3月20日(日記)池田晶子さんの全著作を読み終える
もうすっかり春
いろんな生き物が一斉に活動を始め、植物が芽吹く様子は、「春は醜穢な季節なり」と、マラルメだったかな?が言った言葉を思い出す。
ついに、池田晶子さんの全著作(29冊)を読破する。というより、してしまった。達成感よりも喪失感が多い。もう未知なる作品を読めないのかと。
これまで多くの人の全集を読んできたけれど、これほどの喪失感は初めてかもしれない。
今度は、出版年月日順に読んでいこうと思う。たぶん、こうして死ぬまで読み返し続けるんだろうな。
まずは、そのデビュー作。「事象そのものへ!」トランスビュー出版。読んでみればすぐわかる。
ただただ、すごいと。これだけの思索の果て「哲学の言葉」を、若干三十歳で達成していることに驚愕する。
あとがきにこうある。
「世界に生起する諸事情を普遍的意識による個別的現象形態として認識し、それら全事象の存在論の、詩的言語による体系化の試み」。
それが、池田さんが書き始めた理由だった。
これは詩人ランボーをオマージュしたのだろう、「当初の予定では、一気呵成に書き上げて、あとは砂漠に消えてしまうつもりだった」と言い残して。
しかし、その後も池田さんの哲学の旅は続き、28作を連ねることになる。
そして、池田さんは、自身が敬愛する埴谷雄高さんから精神のバトンを受け継ぎ、ついには革命家となりてこう宣言する。
まだこの世の端っこに残されている者の一人として、池田さんからの精神のバトンを受け継ぎ、この無血革命に殉じられたらと思う。私の場合は、小説を通じて。
と、もっと軽く書くつもりが少し熱くなってしまいました。まあ、これも日記ゆえの筆の滑りかな。
というわけで、ぜひ、池田晶子さんの本を何でもいいから読んでみてください。救われも、楽にもなりませんが、まだ見ぬ真実に少しは近づけます。
人生変わっちゃうかも。
文字を追い 先達を供養する 彼岸かな
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