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【書録切書】 2022/01/29 「Who are you?」


 本の内容を読み返したり、読み替えしたりしてます。


■ 斎藤英喜「Ⅱ 祟りと託宣」(『アマテラスの深みへ』新曜社、1996年)

崇神天皇は〕問ひまをさく、「亦有すや」とまをしたまふ。(『日本書紀』)
注意したいのは、「願はくは其の名を知らむ」審神者が祈りを発してから、最初に神が声をあげるまで「七日七夜」もかかっていること、また神への問いが「亦有すや」と執拗に繰り返されるところだ。(中略)「神」は、そうたやすくは交流しえないような、絶対的な「他者」なのだ。だからこそ、神の言葉を引き出す審神者の「問い」が、重要な技となるのである。
                              (56-57頁)


内田樹『他者と死者 ラカンによるレヴィナス』(文春文庫、2011年)

レヴィナスの文章では、文中にある概念について読み手が「それはどういう意味か?」と問うたびに「そう問うあなたは誰か?」という反問が返ってくる。レヴィナスのテクストは、何かを理解させるために書かれているというよりは、「『何かを理解する』とはどういうことか?」というそれより「一歩手前」の、より根本的な問題に読者を差し戻すために書かれている。
                               (29頁)


■ ホメロス『オデュッセイア』 ■

ウーティス(誰でもない)
Outis emoi g'onoma.

 オデュッセウスがキュクロプスの1人であるポリュペーモスに捕らえられた際に発した言葉。自分が「誰でもない」と名乗ったおかげで、彼はなんとかキュクロプスたちのもとから逃げ去ることができた。




...そう言えば昔思ったドーデモいい話なんですけど、

 昔のエラい人にプロティノスっていう神秘主義者(心をマッサラにして神と一体化しようとする人)がいるのだが、漢字に直すと

 プロティノス → 御前誰

になるってのを思いついたことがある。
(※古代ギリシャ語で「プロ pro」は「〜の前に」、「ティノス tinos」は「誰の」を意味するらしいので)


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