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コロナ報道により視聴率を上げたテレビ局が自分の首を絞めまくっている件、そしてナショナルクライアントのテレビ離れについて

1月9日、小林よしのり氏と泉美木蘭氏が行っている「オドレら正気か? 新春LIVE」で新型コロナウイルスについて色々と議論をしてきました。ウイルスの専門家・京大の宮沢孝幸氏、都市工学や経済に詳しく内閣参与も務めた・京大の藤井聡氏、元厚労省で医師の木村もりよ氏、医師の萬田緑平氏、弁護士の倉持鱗太郎氏と、メディア・広告事情の専門家として私も出演しました。

数字は悪くないのに番組打ち切り…テレビ業界に新機軸という記事を東スポが出しました。要はコロナでスポンサー企業が苦しくなり、若年向けにCMを打つ方向にシフト。その結果、高齢者向けの高視聴率番組から撤退し、番組打ち切りになる、という話です。本当は東スポのサイトを紹介したかったのですが、見つからん。後に記事を消すヤフーではなくライブドアニュースのURLを貼っておきます。東スポはもっとSEO対策やらないとヤバいですよ。(Y追記:リンク貼りました)

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2019年から博報堂の業務委託契約で働いているのですが、彼らの話を聞いていると、やっぱりヤバいですね。何しろ、コロナが騒がれ始めた3月以降、当初予定していたイベントが軒並み吹き飛んだ。広告会社は五輪や大規模スポーツイベント、ライブも含めて業務としていますが、それらがなくなるわけです。また、アミューズメント施設も当然自粛の流れができる中、CMを打つ必要がなくなる。

実際にコロナがどれだけヤバいか、については様々な判断があるでしょう。日本の死者が欧米と比べればケタ違いで少ないことは自明ですが、テレビが「慎重であるべき」「人の命は大切」という判断のもと、コロナの恐怖をしきりと訴えたことは事実でしょう。

その論調でいけば視聴率が上がることを理解した彼らはますますその論調を強めていく。その結果、人々の消費マインドは低下し、企業も同業他社の様子をチラ見しながら「あいつらも積極策に打って出てないな……。まだ時期じゃないな……」とばかりに経済活動を低下させる。

「コロナはヤバ過ぎです!」の論調を変えられなくなったテレビは、「怖いです!」と考える視聴者数の増加と歩調を合わせ、ますますプロパガンダ機関としての機能を強化する。

その結果、完全に日本で消費ムードは低迷し、企業にしても「宣伝するものがない」状態になっています。今年は風邪薬のCM、あまり見なくないですか? 「あなたの風邪は喉から? 鼻から? 熱から?」のベンザブロックの新バージョンは作られているものの、流れる回数は少なくなっているように感じられます(あくまでも私の体感値)。

もはや世間の空気は「風邪なんてどうでもいいよ。とにかくコロナがヤバいんだよ!」となっており、風邪薬のCMのインパクトは非常に薄いという判断を各社がしているため、GRP(延べ視聴率≒出稿量)を減らしていると考えられます。

しかも、巣ごもり生活により、各社の総視聴率はかなり上がった。関東なんて前年比119%です。視聴率が上がるとCM単価も上がります。分かりやすいのは、「土地の価格」を連想することです

CMは「視聴率500%分買う」といった買い方をします。かなり乱暴になりますが、視聴率10%だった局だとCMを50回流せましたが、視聴率が12.5%に上がると、40回流せることになります。すると、この局は他の会社のCMを+10回流すことができるわけですね。視聴率というものは、土地の「単価」を決めるものとお考えください。だから各局が視聴率上昇に血眼になるのです。視聴率が上がれば上がるほど、「一等地」を抱えていることになり、局の収益は向上する。

しかし、テレビは視聴率は「煽り報道」により見事に上昇させることに成功させましたが、消費マインドの落ち込みと視聴者からの「お前らは自粛しないのか!」の抗議を恐れる企業の判断により、CMを出稿するインセンティブをダダ下がりさせたのです。というか、売り上げも減ったのでCMみたいな高い買い物できない。

これが、結果的にはテレビ局が自分で自分の首を絞める結果になったわけです。予想しますが、今後増えるのは「健康食品」「通販会社(ジャパネットたかた他」「スマホゲーム」のCMになることでしょう。そして、「CMってそこまで効果なかったんじゃね?」ということに気付いたナショナルクライアントがテレビから撤退し、ますます「売らんかな」の姿勢しかない健康食品・通販・スマホゲームのCMだらけになる、という状況になるかもしれません。

「コロナはヤバ過ぎ」を煽りまくった結果、視聴率は上がったものの、今、局の営業は「なんとかしてくれー!」と頭抱えていると思います。一方、制作・報道部門は「オレらは社会に役立つことをやっているんだ!」という姿勢を持つ。ますますナショナルクライアントのCM離れが進み、テレビが衰退産業になっていくというわけです。シャンシャン。

今度、「コロナとCM」を含む広告ビジネスについては、東日本大震災の例も交えてnoteで書きます(多分100円にします)。また、フリーが稼ぐ術を書く「月刊お気楽フリーランス論」も発売中ですので、そちらもどうぞよろしくお願いします。特にVol.1は総括になっているのと、具体的数字がたくさん出ているのでお勧めです。

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