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「2020年6月30日にまたここで会おう」を読んで、”船長”になることを決意した。


良い読書とはなんだろうか。

僕はよく本を読む。しかし振り返ってみると、本当に心に残るような本は案外少ないことに気がつく。いつまでも心に残り、自分の人生の指針となるような本にはなかなか出会うことはない。

僕にとっての良い読書とは「本質」を真正面から突く本だ。「本質」といっても一口にその意味を説明するのは難しいが、僕の中では「一番大切なこと」だと認識している。時代が変わっても、素直に守り続ければ必ず結果につながる普遍的なモノの見方や考え方、それが本質だと僕は思う。

そして、小手先のテクニックではなく、物事の本質を突き、雷に打たれたような感覚を与えてくれる一冊と出会えたとき、僕はそれを良い読書と呼ぶ。

「2020年6月30日にまたここで会おう」というのは、本のタイトルだ。著者は2019年8月に若くしてこの世を去った瀧本哲史氏。東大法学部卒業後、東大大学院で助手を勤めたのち、マッキンゼーに入社。その後、危機に瀕していた日本交通の経営再建に携わった。エンジェル投資家や経営コンサルタントの顔を持ちながら、京都大学客員教授として若者の背中を押し続けた伝説の男だ。

その彼が、2012年6月30日、東京大学の伊藤謝恩ホールにて、全国から集まった若者約300人に対し行った伝説の講義がまとめられたのが、この「2020年6月30日にまたここで会おう」だ。

そしてこの本は、瀧本哲史氏が問い続けた、「本質」を真正面から突いた一冊である。

彼がこの講義で伝えたかったメッセージはただ一つ。

「自分の頭で考えて行動しろ」だ。

なんだ、それだけか。成功するために必要な3つのことみたいなアドバイスはないのかと思う人もいるかも知れない。瀧本氏はそんな「誰かに正解を求める姿勢」を真っ向から否定する。

そんなものは本質ではない、と。君たちは人のフリした猿にはなっていないか。本を読んで、人の話を聞いて、賢くなった気になって、それで終わっていないかと。

若者よ、行動せよ。この国を変えられるのは、君たち若い力しかない。だから、簡単な道に流れるな。行動し、失敗し、ボコボコにされながら、何度だって立ち上がって、また真っ向から勝負しにいけ。

そう瀧本氏は力強く学生たちに訴えかける。

簡潔に言えば、先ほどの述べたようにこの本の主題は「自分の頭で考えて行動しろ」に尽きる。そしてそれは紛れもなく本質だ。ただ、いざそうしろと言われても、どう行動にうつせばいいのか、分からず路頭に迷う人が多いのも事実だ。そんな心配に対し、瀧本氏は現代において行動しないことでいかに損をするか、行動した人、リスクをとった人がどれだけ大きな成功を収めているか、自身のエピソードや実話を例えに用いて、力強く僕たちに語りかけている。

そしてこの本のラスト、瀧本氏は東大に集まった300人を超える学生にこう提案をした。

8年後の今日、2020年の6月30日の火曜日にまたここに再び集まって、「宿題」の答え合わせをしたいんですよ。

その2020年6月30日を目前に、瀧本氏は47歳の若さでこの世を去った。

この講義が開かれた2012年6月30日、僕は中学3年生だった。大学どころか、高校の志望校すら決めていない、何も知らないただの中学生だった。あれから8年。怒涛のように過ぎていった高校時代。苦悩に満ちた浪人時代。毎年新しいことの挑戦できた大学生活。そして1年の休学を経て今に到る。

8年という歳月は、僕にとっては非常に長い。8年前から今の自分が想像できなかったように、8年後の自分も全く想像ができない。いや、想像できないというより、想像ができるような8年を送りたくない、が正しい。

僕は瀧本氏が繰り返し述べていたように、自分の頭で考え、ゲリラ戦を仕掛け続ける人間でありたい。大学も4年になると、周りで自分の将来が決まったなと感じてる人がたくさんいる。あの企業に就職し、あの資格をとり、いくつで結婚し、転職し、生涯年収がいくら、など。

「人と同じなんていやだ」

そんなことを言っていた友人は、人と同じようにリクルートスーツを身にまとい、大企業へと就職していった。

これまでの8年とは違う。多くの同世代にとって、次の8年はある程度見通せてしまう現実味を帯びた手に届く未来になった。

一方で、僕は執筆という自分が心の底から楽しめる道を見つけ、寄り道をしてきた。1年後、2年後、自分が何をしているのか全く想像がつかない。想像がつかないからこそ、毎日が刺激の連続で、飽きることがない。これは僕にとってのゲリラ戦である。日々頭を使い、考え、自分にできることに精一杯取り組み続ける。

安定とは程遠い、常に不安定で、興奮しっぱなしの生活だ。しかしそんな日々を送っていると、自分の中の「野生」が目覚めてくる。

「一生は短い」「力のかぎり闘おう」

そんなエネルギーふつふつと湧いてくる。

しかし一方で、周りをみては時に焦ることもある。

「自分はこれでいいのか」

「みんなと同じように、同じ道を進んだ方がいいのではないか」

そんなとき、僕はこの本を何度でも開くだろう。


「君は船員になりたいか、それとも船長でありたいか。」


8年後、僕は船長でありたい。自分の人生は、自分の頭で考え、自分で決める。答え合わせはさらにここから8年後、2028年だ。

"Bon Voyage!"
ーボン・ボヤージュ!


良き航海をゆけ!


瀧本氏に勇気をもらった若者の一人として、自分の道を切り拓いていこう。僕は船長として、これから8年間、さらにその先も、前に進み続けよう。


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