仕事をやる、やらないの基準。重要なのは「成長」「カネ」「仕事相手が好きか嫌いか」【月刊お気楽フリーランス論Vol.11】あと「あ、波が来てる」と感じる瞬間
今週、無茶苦茶寒いですね。皆さんお体には気をつけてこの寒波を乗り切ってください。立て続けに九州の仕事いただきました。嬉しいです。これについては追い追い「地方とフリー」などのテーマで書いていくことになるのではないでしょうか。
さて、先日飲んだ九州の編集ユニット・EDITONEのくましろひろこさんからいただいた質問は「相談から確実な仕事につなげる方法とは」です。 これは自分と相手の関係性がもっとも影響するもので、ナメられていたら「相談」が「仕事」にならない可能性が高くなります。
どうすれば「相談」が「仕事」になるのか
私のフリーランス初期の頃、一番仕事にならなかったのは意外にも「会社員時代からの先輩」からの「相談」でした。この時、「人は案外思い付きでモノを言う」「仕事を発注する・相談する側は受注側ほどの強い思いはない」ことに気付き、以後あまり期待せずに「相談」は話半分に聞くようになりました。
具体的に言うと、自動車の展示会イベントがアルゼンチンであるからイベントの運営経験があり、英語が喋れる現場ディレクターができるヤツを探してるので、お前、アルゼンチンに行かないか? という仕事を先輩から相談されました。会社員時代はイベント運営はけっこう携わっていたので。ただ、ディレクター業務はイベント会社の人がやり、私は基本的には彼らを「管理」(エラソーだな…)する立場でした。上記写真は唐津市の朝7時からやっている定食屋で買ったナスとピーマンの天ぷらです。
さて、このアルゼンチン行きの話が来た当時は、まだフリーライターになる前の完全無職の状態だったため、「おっ、これはでかい仕事だ! 100万円ぐらいもらえる案件だな!」とガッツポーズを決めたのですが、待てど暮らせど話が来ない。先輩に確認したところ「あー、ゴメン。別の人に頼んじゃってた。またなんかあったらよろしくね」とサラリと言われてしまいました。
まぁ、仕方がない。私がフリーのイベントディレクターとしての実績がないのが悪いのと、後輩だからな、と軽く見られていたのが悪い。その後も先輩方からお前、〇月の後半、空いてる?」みたいな軽~く振られるような話もありますが、「やっぱあれなくなった」ということが続き、期待をしないことにしました。
結局実績がすべてなんですよね……。相談されても仕事にならなかった場合は潔く己の実績と能力不足を認め、「いつの日か『これはなんとしても中川さんにお願いしたいんです!』と言わせてみせるぜグヌヌヌヌ」という反骨心を持つといい。そして、「あなたにも不遇な時代ってあったんですか?」なんて聞かれた時にそのエピソードを語ればいい。フリーランスは失敗もすべてが後のネタになる、と考えた方がいいです。その方が失敗しても後にカネにつなげられる。
NHKからナメられまくった話
あと、2011年末、ジャーナリストの津田大介さんから、「NHKが新しい形のニュース番組を開始する。曜日コメンテーターの一人に中川君を推挙しておいたよ」と言われ、NHKからの連絡を待ちました。これは後に『NEWS WEB 24』という番組になるわけですが、開始は2012年4月。それが仕事にならなかった経緯を書く前に、同番組のプレスリリースから番組概要を見てみましょう。
『NEWSWEB 24』は、視聴者参加、双方向性を重視し、“ネットでは知り得ない”情報を届ける新しいニュース番組です。NHKのニュースサイト「NHK NEWSWEB」との連動を図りながら、“視聴者の関心”に基づいてニュースを伝えます。番組の狙いは「NHKが伝えたいこと」から「視聴者が知りたいこと」への転換です。番組の中で活用するのが、コミュニケーションツールとして浸透している「ツイッターTwitter」。放送中にツイッターで寄せられる視聴者の疑問・質問に答えていきます。答えるのは、そのニュースに詳しい専門家や担当記者。
なんだか「来てるね、双方向の時代!」的な番組でしたが、同番組には「ネットナビゲーター」と呼ばれる「ネット事情に詳しい人」が曜日ごとに登場することとなります。NHKからは数日後に電話が来て、一度NHKで打ち合わせをすることになりました。
新しい番組を作るぜ! という気概を持った5人の男性がやってきて、私達は活発に意見を交わし合いました。
A氏:いやぁ~、中川さん、面白いですねぇ! いいアイディアですねぇ!
中川:ネットの空気感ってヤツをきちんと番組に反映させることで「こいつら分かってる」って思ってもらえますよ!
こんな感じで和気あいあいと、前向きに会議は終了し、A氏からは「じゃあ、また近付いたら連絡しますので。色々相談させてもらうこともあるかと思います」と言われました。
2012年1月、「正月明けた翌週ぐらいには連絡来るかなぁ~♪」と待っていたのですが、連絡はナシ。さすがに2月の中旬になると、「4月開始なのにそろそろ動かなくちゃまずいだろうよ」と思います。しかし、私にとっては史上最もデカい仕事。もちろんテレビ番組への出演はあったものの、それらはあくまでも単発。あの、天下のNHK様でレギュラー仕事だなんて、オレのことを無職だと思っている故郷の親が泣いて喜びますわ! 下記、プレスリリースの画像です。
だからこそ12月末から2月中旬まで、私は喜びの絶頂にあったと思います。周囲にも「NHKから話が来た」ということは伝えており、「すごいねー!」なんて言われて喜んでいた。しかし、2月下旬に入ってもなしのつぶてのため、「これってオレ、外れてるんじゃねーの?」と思うように。3月上旬、思い余って番組プロデューサーのO氏に電話しました。
中川:あのぉ、NEWS WEB 24についてですが、私、何か準備しておくこととかありますか?
O氏:いや、特にありませんので大丈夫です。
中川:はーい、分かりました。詳しいことが分かったらまた連絡ください。
O氏:分かりました。
最初の質問、本当は「私は番組に出演するんですか? しないんですか? 番組のために諸々4月以降の仕事も断っております。そろそろ準備もあるので出演曜日とNHKに拘束される時間がどれぐらいか教えていただけますか?」と言いたかったんですよね。しかし、大NHK様を前に妙に卑屈なことしか言えなかった。
そして番組が開始する前の週になっても私に連絡はない。どーいうこっちゃ、とNEWS WEB 24と検索したところ、番組HPが立ち上がっており、そこには曜日別のネットナビゲーターが並んでいた。
古市憲寿氏、瀧本哲史氏、津田大介氏、速水健朗氏、木村俊介氏と全員私より売れている--。結局、私の実績と知名度が足りなかったのですよ……。Oプロデューサーからは「あれ、連絡しなかったら採用しない、ってことって言ってませんでしたっけ?」なんてバイトの面接みたいなことを言われる始末。ナメられていたら仕事に繋がらないんですよね。だからといって普段からイキりまくっていても仕方がない。やっぱり「チクショー!」と思うしかない。で、この時のNHKとのバトルについては、今後「ケンカのやり方」で紹介していきます。
結局「相談を仕事に発展させる」には「実力をつけろ」しかない。理不尽なワケで、くましろさんの質問には答えておらず申し訳ありません。ただし仕事にならなかった場合、「相談料」をもらう、というのは一つ手かと思います。「リサーチ費」や「データ料」「会議代」など名目はなんでもいいですが、よっぽど悔しかった場合は、3万円ほどを上記名目で請求しちゃってもいいです。ただし、そいつと縁を切ることを前提とした場合に限ります。多分ほとんどのフリーはその請求をしないので「面倒くさいやつ」と思われます。いや、本当はその費用、請求した方がいいのは分かります。
これは仕事になる! が分かるものは課題が超明確
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