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乳腺手術は術後せん妄リスク5倍
乳腺手術は術後せん妄の発症リスク5倍
麻酔後ケアユニットにおける創発性せん妄は十分に理解されていませんでした。
この研究では、全身麻酔後の成人におけるせん妄の頻度と危険因子が検証されました。
方法
解析の対象としたグループは、せん妄の発生の有無で分けられました。
せん妄と鎮静のレベルを評価するためにRiker sedation-agitation scale(SAS)が用いられました。
Score Term
7:危険な不穏
6:高度な不穏
5:不穏
4:穏やか/協力的
3:鎮静
2:過鎮静
1:覚醒しない
結果
この試験は前向き研究で、1359人の連続した患者が解析されました。
せん妄群はn=64, 非せん妄群はn=1295でした。
術前のベンゾジアゼピン系薬剤の使用(OR 1.910, 95%CI 1.101-3.315, P=0.021)、腹部手術(OR 3.206, 95%CI 1.262-8.143, P=0.014)、長い手術時間(OR 1.005, 95%CI 1.002-1.008, P=1.005)がせん妄のリスクを高めました。
乳腺手術が行われていたのはせん妄群7%、非せん妄群1%でした(P=0.001)。
乳腺手術はせん妄発症と高い関連を認めました(OR 5.190, 95%CI 1.422-18.947, P=0.013)。
一方で既往歴と抗うつ薬による長期治療はせん妄のリスクを低下させました(それぞれOR 0.544, 95%CI 0.315-0.939, P=0.029/OR 0.245, 95%CI 0.084-0.710 P=0.010)。
乳腺の手術は体表面に関わるため不安を生む可能性があり、せん妄や焦燥感につながる可能性が考察されています。
せん妄の間に痛みのレベルを正確に評価することは困難であったため、疼痛がせん妄の危険因子であったかを評価することはできませんでした。
まとめ
この研究では術前のベンゾジアゼピン系薬剤の使用、腹部手術、長時間の手術とともに、乳腺手術は術後せん妄の危険因子であることが示唆されました。
Emergence delirium in adults in the post-anaesthesia care unit. Br J Anaesth. 2006; 96: 747-53.
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