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M&A会社の経営者として、大廃業時代をどう考えるか【M&A日記】

まず結論から書くと、私は「2025年の大廃業時代」という標語?には、意味がないと思っている。

2025年に、経営者の高齢化と後継者不在を理由として、127万社が廃業の危機に陥る可能性がある、とされているのが「大廃業時代」
127万社。。
日本の企業数が400万社に満たないぐらいなので、127万社は日本の企業全体の約3分の1だ。

2025年に年齢が70歳を超える経営者が245万人、そのうち後継者不在が127万社ある、という計算。
経営者が引退する平均的な年齢が70前後なので、この245万人の経営者が引退すると、内127万社は後継者不在のため廃業せざるを得なくなる、ということだ。

さて、後継者不在問題を解決しうるM&Aを生業とする経営者としてこれをどう考えているかというと、冒頭の通り意味のないことだと思っているので、全く気にしていない。

M&A業界にとっては追い風なのかもしれないが、所詮当社は年間数件の支援にすぎないし、お客様は全てご紹介。
ミクロすぎて、影響が及ばないぐらい。

さて、私が意味がないことと考える背景を以下ご紹介する。

そもそも昨年の2022年時点でも、約3分の1の企業の経営者は既に70歳を超えている。
そして、内約半数の企業が後継者不在というのも変わらない。
後継者不在の状態は私がM&A業界に参入した10年前の時点でもうはじまっていたこと

なので、「2025年に大廃業時代を迎える!」というけど、そんなことは随分前から始まっていることで、今さら粒だてる必要があるのか、と思う。

また、大廃業時代は何を問題視しているかというと、廃業による雇用の喪失だ。
中小企業庁の試算では650万人が雇用を失う可能性がある、としている。

これは正直めちゃくちゃな計算だと思う。
廃業した企業の平均雇用従業員数が5.13人なので、それに約127万社をかけて算出されている。
2025年になった瞬間に127万社が廃業して、650万人が職を失う、というように聞こえるが、そんなことあるわけがない。

この10年以上、ずっと経営者は高齢化し続けているし、ずっと後継者不在だったが、年間の廃業数は2~3万に過ぎない。
増加傾向ではあるが極端には増えていない(倒産件数が減少傾向のため、全体で見れば横ばい)


長い時間軸での650万人という話であり、過去10年、20年の廃業による失職者数の数を合算すれば同じような数字になるはず。
2025年に何か特別なことが起きるわけではない。

ということで、経営者が高齢化した多くの企業で後継者が不在、というのは事実だが、2025年に何かが変わるわけでもないので、2025年大廃業時代という言葉には意味がない、と思っている。

また、私はそもそも、後継者不在の会社が多いことも、大した問題ではないと思っている。
後継者不在の会社が多いから大廃業時代を迎えるというのは大きく論点がズレていると感じている。
次回はそれを書きたい
と思う。

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