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秋の奇怪談。

それはまだ昭和の終わり頃の秋
高卒で就職した私は
安月給の中、自分で買った中古の軽自動車で通勤していました。

本当に古い車で
冬になるとセカンド発進しか出来なくなる様なオンボロ車でしたが、自由にどこにでも連れて行ってくれる翼を手に入れた様な気持ちでそれを大事に乗っていました。

その日も、仕事帰り道
日中の失敗に落ち込んで少々むしゃくしゃしていた私、大きめの本屋の存在に気がつきました。

令和となった今ではすっかり賑やかな街になりましたが、その頃はまだ家も店もまばらで、
田んぼの中にポツン ポツンと建物があるような時代。

その本屋もそんな店のひとつでした。

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