりハイクオリティだったのではないでしょうか。
宇宙小戦争への感情をぶちまけることが出来たので、また映画を見に行こうかななんて考えています。

ちなみに2022年3月現在、アマプラで歴代のドラえもん映画が配信されているので、宇宙小戦争はもちろんその他名作ぞろいのドラ映画をぜひご覧いただければと思います。

ドラえもん最高!


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