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「文学」のために

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「文学の可能性」を探っていくマガジンです。YouTube、文学フリマ、句会、映像化、Tik Tok、メンバーシップ等々、文学のために何ができるか考えていきたいと思っています。不定…
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#考えたこと

失われた「夏目漱石賞」を復活させて欲しい

芥川賞、三島由紀賞、谷崎潤一郎賞と、偉大なる文豪を冠した賞が数々ありますが、その中でひとり肝心な人を忘れている気がします。 それは、つまり夏目漱石先生のことです。夏目漱石賞、ありそうでない賞です。 しかし、いろいろ調べてみるとかつては存在したそうです。1946年に桜菊書房というところが、夏目漱石没後三十周年を記念して、賞を作りました。 その栄えある第一回が渡辺伍郎「ノバルサの果樹園」という小説でした(残念ながら消えてしまいましたが)。 この夏目漱石賞。なぜか第一回限り

児童文学に代わる言い方

これは、普段からずっと感じていることですが、肩書きとして児童文学作家と名乗るのがとても気恥ずかしいので、めったにしません(このnoteでは便宜上です)。 最近、よく耳にする児童ポルノという、超凶悪的なNGワードを思わず連想しますし、児童という言葉に自体に、どこか上から目線、教育者的目線がある気がするので、自分が作ったものには、できる限り「児童」とつけないように心がけています。 かといって、何か代わりになる言葉がないか探していますが、中々見つかりそうにありません。勝手に作っ

ツイートとコピーライティングの相似性

ツイッターとかを見ていると、時々、天才かと思うような面白いツイートをしている人を見かけることがあります。 興味本位で真似しようとしても、とてもできそうになく、スタイルだけをまねてももどうしても気が抜けた、冴えない感じになってしまいます。もしくは、どこか鼻につくような。 かといって、政治、経済、社会情勢についての話題を、正面からツイートできる見識も知識もないので、ツイートする勇気もありません。それに、反論されたらおろおろするでしょう。 その昔、ツイートの文字数は限られてい

児童文学の未来

長らく児童文学を書いてきたのですが、小説を書き始めた頃は、まさに純文学一本勝負といった感じでした。 しかし、なかなか芽が出ずに、ある人から「児童文学の方が向いている」と言われて、あっさり転向しました。今でも、純文学を書いてはいますが、メインはあくまで児童文学です。 ただし、ご存じのとおり、文学でも食えていかれないのに、児童文学はなおさら食えないカテゴリーだと言われています。つまりは、レッドオーシャンです。 というのも、児童文学は絵本と同じく、大人の本に比べて、定番が圧倒

遥かかなたの芥川賞

昔は、芥川賞や直木賞と聞くと、数ある文学賞の中でも特別な賞だという印象がありました。それこそ、年二回の発表があるときには、新聞やテレビで大々的に発表され、受賞者は一夜にして有名人になったぐらいです。 しかし、今では、一年前の受賞者は誰だかわからないといった、隔世の感を禁じ得ない状況となっています。 もともと両賞は、文藝春秋社を創立した菊池寛が作った賞だと言われています。年二回の賞があるのは、商売の世界では「にっぱち」と呼ばれる、2月と8月の不振の月の対策のためでした。