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トイレの換気扇を改造するはなし。

もりです。
数年前知人からのお誘いで、消防団に入っています。

分団の先輩から、「家のトイレの換気扇がずっと回りっぱなしだから、なんとかなりませんか?」
がありました。

なにそれ。面白そう。

以下の囲い文は24時間換気に関して『面白そう』と思っていた動機なので、法規に関心ある方以外は飛ばしてどうぞ。

『建築基準法』というものがあり、一般住宅の場合だと、設計段階でこれにパスしないと、家の建築許可そのものがおりません。
(2020年までは裏ワザあり。)
近年だと過去に3度大きな改正があります。

1981年の新耐震基準(これは神戸の震災がきっかけ)
2000年の基礎などの新基準(所謂ベタ基礎)
2013年に制定された、『改正省エネルギー基準』

『改正省エネルギー基準』は、家屋の耐震性などの国土交通省目線とは少し違う、CO2やら省エネの経産省目線から決められた新基準で、家屋の断熱、換気に関して制定されたものです。

『改正省エネ基準』は簡単にいえば「家の断熱性能と住宅設備」の両方を評価するものです。
断熱性能の場合だと、日本を8区分に分け、関東の場合だとこの区分は「5」になります。(夏に50℃超える群馬と兵庫県までがなぜかひとくくりですが(^^;。)

外皮(つまり家を覆う断熱材)と家中の熱気が熱気が逃げる『外皮平均熱貫料率』は「5」区分の場合、「0.87」です。
北海道など寒い地方では「0.46」。単純に「倍の断熱をせよ」ということですね。


地域の寒暖差に応じて、家の断熱基準を上げてしまうと、当然排熱ができなくなるため、当たり前ですが換気装置が必要になります。
でもコレ、2013年の法律施行で、時限措置が7年あったので、2019年までは2013法規を守っていなくても建築可能でした。

でも2020年から、『高気密高断熱住宅』以外の家は建てれなくなります。
(たとえ2019年に建てた家でも、2013基準をパスしていなければ、2020年以降は、「既存不適格」と認定されます)

もう少しだけ、排熱装置である「換気装置」について書きます。

本来人がいる居室(人が密集するため温度が上がる)の排熱効率を考えるのであれば、リビングの天井や、3人程度の家族でも往来の多い廊下に設置するのが、ヒトが暮らす空間の換気性能を追求するなら排熱効率は最大になります。(上がっている部屋で下げればよい)

ただ、経産省指示ではそうはなっていません。

居室内ではエアコンなど暖房、冷房を掛けている場合が多い為、例えば50℃の部屋を25℃に冷やしても、その部屋自体に排熱換気を付けてしまうと、換気されてしまう(つまり50℃の外気がどんどん入るという事です。現在の法規で換気指示は0.5回/hですので、2時間毎に居室の空気が全て入れ替わってしまう。エアコンの立場から言えば、「50℃の部屋か。25℃にするぞ」を2時間毎に繰り替えてしているという事です。)

これは余りにアレ(アホみたい?エアコンのすぐ上に排熱装置があったらスカスカでバカみたいです)なので、役所や住設メーカは排熱装置(換気扇)はお風呂やトイレ、居室から離れた場所に設置して、「家屋全ての換気に気を配るよう」指示されています。

え?

家屋全体が『高気密高断熱』になってしまえば、空気の逃げ場がないので、換気扇は何処にあっても機能します。

それを居室から最も離れた場所に設置する?

例えば100米のマンションがあったとしても、居住空間って1/3ほどです。使っていない部屋だってあります。

仮にエアコンが居室に1台しかないとすると、2013以前は30米の冷却機能で良かったのに、2020以降は(換気扇が止めれないとすると)100米の冷却機能を持つものが必要になり、しかも2時間に一回家屋全体100米の冷房を掛け直す必要があります。

うーん。
(よりアホなのでは。)

いらん部屋とかトイレも冷やすのが省エネなの?

前置きが大変長くなりましたが、家なんて住んでる人が重要なので、24時間換気装置の改造です。

トイレに付いている換気扇(というか24時間換気装置)

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『DAIKEN SB1488R』です。この装置、高さが2.3mくらいのところについています。
設置施工書に「ON,OFFスイッチは切りにくい場所に設置せよ」と注意書きあります。ふふふ。

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外してみます。ACファンですね。電灯線の極性指示はないみたいです。

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内部配線です。片切のスイッチかましているだけですね。

でも製造元にもうちょっと太いリード線は無かったのか。
(せめてACモータに使っている線と同じくらい)

改造依頼は「人がいるときだけスイッチが入って、出てもしばらく回っているやつ」でしたので、以下のスイッチを購入しました。

コレ無茶苦茶良いです。
AC100Vがそのまま入るし、発送元は新潟のメーカで取説も日本語だし、スイッチ本体に動作遅延までの回路が入っています。
明るさセンサ、動作遅延回路を基盤で作ろうかな。と思っていましたが、ワンパッケージで全部入っています。

いやホントまじスゴイ。
部品なのに保証、サポートもついてましたよ。
国内だとこういった「完成形ではない部品」って、サポートもしないし、「出来れば使わないでくれ」のメーカが殆どです。

中華に押され気味ですが、国内メーカも頑張ってる!

スキになって、作業場用に購入しちゃいました。

はい、脱線でした。

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スイッチ本体から3線出ていて、以下のように配線します。
(Amazon抜粋に追記)
ちなみに電灯線の逆差しテストでもセンサは正常動作しました。

キャプチャ

蓋を閉めて完成。

人感センサが動かないハコに入れて動作確認しています。
(このテストでは動作遅延を10秒に設定していますが、7分までOK)


完成!

画像7


喜んでいただけました。

『24時間換気』は、建てる前の建築法許可のハナシであって、建てば住んでいる方の自由です。換気扇はONでもOFFでも構いません。
でも気密性を追求した結果なのですよね。
いつも経産省の法令ってマッチポンプの様な気がします。


☆今回は壁面のVFケーブル触っていますので、加工には工事士の2種免が必要になります。町の電気屋さんに頼みましょう。

そしたら面倒なので初めから人感センサ付きの商品を勧められそうな気がする。

でも壁面に付いている器具って、少しサイズが違うと、壁の汚れとかでピッチリ来ないんですよね。。
(だから取付けるたびにどんどん大きくなる)

もしお使いの換気扇がコンセントタイプのものなら、無加工で使える以下のような商品もあります。

つなげれる電気機器は100Wまでですが、「夏の間だけクリップ式の扇風機を人がいる間だけ回したい。」なんて時に便利そう。


2021/09/24追記。
昔は夏も冬も、起きたら寒いので暖かいストーブがある部屋に行って皆で囲んだり、クーラーがある部屋が居間くらいだったので、家族みんながあつまってゴロゴロしていました。
多分家の断熱なんてスカスカだったのでしょうが、今考えるといちばん省エネだったなぁ。

ウチも子供たちも寝起きでリビングに来て、ネコみたいにヒーターの前でコロコロ丸まっていて可愛かった。


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