ロシアの誤算

思った以上に西側が食い込んでいた

3日で終わるはずたったウクライナ侵攻が1ヶ月経とうとしている。その理由の一つに、西側の精鋭部隊がかなりの数入り込んでいるからだ。
イギリスのSAS、アメリカのネイビーシールズ、デルタフォースなど最強チームの1個大隊が投入されているという情報もある。

ゼレンスキー大統領があれだけ強気なのも、強力な後ろ盾があるからに他ならない。

ロシア軍が80万人だろうが、そうそう簡単に落ちることがないのはそうした理由だ。ウクライナの民兵がそれほど強いわけでもなく、ロシア兵が弱いわけでもない。ゼレンスキー大統領の暗殺も12回失敗しているらしい。

ロシアの暗殺部隊がマヌケなのだろうか?こちら側で報道されるニュースには、誰が阻止したのかという重要なファクターが抜け落ちている。
NATOには加盟はしないが、ほぼNATOが後ろ盾になっているようなものだ。

また、ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟は諦めるという話をしていたが、ここまで露骨だとNATO加盟など最早、些事だ。

プーチン大統領が考えている上に西側がウクライナに食い込んできていたのが、1つ目の誤算だ。

支持率30%は危険水域のはず!?

2つ目の誤算は、ゼレンスキー大統領の支持率が30%ということだ。
わかりやすく日本に置き換えてみると、支持率30%というと内閣不信任決議案が野党からいつ出されてもおかしくない状況だ。

菅総理のときでも、支持率30%は危険水域と言われていた。
しかし、なぜか日本ではこのゼレンスキー大統領の30%支持率を楽観視する報道がある。全く意味がわからないというか、別の意図を感じてしまう。

プーチン大統領も、支持率30%なら国民に支持されていないわけだから、すぐに終わらせて別の大統領(傀儡政権)を擁立して終わりのはずだった。

しかし、支持率30%の大統領が粘った。というか、国民が分断された。女性や子供などは隣国に亡命という形で国外退去し、男性は総動員令が発動され18歳から60歳までの男性は出国できなくなったのである。

そんな状況だから、誰の支持はなくてもゼレンスキー大統領は存在し続けるということになっている。男性を全員国内に縛り付けるのは、ロシアが攻めてくることがわかっているのに、国を守るため男性は全員国のために死ねと言っているようなものだ。第二次世界大戦の日本軍の本土決戦のような状況になっていることに気づいているだろうか。

また、兵として戦争に直接関わっていなくとも、戦時下のウクライナで死亡した場合、ロシア軍に殺されたことになる。人壁が街を守るという発想は、まともな人間の考えることではないが、全てロシアが悪い、ロシア軍がやったことというシナリオが完成する。

2つ目の誤算は、民間人も巻き込む軍事行動になってしまったということだ。

俳優としてのゼレンスキー

ゼレンスキー大統領は、元俳優というが、役の演じ方がうまい。

ロシア侵攻が起きてからはずっと、軍服を思わせるグリーンのTシャツにヒゲを剃らないスタイルで人前に出ている。そして、その格好で世界各国の国会で助力を求めていた。
アメリカの著名人が、あんな格好で無礼ではないか?とSNSで発信したところ、大炎上。

ここまで印象操作がうまくいっていると、これは、ゼレンスキー大統領の発案ではない。おそらく、バックにいる優秀なスタッフ達がちゃんとこの状況になることをわかって色々とやってくれているのだ。

ドラマや映画でも主役は画面に写っている俳優一人だが、その後ろには、衣装さん、メイクさん、ディレクター、アシスタントディレクター、照明さん、音声さん、カメラさんと沢山の人達が頑張っている。
なので、大統領の演説で、GoPROに一人で語っているとは考えにくい。

また、たくさんのスタッフに囲まれて、しっかりと自分の役をこなせるのは、やはり俳優でなければ出来ない。そういった意味でもゼレンスキー大統領は抜擢だった。

3つ目の誤算は、ゼレンスキー大統領がここまでの影響力を持つと予測できなかったことだ。

戦争は、虐げられた状況からの脱出

武力による戦争は20世紀で終わったものだと誰もが思っていた。しかし、クリミア戦争しかり、今回のウクライナ戦争でもいまだに武力介入は続いている。実は世界中ではいたるところで紛争が続いている。紛争地帯というのはなかなかなくならない。

戦争がなぜ起こるのか?というメカニズムについて考えてみると、理由は虐げられた状況からの脱出だ。アラブの春も独裁政権からの脱出だし、クルド人とトルコ人、イスラエルとパレスチナ、アフガニスタンなど。今ある紛争の主な原因はここに行き着く。戦争という手段は最終手段だ。話し合いで解決の見込みもなく、先行きが見えない状況で人々は剣を取る。

日本が戦争にのめり込んでいったことも結局は虐げられたアジア地域の開放と、西欧列強から虐げられた屈辱に耐えかねたものだった。
ナチスドイツも、同じ理由だ。

では、今の状況は?というと、ロシアが悪者になっているが、ロシアを追い詰めた結果が今の状況を作っている。
ソ連は冷戦でアメリカに負けた。負けた結果、それまでのソ連領域はことごとく奪われた。どんどん西側の影響力は力を増していく。

いじめられて、拳を握らないとどうなるか?

ずっといじめられ続けるか、自殺するかのいずれかだ。

国も人も一緒。国は国益や国民を守る義務がある。だから、拳を握る。

大義のない戦争などはない。戦争をするには必ず大義が必要だ。
為政者に取っては重要だが、普通に生活している市民にはどうでも良い話だ。体制が変わろうが、来月の給与が変わらない限り、何も変化はない。

だから、経済制裁が国民にとってはとても痛い。
例えば、日本から、ユニクロとコンビニが一斉に消えて、スーパーの食料品が今の10倍の価格で売られていたどうだろうか?生きていけるだろうか?
今でもギリギリの生活なのに・・・と思わないだろうか?

それが、今のロシアで行われている。

東日本大震災を現地で体験したことがある人なら、わかると思う。何もなくなった状況を。

戦争が長引けば長引くほど、国内の不満が大きくなり、戦争をやめない限りこの状況は続く。
経済制裁はある程度は織り込み済みだっただろうが、長期化することは誤算だっただろう。これが4つ目だ。

戦争後のロシアは?

この戦争の勝ち負けは最早問題ではない。終結後、どうなるかが問題だ。

この戦争に勝っても負けてもロシアへの経済制裁は続くだろう。そうすると、今のプーチン体制は維持できなくなる。良くて政権交代、悪ければ内戦や革命。プーチン大統領が始めたことなので、責任を取らなければならない。戦争は虐げられた状況からの脱出という事を先に述べたが、その言葉通り、ロシア国民が虐げられた状況からの脱出という手段を使わない事を願うばかりだ。



サポートいただける方は、ぜひサポートください。何卒よろしくお願いいたします。