見出し画像

小代焼を知りたいあなたへ、【保存版図録】3選!!!


小代焼中平窯の西川です(^^)

今回は小代焼の歴史や特徴を知りたいというあなたへ、
おススメの図録をご紹介します。



残念ながら他のメジャーな陶磁器に比べると、
小代焼を専門的に紹介した書籍というのは大変少ないのが現状です。

さらに、
小代焼を紹介した書籍であっても不正確な内容が記されているものもあります。

ネット上でも、小代焼の歴史に関する情報が入り乱れております。



私は可能な限り小代焼に関する文章、書籍に目を通してきました。

その私が選ぶ
文章の信憑性が高く、美術館・博物館の方々からもお墨付きをいただいた図録を3冊ご紹介します。

まずはこの図録3冊を読み、
他の書籍は補助的に使うのが良いでしょう。


小代焼研究をしようと思っている方々への一助となりましたら幸いです。




小代焼


小代焼


熊本県立美術館にて開催された展示会に伴う図録です。


学術的価値が最も高い図録です。
小代焼に関する疑問があれば、真っ先にこの図録で調べてください。


私自身、古小代に関する質問にはこの図録に書いてあることをベースにお話しします。


個人的に疑問に思うことがあったので、昨年
玉名市立歴史博物館、佐賀県立九州陶磁文化館、熊本県立美術館へお問い合わせをしたのですが、学芸員の皆さんからは揃って

「この図録に書いてある以上のことは分からない」

というご回答を頂きました。


この図録が出版された時点の
「資料として残っている範囲のことはほとんど調べた」
と言えるでしょう。




熊本のやきもの


熊本のやきもの

有田の佐賀県立九州陶磁文化館より出された図録で、比較的新しいものになります。


小代焼だけではなく、熊本県全体の陶磁器の歴史がまとめられています。

小代焼に対する専門性という面では、前記の熊本県立美術館の図録に及びませんが、熊本県全体を俯瞰で見る事ができます。


また、小代焼と同じように豊前・上野焼の系譜を継ぐ高田焼(八代焼)の情報もこの一冊で調べることができ、小代焼と比較ができるのは貴重です。

こちらの図録も学術的価値が高く、
熊本県立美術館の図録と合わせて読むことで小代焼の歴史についてほぼカバーすることができます。



1600年代の小代焼の生産実態については不明な部分も多いのですが、
現時点で証拠が見つかっていませんので、これは仕方がありません。




古小代焼讃歌


古小代焼讃歌


少し古い本ですが、古小代を専門的にまとめた画期的な一冊です。



歴史に関する記述など、学術的な価値としては上記の2冊に劣りますが、
美的価値としては最も私が推している図録になります。

文章を辿るよりも、掲載されている作品写真を眺めることで、
小代焼の美しさを感覚的に理解できます。


私が生まれる前に出版された図録ですが、
掲載作品を2つ手に入れ、中平窯ギャラリーにて展示しております。

文章と美意識の両方が古陶磁研究では大切だと思っています。


古小代への愛と情熱が溢れる一冊です。
ぜひ、ご一読を。





2023年7月18日 西川智成

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?