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心膜炎再発をIL-1阻害薬が低減

インターロイキン-1 (IL-1)は再発性心膜炎に関与していることが指摘されています。

IL-1αおよびIL-1βサイトカイントラップであるrilonaceptの有効性と安全性が、第Ⅲ相試験で検討されました。

 

方法

この研究は多施設二重盲検無作為化試験で、オーストラリア、イスラエル、イタリア、アメリカからの患者が参加しました。

NSAIDs、コルヒチン、ステロイドで治療したにも関わらず、再発性の心膜炎症状を呈し、CRP 上昇を認める12歳以上の患者を登録しました。

12週間のrun-in期間にすべての患者にrilonaceptを負荷量(320 mg/18歳未満は4.4 mg/kg)で投与しました。

その後は週1回160mg(18歳未満は2.2 mg/kg)を維持投与し、バックグラウンド治療は中止されました(安定化期間1週間、減弱期間9週間、rilonacept単独期間2週間)。

run-in期間で心膜炎症状やCRP値の改善を認めた患者を、rilonacept継続投与群とプラセボ群に1:1に無作為に割付けました。

有効性の主要評価項目は、心膜炎症状の再発やCRP値の上昇、心嚢液貯留、心電図変化などで確認された心膜炎再発までの期間としました。

安全性評価には有害事象、身体検査、臨床検査が含まれました。


結果

登録は2019年1月9日から2020年1月17日に行われ、心膜炎の疼痛を有し、CRP値が上昇している患者86人がrun-in期間に登録されました。

平均年齢は44.7歳で57%が女性でした。

心膜炎の原因は85%が特発性で、15%が心筋梗塞後でした。

約半数は心膜炎発症時点でステロイドを投与されていました。

rilonacept治療期間の中央値はrun-in期間も含め9か月でした。

run-in期間中、疼痛が消失するまでの期間の中央値は5日、CRP値が正常化するまでの期間の中央値は7日でした。

臨床効果を確認できた合計61人の患者が無作為化を受けました。

無作為化離脱期間中、rilonacept群では再発イベントが少なすぎて、再発までの期間の中央値を計算することができませんでした。

プラセボ群の最初の確定した再発までの期間の中央値は8.6週間でした。

この期間中に、rilonacept群では30例中2例(7%)に心膜炎の再発がみられたのに対し、プラセボ群では31例中23例(74%)に再発がみられました。

rilonaceptはプラセボよりも心膜炎の再発リスクが低くなりました(HR 0.04, 95%CI 0.01~0.18, P<0.001)。

run-in期間中に4名の患者さんに有害事象が発生し、rilonacept中止に至りました。

rilonaceptによる最も一般的な有害事象は注射部位反応と上気道感染でした。


まとめ

再発性心膜炎患者において、rilonaceptはプラセボに比べて再発性心膜炎を迅速に軽快させ、心膜炎の再発リスクを有意に低下させました。

Phase 3 Trial of Interleukin-1 Trap Rilonacept in Recurrent Pericarditis. NEJM 2020.


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