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映画「オッペンハイマー」でアカデミー賞7冠!クリストファー・ノーラン監督作品に迫る!
この記事をご覧くださり、誠にありがとうございます。
映画「オッペンハイマー」とクリストファー・ノーラン監督に迫る第二弾です。
第96回アカデミー賞の授賞式が3月10日、ロサンゼルスで行われ、クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』が、作品賞を含む最多7冠という快挙を成し遂げました!
注目の作品賞をはじめ、13部門にノミネートされ、監督賞など7冠を受賞した本作は、原爆開発を主導したアメリカの理論物理学者・オッペンハイマー氏の伝記映画です。
『ダーク・ナイト』『インター・ステラ―』など錚々たる作品を生み出してきた映画界の誇る巨匠、クリストファー・ノーラン監督による初の伝記映画ということで、早くから注目を集めていました。
公開日(3月29日)まであと僅か。
前回の記事は、「オッペンハイマー」とは何者か?について迫りました。
J・ロバート・オッペンハイマーはアメリカ合衆国の物理学者で、原子爆弾開発の「マンハッタン計画」を主導した人物。
「原爆の父」として知られています。
ただし、本人は原爆を開発したことを後悔し、水爆実験に反対。公職追放されました。
第2弾の今日は、クリストファー・ノーラン監督とその作品についてご紹介していきたいと思います!
クリストファー・ノーラン監督とは
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クリストファー・ノーラン監督は、過去に『ダーク・ナイト』『インター・ステラ―』など錚々たる作品を生み出してきた映画界の誇る巨匠です。
過去に『ダンケルク』などの歴史映画の経験はありますが、『オッペンハイマー』はノーラン監督初の伝記映画とのことで注目が集まっていました。
なぜ、『オッペンハイマー』を題材に選んだのか?
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ノーラン監督がなぜ、『オッペンハイマー』を題材に選んだのか。
NHKの取材に、次のように答えています。
「オッペンハイマーの物語にはかなり前から関心を持っていました。
私が育った1980年代のイギリスは核兵器や核の拡散に対する恐怖感に包まれていたんです」
1980年代といえば、東西冷戦の真っ最中。
アメリカとソ連が核開発競争に凌ぎを削っており、ノーラン監督の育ったイギリスでも、反核運動が高まっていました。
それ以来、ノーラン監督も、核の脅威や、核が解き放たれた時の世界について、考えを巡らせてきたといいます。
そして、「核兵器」を生み出したオッペンハイマーに着目。
彼が抱いた恐怖を原点に、作品づくりを始めたそうです。
「オッペンハイマーの心の葛藤を感じ取ってほしい」
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映画本編では、オッペンハイマーの視点や、彼の心の内面はカラーで描かれます。
それ以外のシーンはモノクロで描かれ、画面の色合いが複雑に切り替わるのが大きな特徴だそうです。
原爆投下後のシーンでは、オッペンハイマーが核兵器開発の正当性に苦悩し続ける様子がカラーにて繰り返し描かれる模様。
ノーラン監督は、映像を通して、オッペンハイマーの心の葛藤を感じ取ってもらいたい、と話しています。
「観客は、彼の視点から物事を見ていきます。
それによって、重要な場面で、観客も、彼が直面したジレンマを経験することになります。
彼と仲間の科学者たちが原子の力の可能性を発見して知識を深めていく様子や、敵国に先をこされないように兵器を開発しなければならない様子を目にするのです」
「オッペンハイマーは生涯を通して複雑な感情や思考と向き合いました。
映画で見せたかった重要なことは、世界中で核兵器が解き放たれることで多くの“負”をもたらすと彼が見抜いていたことです。
自分の仕事がもたらす“負”の結果も承知の上で、それでも、矛盾した現実に直面し、あのような道を進まなければならなかったという、彼のジレンマに観客を巻き込もうとしました」
10代の息子の言葉を聞き、核の脅威への意識の変化を実感
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ノーラン監督は、人々の核の脅威に対する意識が、時を経るにつれ「変化している」と長年感じてきました。
その思いが特に強くなったのが、10代の息子の言葉を聞いたときだったそうです。
「10代の息子は私に『僕たちの世代ではあまり関心がない。気候変動に比べると核兵器は大きな関心事ではない』と言いました。
衝撃でした。
核兵器に対する私たちの意識や恐怖心は地政学的な状況によって変化します。
変化することを常に意識し、懸念すべきなのです」
ノーラン監督は、息子さんのような若い世代を含め、映画を見た人たちから、多くの議論が起きることを期待しているそうです。
日本公開日は3月29日。目が離せませんね!
作品作りにおいては、「物語の衝動を忘れない」こと
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『オッペンハイマー』では、ノーラン監督自身が、原作を元に脚本を執筆しています。
これまでも、オリジナル脚本の映画を作ったり、小説からの映画化、歴史ものの映画化、既存映画の続編、リメイクなどさまざまなタイプの映画を作ってきたノーラン監督。
作品を一つ創り上げる上で、忘れないようにしていることは「物語の衝動」だそうです。
何よりもまず、魅力的なストーリー、映画製作にかかる2~3年の間、私の興味を引きつけるようなストーリーを追求します。
そして、映画全体を想像し、製作をする仲間を集めていく中でも、最初の衝動を忘れないようにして、常に意識的に自分自身に対して「この物語に対する私の最初の興味は何だったのか?この映画で起こるすべてのことの原動力となるストーリーテリングの衝動は?」ということを問うようにしています。
ノーラン監督は作品への「没入体験」にこだわる
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観客を映画の世界観に惹きこむ上で、ノーラン監督が得意とする手法が、「没入体験」です。
科学者の頭脳と心を五感で感じとる、極限の没入体験を味わってほしい。
そのために、わざわざ65ミリカメラ用モノクロフィルムを開発し、初のIMAXモノクロ・アナログ撮影を実現させました。
さらに、日本では35㎜フィルム版の同時公開も実施されるとのことです。
ノーラン監督は、映像の奥行きや色の表現が重要だと考え、フィルム撮影にこだわり続けています。
クリストファー・ノーラン監督の過去作品ベスト3🌟
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最後に、クリストファー・ノーラン監督の過去作品から、おすすめベスト3をご紹介させていただきます。
①『ダークナイト』(2008年)
バッドマン・ダークナイトシリーズ第2弾。
舞台は犯罪都市「ゴッサム・シティ」。
多発する犯罪を抑制するため、「バッドマン」として活動を続ける主人公ブルース・ウェイン。
そんな中、ジョーカーと名乗る人物が現れ、「バットマンは名乗り出ろ。名乗り出なければ毎日誰かを殺す」と正体を明かすよう挑発を開始する。
有名な「ジョーカー」VS「バッドマン」の戦い。
ノーラン監督の手腕により、ただのアメコミ映画ではなく、人間心理を深く掘り下げた作品となっているのが秀逸。
また、ヒース・レジャーの演じる悪役「ジョーカー」の演技は、まさに狂気! 控えめに言って、怖すぎます……。
間違いなく、映画史に残る傑作です。
②『インセプション』(2010年)
スパイのコブ(レオナルド・ディカプリオ)は、他人の夢に潜り込んで、その潜在意識から情報を抜き出す仕事をしている。
コブはある時、実業家であるサイトー(渡辺謙)から仕事の依頼を受ける。
依頼内容は、ライバル会社を倒産させるため、ライバル会社の会長の息子ロバートの潜在意識に進入し「会社を潰す」というアイデアを植え付けること。
コブは任務遂行するメンバーを選定し、対象に見させる夢を設計し、潜在意識にアイデアを植え付ける計画を進める。
しかし、いざ夢の中へ潜り込んだコブたちを待ち受けていたのは、予想外の出来事だった。
他人の夢に潜り込み目的を果たす、という潜在意識下での活動を描いた衝撃作!
さらに、夢の中の夢の中の夢...、複数階層の夢の中で複数の物語が並走するなど、視聴者を迷走させそうな重層的な世界観が神秘的。
ラストはスッキリ終わりますが、それまでがもはや、異次元タイムトリップしたかのような衝撃です。
③『インターステラ―』(2014年)
異常気象の頻発による食料問題により、地球人類滅亡の危機が迫っていた。
トウモロコシ農場を営んでいる元宇宙飛行士のクーパーは、秘密裏に進められていたNASAの「ラザロ計画」に参加することになる。
ラザロ計画の目的の1つは、人類が居住可能な別の星を探すこと。
候補となる星は別の銀河系にある3つの星。
クーパーは人類の存亡のために、命がけで有人惑星間航行(インターステラー)へと旅立つ。
宇宙航行にワクワクします!
ワームホール、ブラックホール。移住候補の星など、宇宙の神秘や恐怖も味わえます。
最後のどんでん返し、前半の伏線回収が圧巻!
【『オッペンハイマー』関連作品】
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ベスト3には入りませんでしたが、『オッペンハイマー』に関連する作品をご紹介します。
『テネット』(2020年)
あるオペラハウスでテロが発生。
テロ鎮圧部隊の一員である「名もなき男」は、テロリストに捕らえられてしまう。
恐ろしい尋問がくり返されるなか、機密情報を漏らすまいと名もなき男は毒薬の入ったカプセルを口にして死のうとする。
しかし、カプセルのの中身は鎮静剤にすり替えられていた。
目覚めた彼に対し、とある男が謎のキーワード「TENET(テネット)」を頼りに「未来から来た敵と戦い、世界を救う」ミッションを与える。
彼は世界を救うことができるのか?
『オッペンハイマー』の直前に取り組んだ、ノーラン監督作品のなかでも最も複雑な作品です。
巡行する時間軸と逆行する時間軸の2軸が存在し、視聴者を圧倒します。
ノーラン監督の『テネット』への想い、そして『テネット』の先に『オッペンハイマー』を描いた想いが見えるので、インタビューを一部紹介させていただきます。
『テネット』では、オッペンハイマーについてトリニティ実験で初めて原爆を爆破させる時の矛盾した瞬間について言及しています。
科学者たちが、地球を破壊する可能性を拭いきれないにも関わらず、ボタンを押したというシーンです。
これはある意味、核の脅威があるという現実を、SFで表現するカタルシス的な試みでした。
『テネット』では、一度発明したことを戻すことができるのか、ということを描きました。
それから私は現実の世界での核の脅威と、それが解き放たれたときの影響について深く考えるようになりました。
知識の危うさ、学んだらそれを元に戻すことはできない、これは私が様々な映画で模索しているテーマです。
『テネット』が終わった後には、恐ろしい技術によって世界を永遠に変えてしまった人物について探りたいという気持ちが残っていました。
〈まとめ〉
いかがでしたでしょうか?
クリストファー・ノーラン監督は、視聴者を迷宮入りさせる天才なのではないかと感じるとともに、常に強いメッセージ性を作品に入れ込んでくるのが特徴の監督です。
今回のノーラン作品が、初の伝記モノ、しかも「オッペンハイマー」という複雑な評価の人物を取り上げている、という点で、注目に値するのもよく分かります。
世界公開よりも少し遅れる3月29日、日本に上陸するのを心待ちにしたいと思います。
最後までご覧くださり、誠にありがとうございました🌸
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