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経営理念が浸透している会社はやっぱり強い【M&A日記】

経営理念が浸透している組織は、PMI(M&A後の統合プロセス)がうまくいきやすいと考える。

国内のM&Aはその殆どが買収であり、合併は少ない。
なので、買収された会社はそのまま存続し、買収した会社の子会社化する。

合併の場合と大きく異なるのは、統合プロセス。

合併の場合は、買収側と同じ会社になるので、例えば就業規則などの規定類は買収企業のものに即していくことになる。
それに対して、買収の場合は子会社とはいえ、別法人なので、独自の規定類を保つことが可能。
PMIにおいては、当初はある程度子会社としての独自性を持たせながら、緩やかにグループ全体としての整合性を図っていくやり方が多いかと思う。

買収時点で全部統合してしまうのか、時間をかけて緩やかに統合していくのかの違いだ。

買収企業にとっては、買収してからがスタートなわけで、PMIは超重要。
これがうまくいかず、社員の離反を招いてしまったら大変だし、組織に亀裂が入るようなことも避けたい。

私の感覚としては、経営理念浸透がしっかりしている会社ほど、PMIがやりやすくなる。

実際問題として、経営理念がしっかりと浸透している中小企業は殆どない。
このnote書こうと思ったときに、私がかつて支援してきた多くの譲渡企業の中でイメージに合ったのは数社のみ。

また、理念が浸透していない会社はPMIに失敗するということでもないので、理念浸透が全てでも決してない。
あくまで私個人の経験上感じたこととして共有。

とある会社は、理念浸透が素晴らしかった。

良いものをお客様に提供したいという意思が会社で統一され、それを強烈に体現して背中を見せる管理職たちがいて、社員たちは誇り高く、そして会社に対する高い忠誠心を持っていた。

理念が浸透している会社は、社員の忠誠心が社長ではなく会社に向く。
そのため、M&Aとなって社長が退任しても、会社が変わらなければ自分たちも変わることはない、という受け止め方をして、ブレにくい。
これがPMIを容易にする要因だと思っている。

買収企業も社員たちを高く評価した。
時間をかけて規定類などはグループとして統合していきつつも、根幹の部分はむしろそれがより評価されるように仕組みを整えていった。
その後そこの社員たちは、昇進して次々と買収した会社=親会社に引っ張り上げられ、活躍の場を広げている。

経営理念は会社の目的。
あなたがこの会社にいるのは何故ですか?と聞かれ、「〇〇をやりたいから」という回答が理念と一致しているかどうか。
これが一致している従業員は、M&Aとなっても、なら辞めるというような突発的な判断をしない。
自分が組織にいる理由・目的が守られるのかどうか?に着目する。
なので、買収側がそこを大事にする限りは、離反や組織崩壊のようなことは起きづらく、即ち理念浸透している会社は強い!

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