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【読書録】悪魔の審判 神永学

あらすじ

ミステリー界「無冠の帝王」が放つサイコサスペンス

闇を葬るために、闇になれ。我が身を顧みず人を守る男がここにいる。
カニバリズム、白骨化死体、議員自殺、カルト宗教団体・・・止まらぬ最悪事件の連鎖。自らを悪魔に貶める男と悪魔に縛られる者たち、最後の闘い。腐敗隠蔽止まぬ大組織と、孤立無縁の「特殊犯罪捜査室」。この「悪魔」は事件に引き寄せられるのか、自ら事件を呼ぶのか?

誰かの苦しみを共に苦しむことは、人間が人間であるからこそ生み出されてしまう悲劇であると同時に、希望にもなり得る。
これまでとこれから繋ぐシリーズ最大の転換点の作品。悲劇と希望と戦いはどのような決着を見せるのか?

感想

 悪魔シリーズの最新作がついにでました!前作の終わり方的に続きが出るのか微妙な感じだったので、刊行が発表されたときは狂喜乱舞しました笑。本作と完全新作を2つ、さらに八雲の新シリーズと神永先生、この20周年企画気合が入りまくってますね、、、!!ファンとしてはただただありがたいので、お体に気を付けながら、頑張っていただきたいです。
 さて本作は過去のシリーズ作よりさらに事件の内容が凄惨です。「悪魔」シリーズの名にふさわしく、人間の汚い部分や恐ろしい面をぶつけられているような感覚になりました。特に警察の闇をメインに扱っているシリーズであり、現代の社会システム=法律そのものの存在意義に疑問を投げかけるというのが大きなテーマになっていると感じました。この問いかけは最近読んだ中では「卒業生には向かない真実」にも共通する部分があったと思います。
 この悪魔シリーズの特徴は他の神永先生の作品よりも人間の闇の部分に徹底的に向き合っていることだと思います。八雲シリーズや天命探偵シリーズは大きな悪と向かい合いながらも、登場人物たちは前向きに人生を歩んでいきます。しかし、本シリーズの主人公の阿久津はすでに人を殺めている罪人です。そんな罪を抱える阿久津だからこそ、持っている能力も八雲や天命探偵シリーズのヒロイン志乃よりも身体への負担が大きいのではないかと思い至りました。他の主人公よりもより大きな業を持つ阿久津が最後どうなるのか?今後も悪魔シリーズから目が離せません!!
 


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