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コミュ力向上ならまずはアサーション

コミュニケーションに関するスキルや考え方は数あれど、ここを通らずしてコミュ力をupすることはできない。

私は企業研修でもアサーションをテーマに数多くのご依頼をいただきます。
アサーションとは「自己主張」と端的に言えますから、部下にはっきり物が言えない管理職や、主体的な発言がない若手向けにアサーションを身につけて欲しいと考えられる社内ご担当者様は多いようです。

しかし、アサーションの世界はそんな表面的な話ではなく、もっと深い内容なのでした。

2月10日から2日間、アサーション(アサーティブコミュニケーション)の研修を受けてきました。
そこで沢山のことを体験し、学びましたが、今回はそもそもアサーションとは?という部分について私の理解も含めてシェアします。

まずアサーションとは、自分の考えや感情、ニーズを適切に、かつ尊重を持って伝えることです。
これにより、他者とのバランスを保ちながら、自己尊重と他者尊重の間で健全な関係を築くことができます。
日本アサーション協会の公開講座や代表の平木典子先生の著書の中では「自他尊重」と表現されています。

アサーションのスキルは、人間関係のあるすべてのところで役立つものですが、私が専門にしている職場の人間関係でも非常に価値があります。
なぜなら、それは単に自己主張することだけではなく、相互理解と協力の基盤を作るためのものだからです。

アサーションを効果的に実践するには、自己主張することよりも、まず「聞く」ことの重要性を理解する必要があります。
聞くことによって、他人の意見や感情を尊重し、理解することができます。これはコミュニケーションの基本であり、信頼関係を築く上で不可欠です。
公開講座ではグループワークを通じて、価値観を共有し、違いを共有することを体験的に学習することができました。

次に、自分の感情やニーズを「Iメッセージ」を用いて表現することが重要です。
例えば、「あなたが遅れると困る」ではなく、「私はプロジェクトが時間通りに進むことを重視している」と伝えることで、非難するのではなく、自分の感情やニーズを伝えることができます。
講座ではIメッセージを強調して習うことはなかったですが、自己表現ですから、自分を主語にして話すことが自分の気持ちや考えを適切に表現することにつながります。

また、アサーションでは、否定的なフィードバックや批判も建設的な方法で伝えることが重要です。
これには、具体的な事実に基づき、改善のための具体的な提案を伴うことが含まれます。
感情で怒りをぶつけるとコミュニケーションとして失敗することはイメージしやすいと思いますが、それを建設的なコミュニケーションにするためにも事実ベースで話し合うことは役立ちます。
このようにして、フィードバックは成長と学習の機会となります。
心理的安全性が高い関係であれば建設的に否定的な意見を伝えることができますが、その時にも役立つスキルですし、指示指導をする立場の管理職にはぜひ身に着けてもらいたいスキルです。

もし企業の人事労務担当者が、アサーション研修企画する場合、これらのスキルを従業員に学んでもらう機会を提供することができます。
弊社の研修では、ロールプレイやケーススタディを活用したり、DESC法というアサーションを実現するための伝え方の型もワークを通じて学ぶことができるように設計しています。
また、特に管理職などコミュニケーション力が重要なポジションであれば、研修後にも定期的なフォローアップの機会を設け、アサーションのスキルを継続的に実践し、改善できるようにすることも重要です。

コミュニケーション研修も弊社では傾聴や雑談をはじめ様々な角度からご依頼をいただいております。
例えばコミュニケーションで不可欠な「聞き手」「話し手」の2つのスキルの総和がコミュニケーションスキルだと考えた場合、「傾聴」と「アサーション」は基礎的な部分ですが、まずはアサーションから学んでいただくことをお勧めいたします。
なぜなら、アサーションには自他尊重というコミュニケーションの根っことなる姿勢が重要な要素として含まれているからです。
アサーションを学んだ上で、実際に聴くためのスキルである傾聴を学んでいただくことで、マインドとスキルが融合された実践的なスキルとなっていきます。

結論として、アサーションは職場でのコミュニケーションと関係構築において不可欠なスキルです。
アサーションの原則を理解し、それを身につけることは、より健全で生産的な職場環境を実現することができます。
アサーションの実践は、職場のエンゲージメントとウェルビーングを高め、結果として組織全体のパフォーマンス向上につながります。

もちろん、夫婦や友人関係など人間関係には幅広く生きてくるものです。
コミュニケーションが変われば人生が変わります。
アサーションをぜひ多くの方に身に着けていただきたいです。


●筆者について
株式会社EAPサポート喜び 代表取締役
中井裕規(なかいゆうき)

国際EAPコンサルタント(CEAP-International)
精神保健福祉士、公認心理師、産業カウンセラー
東京大学大学院医学系研究科 職場のメンタルヘルス専門家養成プログラム修了

大学、大学院にて心理学を専攻。EAP会社勤務を経て、独立起業。職場のメンタルヘルス対策、コミュニケーションを専門として企業研修、法人コンサルティング、職場カウンセリングを行ない、0次~1次予防を中心にはたらく人と企業のwell-being向上に取組む。EAP会社10社の法人向け新規事業立ち上げにも参画。
双子の男の子を育児し、育児を通して人生を豊かにするために多胎家庭支援やパパママに対する講演活動にも積極的に取り組む。

●筆者関連サイト
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研修、講演会、ストレスチェックやカウンセリングなどのご依頼やお問合せはホームページよりお願いいたします。

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https://twitter.com/nakai_mhsw?s=21&t=lCidzkN2AUVwDaKeHVUwnw


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