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ファンマーケティングとは?熱狂するファンの作り方

どうも!ブランドコンサルタントの中江です。

今日は「ファンマーケティング」というテーマでお話していこうと思います。

ファンを作ることが大切だ!

ということはブランディングやマーケティングの世界でよく語られる訳ですが、実際に、従来の販売者と購入者という単純な関係性を超えて、

このブランドに心底共感している
このブランドは信頼しているからこれからも選び続ける
このブランドを応援したい

というような思いを抱えた熱狂的なファンを作り出すことができている企業はまだまだ少ないと思います。

そのブランドの商品を購入したとしても

たまたまで、特別な思い入れはない
代わりは他にでもある
そのブランドが消えてもなんとも思わない

と思っている人が購入者の大半を占めていたら、いくら今、広告やテレビなどで話題になって、売上が上がっていたとしても、これから安定的に成長ができる保証はどこにもありません。

売上の8割は購入者の2割の顧客がもたらしてくれる

という「8:2」のパレートの法則にもあるように、事業収益の大半の利益は、ブランドのファンがもたらしてくれます。

この全体の顧客の中の2割のファンをいかに大切にし、ブランドに熱狂してもらうかが、長期的に繁栄していくことができるかどうかの鍵になります。

この「ファンを大切にし、ファンをベースに、中長期的に売上を上げていく考え方や方法」のことを「ファンベース」といったりします。

この「ファンベース」の概念を提唱されたのは、コピーライター、CMプランナーとして数々の広告賞を受賞された、コミュニケーションディレクターの佐藤尚之さんです。

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画像出典:http://asa-shibu.tokyo/

今日の動画は、佐藤さんの著書『ファンベース─支持され、愛され、長く売れ続けるために』の内容に基づきながら、お届けしていきます。

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1.なぜ、ファンマーケティングが重要になるのか?

この佐藤さんが提唱された「ファンベース」の考え方は、これからの時代、この日本においては、ますます重要になってきます。

それは社会構造的な観点からもそうです。

1-1.短期施策のキャンペーン効果の減少

まず、一つ目が、短期施策のキャンペーンの効果が目に見えて薄れてきている。

短期施策のキャンペーンとは、簡単に言えば、テレビCMや広告やバズるコンテンツなど、瞬間最大風速的にわーっと、話題を作り、リーチを広げ、認知を拡大させる方法のことです。

これまでのPRや販促やマーケティング活動の主題は

いかに話題を作るか?

でした。

話題になるようなキャンペーンを作り、認知を拡大すれば、それで新規顧客は増えて、売上に繋がったからです。

ですが、今、その効果というのがだんだん薄れてきているのです。

というのも、今は、インターネットが普及し、情報も商品もエンタメも溢れ返り過ぎている結果として、キャンペーンが届きづらくなったからです。

昔、見ているメディアは、テレビ・新聞・雑誌だけでしたが、今や、それがスマートフォンに置き換わり、各個人の趣味趣向によって、見ている情報が変わりました。

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また、インターネット広告が普及したことによって、今や、小さな企業でも、広告を簡単に出せるようになりました。

マスメディアでしか広告が出せなかった時代は、それこそ数百万円〜数千万円の広告費をかけられる企業でないと、露出を拡大させることは難しかったのが、インターネット広告だと、それこそ1日数百円から露出させることができます。

多くの企業が広告を出せるようになれば、必然的に、日々、目にする広告の量も増えて、効果は薄れていくという訳です。

これは広告運用をしている企業であれば、実感できることだと思います。広告の難易度は、明らかに年々上がっていってます。

昔の方が、シンプルで簡単に、やれば売上は上がりました。

インターネット広告というのは、マスメディアの広告と比較して、ターゲティングの精度が高く、費用対効果は高い傾向にはありますが、結果として、それは選択肢の過剰化を促進します。

例えば、ダイエットに興味を持っている人は、ダイエットの情報を頻繁に探す訳ですが、そういう人に対して、インターネット広告は、ダイエットのサプリメントの広告を表示させることができます。

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ですが、その人には、他のダイエットサプリメントの広告もさまざま提案されます。

ダイエットサプリメントのライバル企業も広告を出しているからです。

それぞれの企業は販売ページにお金をかけており、どちらの商品もビフォーアフターやお客様の声、監修している専門家の情報が掲載されていたりして、どちらを使っても効果は上がりそうです。

ですが、そういう魅力的な広告が出てくれば来るほど、消費者は

どれを選べばいいのかわからない

という状態になってしまい、結果として、新しいものを選択することをやめてしまいます。

人は選択肢が多すぎると、比較検討できなくなり、新しいものを選ぶことを放棄する傾向にあります。

1-2.少子高齢化の加速

そして、二つ目が、日本が少子高齢化が加速していることです。

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日本の少子高齢化の問題は、40年以上前から指摘され、議論されてきた訳ですが、はっきり言って、根本的な解決につながるような打開策は何も生まれていません。

内閣府の予測によると、2060年の人口は8674万人にまで減少しているそうです。

これは毎年日本では、100万人ずつ人口が減少し、約40年で4000万人減少するという計算です。

地域密着型の店舗のコンサルティングをする時などは、その土地の人口動態などを見たりするのですが、10年スパンで見ても、結構、人口が今後減っていくという地域は非常に多いです。

そして、驚くべきことに、残された8000万人の半数以上が、60歳以上なのです。

高齢者というのは、基本的には保守的です。

好奇心を持って、新しいものを買うというよりも、これまで使い慣れたものを選びたがります。

物理的にターゲット層が減少しているだけでなく、新規のものというのは届きづらくなるということです。

以上の観点からも、話題になるような短期的なキャンペーンを打ち、一気にリーチを拡大して、新規の顧客層を大量に取り込み、売上を上げて、更にまた短期的なキャンペーンを打ってというループで、売上を拡大していくことは非常に難しくなりました。

だからこそ、重要なのは、今いるファンをいかに大切にするかということです。

ファンを大切にすると、リピートしてくれるだけではなくて、口コミによって、新しい顧客も連れてきてくれます。

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広告では色んなダイエットサプリメントの差がわからなくても、

使ってみた友人が勧めてくれた

という理由だけで買う人はとても多いです。

差がわからないということは「極論、どれを買っても同じ」なので、それだったら人は、関係性が近いものを選びます。

味や価格が同じなら、知り合いがやっている店を選ぶのと同じ考え方ですね。

2.ファンマーケティングの実践方法

では、ブランドのファンを作っていくためには、何をすれば良いのか?

まず、一番最初のポイントとなるのは、

どんな人にファンになってもらいたいのか?

を考えることです。

ファンとは、そのブランドが大切にしている価値に共感し、信頼し、支持・応援してくれる存在のことです。

ファンというのは、全体の購入者の中の20%です。

これもパレートの法則が働き、このパーセンテージが変わることはほとんどなく、あくまでも全体の中の少数な訳です。

重要なのは、その少数が熱狂するブランドであり続けることです。

2-1.ターゲットを明確にする

そのためには、ターゲットを明確に定める必要があります。

歯科医院に来てくれてる患者さんの中にも

とにかく痛む虫歯を早く治して欲しくて、その場だけの対処療法的な治療を望む人
よく話を聞き、自宅でできる歯のケアにも真面目に積極的に取り組み、定期的にメンテナンスに通い、歯の健康や美しさを常に保ち続ける重要性を理解している人

など、さまざまいる訳です。

この両者に同時に響く施策はないので、絞り込む必要があるというのは理解できると思います。

例えば、その場限りの治療だけを望む患者に対して、

自宅でもセルフケアをしっかりとできるように、動画を作りました!

と言われても鬱陶しいだけですが、「自宅でのセルフケアの重要性を理解している患者」からは有り難く思われる訳です。

なので、まずは、このターゲットを言語化して、定めていきましょう。

2-2.ファンマーケティングの施策の考案

そして、その上で、ファンを作る施策を行って行きます。

佐藤さんは、購入者をファンに変え、ファンの支持を強くするための3箇条として、

共感
愛着
信頼

というキーワードを挙げています。

ブランドに対して、共感し、愛着が生まれ、信頼しているという状態が実現できれば、ファン化はかなり進んでいると言っても過言ではありません。

2-2-1.共感について

まず、ポイントになってくるのは「共感」です。

これはブランドが大切にしている価値を理解し、共感しているということです。

購入者がブランドのファンになるのは、そのブランドの商品・サービスに、独自の価値を見出しているからです。

ブランドが大切にしていて、ファンに共感されている独自価値とは何か?

と聞かれて、すぐに答えられることが理想ですが、これが分からない場合は、既存顧客から引き出すことが大切です。

やり方は様々ありますが、佐藤さんは、その方法の一つとして、著書の中で、「ファンミーティングを開催すること」を推奨しています。

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ファンミーティングの中で、そのブランドについて

✅好きになったきっかけ
✅一番好きなところ
✅偏愛ポイント
✅改善ポイント

などを時間をかけて話し合ってもらい、書き出してもらうことなどをすることで、共感ポイントを引き出していきます。

そして、重要なのは、

ブランドが大切にしている価値とはこれだ!

と全面に打ち出していくことです。

お客さんは、「安かったから」「たまたま広告を見て」「スペックが良かったから」など様々な理由で商品・サービスを購入します。

必ずしもファンであるから、購入するというわけではありません。

ファンとは「ブランドの独自価値」を理解して、共感して、購入してくれる存在です。

だからこそ重要なのは、入り口で「ブランドの独自価値」を打ち出す必要があります。

これが共感を生むための前提条件になります。

2-2-2.愛着について

そして、二つ目のポイントが、愛着です。

これはブランドや商品を「他に代え難いもの」にするというステップです。

愛着を生むためのキーワードとなるのが、ストーリーと関係性です。

まず、ポイントになるのは、どれだけ機能性が高く、便利で、コストパフォーマンスが高い商品・サービスがあったとしても、それだけでは愛着は生まれないということです。

愛着というのは、まずストーリーから生まれます。

例えば、2010年に発売されて、ヒットした鍋に「バーミキュラ」という鍋があります。

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バーミキュラは、一つ約3万円ほどする高級鋳物鍋なのですが、2010年から発売され、2019年時点で、累計50万以上個も売れています。。

普通の鍋なら、数千円程度あれば、買えるものですが、多くの人が、バーミキュラを買い求めています。

バーミキュラは愛知ドビーという会社の手によって開発されました。

愛知ドビーの創業は1936年。

機織り機の動力源であるドビー機を社員70人で作っていました。

ただ、時代の流れとともに、繊維工業が下火になると、船舶や建設機械の下請けへと業務をシフトしていくことになります。

会社がそれほど不安定だったこともあって、兄の土方邦裕さんは、豊田通商に入社し、為替ディーラーに

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画像出典:https://www.projectdesign.jp/

弟の土方智晴さんもトヨタに入社し、経理を担当していたそうです。

愛知ドビーは、バブル崩壊後に、更に経営状況が悪化します。

昔よく遊んでくれていた社員の人たちがどんどん辞めていくのを見かねた、兄の邦裕さんと弟の智晴さんは、愛知ドビーを立て直すために入社しました。

蓋を開けてみると、年間の売上が1億円に対して、負債が4億円以上と、債務超過が起きていました。

二人は、技術を覚えることから始め、全ての機械操作を覚え、がむしゃらに下請け仕事をこなし、業績を改善させました。

しかし、海外工場との競争が激化し、これまでのクライアントからは

中国では3分の1の価格だから3分の1にしてよ

とよく言われたそうです。

このまま下請けの工場では未来がないと思った弟の智晴さんは、2007年に「フランス製の鋳物鍋を使った料理本」に書店で出会います。

その本には

鋳物のホーロー鍋を使えば、料理が劇的に美味しくなる

と書かれていました。

「鋳物の鍋だったら、うちの工場でも簡単に作れるな」と思い、まずは、その書籍で書かれていた鋳物のホーロー鍋を取り寄せて、実際に野菜を使ったスープを作ってみました。

そうしたら、劇的に美味しい野菜スープができ、

鍋によって料理の味が変わる

ということを初めて知りました。

これまではただの下請けの工場でしたが、メーカーとして自分たちでオリジナルの鍋が作られれば、自分たちで市場開拓も値段も決めることができ、この苦境を脱することができるかもしれません。

早速、オリジナルの鋳物のホーロー鍋を作ろうと決意します。

鋳物なら三ヶ月あればできると踏んでいましたが、ホーロー加工がなかなかうまくいかず、日によっては全ての鍋が全滅するほど苦戦しました。

フランスでも3社しか実現していないほどの技術です。

鋳物の成分比率を少しずつ変えながら、試行錯誤を繰り返し、1年経過した時にやっと、鋳物のホーロー加工に目処がつきました。

ですが、これだと、従来のフランス製の鋳物のホーロー鍋となんら変わりがありません。

そして、鍋について調べてみると、その当時世界一の鍋とされているのが、ステンレス製の無水調理ができる密閉製の鍋だということがわかりました。

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密閉性が高い鍋を作ることができれば、素材そのものの水分を引き出し、旨味を逃さずに調理することができます。

ただ、鋳物の鍋を密閉製が高いものにするのは非常に難しい技術でした。

鋳物は熱を加えると、すぐ形が変わってしまって、中々、精度が安定しません。

だから、鋳物の鍋というのは普通、密閉性が悪いまま、製品化するのが普通です。

ちょうどその時期辺りに、リーマンショックが起こり、下請けの工場としての注文は激減し、週3日稼働になります。

工場自体も苦境を迎えるなか、失敗作を1万個繰り返し、気づけば、3年が経っていました。

そして、ようやく、密閉性が高い、鋳物のホーロー鍋を作ることができました。

常識を覆し、ようやく、バーミキュラが完成したのです。

初めて作ったのは、兄の邦裕さんが大嫌いな人参がたっぷり入ったカレーです。

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完成した鍋で作ったカレーも人参も

美味しい

と言って、食べたそうです。

これがバーミキュラが誕生するまでの開発ストーリーです。

このストーリーを聞けば、バーミキュラに対する見方が変わると思います。

バーミキュラは機能面も優れた鍋ですが、

これだけの背景があって、ようやく完成したのか

というストーリーを聞くことで、愛着が湧くのです。

なので、どういう背景で、このブランドはできたのか。このブランドコンセプトを掲げようと思ったのか。この商品・サービスは生まれたのかということは、ホームページを中心として、様々な形で表現するべきです。

また、関係性という観点からも愛着を持ってもらうことができます。

例えば、「バーミキュラ」では

暮らしを変える鍋

というブランドコンセプトを打ち出しています。

だから、バーミキュラは、そんな「鍋で暮らしが変わる体験をしてもらうために」専用のコールセンターを用意しています。

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その専用のコールセンターでは、バーミキュラーのユーザーから、使い方やレシピの相談が舞い込み、それに答えます。

例えば、そのコールセンターには、

生後5~6ヶ月の子どもの離乳食をバーミキュラを使って作りたいんですが、どんなレシピが考えられますか?

という質問が来たりします。

そのコールセンターには、専属のシェフが常駐しているので、レシピの質問がくれば、、実際にバーミキュラで調理し、味を確認し、お客さんに回答までします。

ここまで徹底的にブランドコンセプトに基づいてサポートしてくれるブランドは数少ないでしょう。

そして、実際にこのサポートを利用した人は、バーミキュラというブランドとの関係性が近くなります。

もし、同じような鍋が他に登場したとしても、関係性の近さでバーミキュラを選ぶでしょう。

ファンを大切にしている企業ほど、ファンコミュニティなど、顧客と関係性を近づける場を持っています。

2-2-3.信頼について

そして、最後の要素が「信頼」です。

ファンの支持を強くするためには、信頼を積み重ね、ブランド自体の「評判」を上げていく必要があります。

このブランドを選べば、間違いない

という揺るぎない評価は、信頼を積み重ねていくことでしか得ることができません。

信頼を獲得するための基本は、言行一致です。

つまり、

言ってることと、行動を一致させること

です。

「暮らしを変える鍋」と謳っているのに、「暮らしが変わらない」ような体験をさせてしまっていたら、信頼されません。

広告や販促物では、キレイゴトなんてものはいくらでも自由に並べることができ、それで集客もでき、売上も上げることができますが、重要なのはその後です。

それが過大広告であれば、一気にユーザーは離れていきます。

しかも、今はSNSがあり、誰でも発信できる時代なので、真の評価というのは、簡単に表に出てしまいます。

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重要なのは、ファンが共感している「ブランドが大切にする価値」に対して、誠実であるかどうかです。

「人生のパートナーとして、何十年も使い続けられるカバンを提供します」と謳っておいて、「採算が合わないから修理は受け付けていません」と言えば、二度とそのブランドでは買わないでしょう。

ファンを作るために最優先するべきは、目の前の売上ではなく、ブランドとして守るべきポリシーです。

ポリシーを守るからこそ、信頼は積み上がっていきます。

そして、信頼が積み上がれば、ブランドのファンは自信を持って、友人や知人に、そのブランドの商品・サービスを広げてくれるようになります。

「ファンベース」ついて、より詳しく学びたい方は、ぜひ、佐藤さんの著書を購入して、読んでみてください。

最後に

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。

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