一年間にある「肉の記念日」まとめてみた!
一年間に「肉の記念日」はたくさんある。まとめてみると、毎月なんらかの記念日で肉を祝っていることが判明した。
今回は、肉マニアならではの視点で作成した記念日リストから、うんちくを語りたくなる「肉の記念日」を、厳選して紹介しよう。
「お肉の記念日カレンダー」をつくりたい
そもそも、なぜ「肉の記念日」を調べていたのか。きっかけは、数年前までさかのぼる。これは私がつくった「ホルモンカレンダー」だ。
翌年、このカレンダーに「肉の記念日」が入っていたら楽しそうだ! と思い立ち、パワーアップさせるべく、肉にまつわる記念日を逃さずメモするようになった。
そこから何年も経ってしまったが、結構な情報がたまっている。そこで、メモを整理して、見やすく・使いやすい「肉の記念日リスト」を作成することにした。
マイナーな記念日を盛り込もう
作成したリストは、記念日協会に登録されている記念日が中心だが、肉マニアとしては、マイナーな肉の日も外せない。
SNSならではのノリでお祝いされる「逆肉の日(9月2日)」や、レバー好きなら心に留めておきたい「レバ刺しの命日(6月12日)」も加えた。世界共通でお祝いする「ワールド・バーガーデー(5月28日)」など、海外発の記念日も盛り込もう。
肉料理に関する記念日も入れよう
「肉」そのものの記念日はもちろん、肉料理に関する記念日も加えたい。世の中には、いろいろな肉料理がある。「肉の記念日」のおかげで、食べたことのない「ご当地料理」にも出会えた。
これは記念日を制定する企業・団体の目的でもある。
記念日を通して、その料理を知ってもらう、食文化を知ってもらう。商品のプロモーションや、お客様の呼び込み、街おこしとしても一役買っているのが「記念日」なのだ。
リスト化して、まとめよう
記念日情報として、制定した「企業・団体」、記念日の「目的」や「由来」も分けて整理した。これで検索や、絞り込みがしやすくなったぞ。
「クリスマス」や「 Thanksgiving Day(感謝祭)」など、肉でお祝いする行事も加えると、記念日データは 119件になった。
そしてついに、肉マニアならではの個性が詰まった「お肉の記念日リスト」が完成した!
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▼△▼△ お肉の記念日カレンダー △▼△▼
すべての記念日を解説したいが、おそろしい文字数になってしまう。今回は、うんちくを語りたくなる記念日を、ピックアップして紹介しよう。
毎月ある「肉の記念日」
まずは、毎月固定でやってくる「恒例の肉の日」を押さえておきたい。
◎ 肉の日(毎月29日)
説明不要で、誰もが知っている記念日が、毎月29日の「肉の日」だ。
「29=肉」の語呂合わせでできた、暗黙の記念日のようだが、「都道府県食肉消費者対策協議会」によって正式に制定されている。
泣く子も腹を鳴らす、ど定番中の「肉の記念日」。スーパーでは肉のセールが開催され、飲食店でもお得なことをやってくれる。
◎ にわとりの日(毎月28日)
じわじわと認知されてきたのが「にわとりの日(通称:とりの日)」だ。KFC(ケンタッキーフライドチキン)が制定した記念日で、チキンがお得に食べられる、毎月恒例「とりの日パック」が販売される。
2と8の語呂合わせで「にわとり」。肉の日に先回りして、まずはウォーミングアップ的にチキンを食べよう! という流れだ。
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▶︎ 1月
1月は、記念日が少ないが、老舗すき焼店による「肉の日」で、おごそかにスタートする。
◎ 牛肉記念日(1月24日)
1月24日は、肉食文化における歴史的な日。明治5年のこの日、明治天皇が1200年間禁止していた牛肉を召し上がり、牛肉文化が花開いた。
人形町今半では、一日限りの「すき焼食べ放題」を開催するなど、記念日を盛り上げている。
文明開化とともに幕を開けた、華やかなお肉文化をお祝いしよう!
◎「適サシ肉」の日(1月15日)
老舗すき焼店による記念日がもうひとつ。東京・浅草「ちんや」が制定した「適サシ肉」の日だ。
「適サシ」とは「適度なサシが入った霜降り肉」のこと。日本では、サシが多いほど高級とされる「霜降り肉神話」があるが、ちんやでは、過剰な霜降肉をやめて「適サシ肉」だけを使うと宣言。そのおいしさを、多くの人に味わってもらうことが目的だ。
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▶︎ 2月
◎ 肉の日(2月9日)
2月はうるう年で、毎月恒例「29日」の肉の日がない!
その代わりとなるのが 2月9日だ。2と9だけで構成される、生粋の「肉の日」。年に一度しかない大イベントでもある。
◎ 4年に一度しかない肉の日(2月29日)
うるう年の 2月29日は、超レアな肉の日だ。4年に一度だけ。オリンピックかワールドカップか、そのぐらいの意味がある。さらに「ニン(2)ニク(29)の日」まで重なっている。ニンニクは、肉と相性抜群。この日だけは、匂いなんて気にしなくていい。焼肉やステーキを、ニンニクたっぷりで思う存分楽しむのだ!
イチオシの「私のタレ」は、醤油・レモン汁・おろしニンニク・青唐辛子・粗挽き胡椒を混ぜるだけ! 肉に合うぞ!
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▶︎ 3月
3月も、銘柄肉や肉料理の記念日が並ぶが、あえて「脱・肉食」がテーマとなる「代替肉」の記念日も加えておこう。
◎ ゼロミートの日(3月10日)
ゼロミートとは、大塚食品が手がける代替肉商品だ。大豆ベースで、動物性の原料は不使用。ハンバーグやソーセージ、スライスハムなど、本物の肉製品と変わらない見た目と食感を実現している。この日は、代替肉製品を食べて、肉の未来について考えてみるのもいいだろう。
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▶︎ 4月
◎ WHOPPER®の日(4月1日)
バーガーキングの『WHOPPER®の日』は、かつて記念日協会が認定する記念日だった。現在は、登録から外れてしまったが、肉好きの心の中では永久不滅の記念日だ。私のカレンダーでは、歴史の証として残し続けたい。
ちなみに、記念日は「エイプリルフール」にちなんでいる。
「WHOPPER(ワッパー)」には「とてつもなく大きいもの」「大ぼら」「うそ」などの意味があることから、4月1日に制定された。
◎ コンビーフ記念日(4月6日)
コンビーフは、かつて軍隊の「携帯用お肉」だった。栄養があって、保存性が高い。缶切りがなくても開けられる。それを実現すべく開発されたのが、独特な台形のコンビーフ缶だ。
記念日は、1875(明治8)年4月6日に、コンビーフの台形缶が特許登録されたことに由来する。
昭和世代には懐かしいコンビーフ缶。独特の台形缶は、底の広い部分から詰めることで、中に空気が残らないようにするための工夫だった。食べるときは、塊として取り出しやすい。昔は手作業だったため、台形のほうが詰めやすかったという理由もある。
◎ 成吉思汗たれの日(4月22日)
「成吉思汗」と書いて「ジンギスカン」と読む。北海道のソウルフードメイカー「ベル食品」による記念日。
同社が販売する「 成吉思汗たれ」は、1956年に販売された日本初の家庭用焼肉のタレ。北海道のジンギスカン普及に大きく貢献した商品だ。タレをかける意味から、週間カレンダーで「羊肉の日(4月29日)」の真上にくる 4月22日 に制定された。
◎ 4月は「ジンギスカン」の最盛期!
4月は、ジンギスカンに関する記念日が2つもある。これは「ジンギスカンは春が旬」ということにも関係している。
4月には、春限定の「スプリングラム」という羊肉が流通する。
ニュージーランドの春(南半球なので 8月〜11月頃を指す)に生まれ、春から初夏の栄養価が最も高い時期の牧草で育ち、肉質が最もおいしくなる 1月〜3月の「旬」の時期に、屠畜される仔羊の肉だ。
スプリングラムは、肉質がやわらかく、臭みが少ない。ヨーロッパでは、高級食材としても扱われる。
つまり記念日に、その肉料理を食べることは、一番おいしいタイミングで味わえる という意味もあるのだ!
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▶︎ 5月
5月は、食品メーカーや飲食チェーンの記念日が目白押しだ。
プリマハムの香薫、こてっちゃん、モスのテリヤキバーガー、丸源ラーメンの餃子など。記念日を眺めているだけでも、お腹が空いてくる。
「今日は何食べよう?」と悩んだら、記念日を調べてみよう!
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▶︎ 6月
記念日を通して、知らなかった肉料理に出会うこともできる。ご当地料理を初めて食べるきっかけにもなるだろう。リストには、食材に「肉」を使う料理の記念日も加えた。
◎ ローメン記念日(6月4日)
「ローメン」は、長野県伊那地方のB級グルメ。蒸した太い中華麺に、羊肉とキャベツ、キクラゲなどを加えて、独特のスープで煮込んだ料理だ。蒸し麺を使うことから「蒸(6)し(4)」の語呂合わせで。
伊那名物「ローメン」を全国にアピールするため制定されたが、私も記念日を通して、初めてこの料理を知った。改めて、記念日ってすごいな!
◎ レバ刺しの命日(6月12日)
これは記念日というより、忘れてはいけない歴史的な日として加えた。
2015年6月12日、食品衛生法の基準改正により、豚の生レバー・生肉の提供が禁止となった。2011年に焼肉店で発生した集団食中毒を受けて、2012年に「牛の生レバー」の提供が禁止。その代替品として、豚の生肉を提供する店が続出していた。
豚肉は、E型肝炎ウイルスや寄生虫に汚染されていることが多く、昔から生食するものではなかった。そのため、牛レバーの代替品となった豚レバーが、新たな食中毒を発生させるリスクとなったのだ。
豚の生食も禁止されることとなり、ついに、焼肉店における「レバ刺し」は姿を消した。この日は、食の安全について考え、レバ刺しに思いを寄せて過ごしたい。
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▶︎ 7月
7月のビッグイベントは、みんな大好き「KFC」と「マクドナルド」の創業にちなんだ記念日だ。さらに海外発の「ジャンクフードの日」も加えて、ジャンキーな肉生活に仕上げよう。
◎ 人気ファストフードチェーンの二大記念日
日本KFC創業記念日(7月4日)
KFCは1970年3月の大阪万博で日本に上陸。本拠地であるアメリカ合衆国へ敬意を表し、独立記念日の1970年7月4日に創業した。日本マクドナルド「ハンバーガーの日」(7月20日)
マクドナルドの「日本第1号店」が誕生した日。1971年7月20日、東京・銀座4丁目の三越デパート1階に、テイクアウト専門店舗「マクドナルド銀座1号店」がオープンした。
◎ 謎肉の日(7月29日)
ジャンクフードで忘れちゃいけない、日清カップヌードルの名脇役「謎肉」の記念日もある。
「謎肉」とは、豚肉と大豆ベースの原料に野菜などを混ぜてミンチ状にし、フリーズドライ加工したもの。動物由来の原料も含まれるが、代替肉の先駆けともいえる食材だ。
誰しも一度は食べたことがあるかもしれない、この肉。
かつては怪しい存在だったが、代替肉が注目される現代では、期待の食材となりつつある。
「謎肉」は、地球を救う!
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▶︎ 8月
◎ 焼肉の日(8月9日・8月29日)
暑い夏にこそ、食べたい焼肉!
焼肉の2大記念日 に、肉を「焼(8)く(9)」!「焼(8)肉(29)」を食べる!
ガッツリとスタミナをつけて乗り切ろう!
焼肉の日(8月9日)を制定する「東京都食肉事業協同組合」では、肉の名言ポスターで、記念日を盛り上げている。
◎ 馬肉を愛する日(8月29日)
8月29日には「馬(8)肉(29)」の意味もある。
馬肉は高タンパク低カロリー、しかも生食できることが最大の魅力だ。牛豚では禁止されているレバ刺しの「あの食感」を唯一堪能できる肉なのだ。
定番の馬刺しをはじめ、レバー、ハツ、タン、変わり種では「大動脈」や「脊髄」まで刺しで食べられる。馬肉専門店に行ったら、ぜひ挑戦してみてほしい。
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▶︎ 9月
◎ カーネルズ・デー(9月9日)
KFCの創業者「カーネル・サンダース」の誕生日。KFCでは、オリジナルチキンがお得になる「カーネル生誕祭パック」が販売される。
カーネルがKFCを起業したのは、65歳のとき。
全財産を失ってからのスタートだった。
カーネルの人生は波乱万丈。さまざまな職業を経験するが、世界恐慌や事故などによって何度も職を失っている。借金を背負い、3回も破産。経営していたモーテル併設レストランを火事で失うこともあった。それでもくじけず、何度でも立ち上がり、新たなビジネスに挑戦する。カーネルにとっては、年齢なんて大した問題ではなかったようだ。
KFCは、世界中の老若男女・幅広い世代から、長きに渡って愛されている。その理由にも納得できる。まさに、この創業者に、このチキンありだ。
カーネル・サンダースの名言
「真似できない努力が、真似できない味を作る」
私も、令和のカーネルを目指したい。
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▶︎ 10月
10月は、胃袋がいそがしい! 記念日が盛りだくさんだ。
しかも「とんかつの日」が 2回もある。
金曜日だから「フライ」デー。
試験に「勝つ」で、カツを食べよう。
何かと理由をつけて、カツを食べ続けてもいいのだ!
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▶︎ 11月
前月に続いて 11月も「とんかつの記念日」がある。
とんかつが止まらない!
さらにイベリコ豚、生ハム、豚饅、ソーセージなど、豚肉のオンパレードだ。「ロースト・ターキー」でお祝いする「Thanksgiving Day(感謝祭)」も加えておこう。
◎ 串カツ田中の日(11月11日)
串カツチェーン「串カツ田中」の記念日。大阪の伝統的な庶民の味「串カツ」を、多くの人に味わってもらうために制定された。11月11日は、串カツの串が並んで見えることから。
田中といえば、串カツを食べるところ、と思うかもしれないが、実はローカルなホルモンメニューが充実している。牛小腸をカリカリに揚げた「あぶらかす」をトッピングした「かすうどん」や、馬肉の燻製「さいぼし」など。関東ではお目にかかれない、ご当地ホルモンが楽しめるのだ。
なにより、串カツ田中のロゴには、串カツと並んで「かすうどん」の文字が刻まれている。串カツと同じくらい、ホルモン文化を大切にしていると感じるのだ。
ぜひ記念日には、串カツに加えて、大阪の伝統的な庶民の味「かすうどん」や「さいぼし」も味わってほしい!
◎ フライドチキンの日(11月21日)
1970年11月21日、愛知県名古屋市西区に、KFCの「日本第1号店」がオープンしたことを記念して制定。7月4日の「日本KFC創業記念日」とは、また別の記念日だ。
ここまで振り返ると、KFCだけでも一年間にこれだけの記念日がある。
毎月28日:にわとりの日
7月4日:日本KFC創業記念日
9月9日:カーネルズ・デー(カーネルの誕生日)
11月21日:フライドチキンの日(日本1号店オープン)
KFCでは記念日のたび、お得なパックが販売される。自社の記念日だけでなく、お正月、ひなまつり、クリスマスにも! 何かとチキンでお祝いしたいKFCと、お得なパックを楽しみにしている私たち。
イベントには、やっぱり肉が必要だ!
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▶︎ 12月
12月は、毎月恒例の「肉の日」を除くと、企業・団体による制定された記念日がない! データをまとめたことで、衝撃の事実が明らかになった。
◎ 記念日がなくても「クリスマス」で、肉を喰らう!
あえて記念日を制定しなくても、みんな肉で祝っているのが「クリスマス」だ。スーパーには、ローストチキンが山積み。フライドチキンやローストビーフ、ターキーレッグも定番だ。KFCもクリスマスだけは、予約者限定の受取販売。当日飛び込みのお客さんはお断りという制限までかかる。
クリスマスだけで、消費される肉の量は、どの月よりも多いだろう。
◎ BSE問題で米国産牛肉の輸入を停止した日(12月24日)
最後に、歴史的な日として「BSE問題で米国産牛肉の輸入を停止した日」を加えて一年を終えたい。
アメリカで BSE(牛海綿状脳症)に感染した疑いのある牛が見つかり、2003年12月24日、日本政府は米国産牛肉の輸入を停止した。米政府からの発表は、前日の23日。日本に向かっていた船荷の牛肉も、すべて引き戻される緊急の措置だった。
当時、米国産牛肉は、国内消費の4分の1を占めていた。主要牛丼チェーン店は、ほとんどの牛肉を米国産でまかなっていたため、しばらくの間、メニューから「牛丼」が消えることとなる。
牛丼チェーン店が使用していた牛肉は、穀物肥育のショートプレート(ばら肉)だ。安くてジューシーでやわらかい。米国産のこの肉だからこそ、安くてうまい牛丼が成立していたのだ。
いまこそ多彩なメニューで展開する吉野家も、苦しい決断が迫られた。他国の肉も検討したが、いまと同じおいしさで提供することは難しい。在庫の肉は、あと少しある。営業時間を短縮し、特盛は中止。残り少ない牛丼を、一人でも多くの人に味わってもらいながら、輸入再開を待ち続けた。
しかし願い叶わず 2004年2月11日、吉野家の牛丼は販売終了。そこから豚丼、カレー丼が登場した。
米国産牛肉の輸入再開は 2005年12月。約2年におよぶ試練だった。牛丼ファンや肉好きたちは、この苦しい時代を乗り切ったのだ。
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今後の構想
冒頭で紹介した卓上カレンダーに、これらの記念日を盛り込むには情報量が多すぎる。それなら、思い切って手帳スタイルにしてみようか。
以前、1冊から製本できるサービスを使って「ホルモン本」を自作した。このやりかたで「お肉の記念日手帳」をつくるのもありだ。
「お肉の記念日手帳」があれば、肉好きさんの肉生活が充実すること間違いなし! 何より私自身が、そんな手帳を使いたい!
今日も明日も、肉を祝おう!
一年間には「肉の記念日」がいっぱいある。紹介しきれなかった記念日も含め、どれもユニークな由来や、新たな知見があるものばかりだ。
食べたことのない肉料理、知らなかった食文化。
記念日を通して、肉の魅力を知るきっかけになるだろう。
毎日が「肉の日」だっていい。
毎日が、お祝いだ!
何かしらの理由をつけて、
今日も明日も、肉を食べよう!