見出し画像

カルシウムサプリで冠動脈石灰化?

カルシウムサプリメントは、骨に関する疾患の予防や治療のために使用されています。

しかし冠動脈や心血管疾患リスクへの効果は十分に解明されていません。

冠動脈プラークの石灰化は、プラークを不安定化・脆弱化させたり、プラークを進展につながります。

これまでの研究でカルシウムサプリメントを1400mg/day摂取した方は600~1000mg/day摂取した方と比べて、心血管疾患のリスクが増加したことが報告されています。

この研究では冠動脈疾患を有する患者で、カルシウムサプリメントの摂取が冠動脈石灰化に与える影響をcoronary intravascular ultrasound (IVUS)を用いて評価しました。

 

方法

IVUSを用いた9件の前向きランダム化試験(REVERSAL, ASTERIOD, SATURN, GLAGOV, NORMALISE, AQUARIUS, ACTIVATE, ILLUSTRATE, PERISCOPE)のデータを使用しました。

これらの試験からカルシウムサプリメントを摂取した447例、カルシウムサプリメントを摂取していない4700例のデータを用いました。

石灰化はgrade分類されました (0 = no calcium; 1 = calcium with acoustic shadowing <90°; 2 = calcium with shadowing ≥90° but <180°; 3 = calcium with shadowing ≥180° but <270°; 4 = calcium ≥270°)。

また石灰化のあるフレーム数や石灰化を認めた最大角度で規定されるcalcium indexを計算しました。

calcium index=(Total no. of analyzed frames with any calcium/Total no. of analyzed frames)×(Maximul arc of calcium/4)

カルシウムサプリメント使用の有無による percentage of atheroma volume (PAV)およびcalcium indexの変化が比較されました。

 

結果

参加者の平均年齢は58.2歳で73%が男性であり、43.4%が高用量スタチン投与を受けていました。

カルシウムサプリメントを摂取していた群は摂取していない群と比較して高齢(60.8 ± 8.6 vs. 57.9 ± 9.2 years; p < 0.001)で、女性が多く(57.3% vs. 24.4%; p < 0.001)、心筋梗塞既往は少なく(22.1% vs. 30.6%; p < 0.001)、アスピリン(95.1% vs. 91.2%; p = 0.005)およびワルファリン(5.8% vs. 3.8%; p = 0.03)投与がよりされていました。

一方、高用量スタチンの使用はカルシウムサプリメントを摂取していた群で有意に少なかったです(38.1% vs. 43.8%; p = 0.029)。

カルシウムサプリメントを摂取していた群は摂取していない群と比較してHDL-CやCRPが高く、LDL-Cやnon-HDL-Cは有意に低値でした。

PAVの年率変化には両郡間で有意差は認められませんでした(least-squares mean: 0.09; 95%CI −0.20~0.37 vs. 0.01; 95% CI  −0.27~0.29; p = 0.092)。

カルシウムサプリメントの摂取は、calcium indexの増加と独立して関連していました(オッズ比 1.15;95%CI 1.05~1.26;p=0.004)。

 

 まとめ

経口カルシウム補給は、アテローム容積の変化とは無関係に、冠動脈血管系におけるカルシウム沈着を増加させる可能性が示唆されました。

これらの変化がプラークの安定性および心血管系アウトカム及ぼす影響については、さらなる調査が必要です。

Oral Calcium Supplements Associate With Serial Coronary Calcification: Insights From Intravascular Ultrasound. J Am Coll Cardiol Cardiovasc Imaging. Aug 17, 2020.


最後までお読み頂きありがとうございます! よろしければスキ、フォローお願いします!