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「申し訳ない」をやめてみる

いつも頭をよぎってしまう「申し訳ない」という気持ち。

相手が自分のために何かしてくれても、「ごめんね、時間とらせて申し訳ない」と思ってしまうこの性格。

なんでだろう。

誰も得をしない、この思考。

「ありがとう!めっちゃ嬉しい!」の方が相手もよっぽど嬉しいのに。

私は「申し訳ない」と思うことによって何を守ろうとしているのだろう。


ところでよく言われている、「フランス人は謝らない」という話。

これは本当の話でした。

自分に何か非があって相手に迷惑をかけた時、事態が深刻であればあるほど、彼らはゼーーーッタイに謝らない。

フランス人の名誉のために補足しておくと、彼らは小さな頃から社交性が重視される環境で育っているので、公共の場での振る舞いにはものすごく長けています。例えば電車の中で体がぶつかった時には「Pardon !(すみません)」とみんなが相手の目を見て言います。
満員電車のような、人を人として扱ってくれないような集団圧力のかかる場でも、すごく人間的に扱われている気持ちになって感動しました。

公共の場では、むしろ、日本人の私の方がよっぽどぞんざいな態度で振舞ってきた。日本で、毎朝通勤ラッシュの中、みんながドミノのように人を押しのけて電車から降りたり、ぶつかっても謝るどころか舌打ちされるような社会で暮らしていた中で、自然とそうなってしまっていた。お店に入っても店員さんの顔も見ないし、自分から挨拶もしない。あぁ、最低・・・。

というわけで、公共の場でのマナーの良さと、それがより密な関係になった時の手のひらを返したようなフランス人のギャップに、ものすごく驚いたのでした。

この差はなんなんだろう?

思うに、フランス人は基本的にものすごく自分を大切にする人達なんだと思います。

例えば、ちょっと前にアルバイトの面接に行った時、面接官が1時間遅れてくるということがありました。

困りますよね。

でも面接に現れたフランス人は、特に謝りませんでした。その代わり、きちんとどうして遅れたのか説明してくれました。それがいいのか悪いのかの判断はここでは置いておいて。

これぞまさに、むやみに自分が悪いと思わない。「申し訳ない」を取っ払った思考。

それに比べて、私はなんと、「あぁ、忙しい時に面接してくれたんだなー、申し訳ない」と思っていました。

どんだけ卑屈やねん!


その気持ちの根っこは一体なんなんだろう。

思うに、自分が悪くないのに「すみません」とすぐに言ってしまったり、思ってしまったりするのは、自分を守ることを最初から放棄してしまっているということなんじゃないか?とりあえず謝っておこう的な、思考停止状態。そうすれば角が立たないし。

でも、自分のことを本当に大事にしていたら、自分のことを相手にわかってほしいし、簡単に謝って済ますよりも、事情をきちんと説明したいだろうし、どこからどこまでが自分の責任なのかを明確にしたいのではないだろうか。

私は、そういう対人的なやりとりを必要とするプロセスを避けて、より楽な解決に逃げていたんだ。

フランス人は対話を厭わない。きちんと時間をかけてわかりあうことを重視する。

私にかけていたのはその姿勢じゃないかなーと最近思います。

一体これまで何を恐れてたんだろう?

どうして何かあるとすぐに「あーすいません」と簡単に幕引きしようとしてしまっていたんだろう。

そうやって自分のことをぞんざいに扱ってきたツケは確実に回ってきて、仕事を辞めてしばらくは、立ち上がれないくらい疲れていました。そして今もモラトリアム継続中だし。

もっと自分を守ってあげていたらよかった。簡単に「申し訳ない」って思わずに、きちんと対話していたら、もっと良い風に変わった人間関係もあったかもしれない。

でも、何度も言うけど、治したい思考の癖は、自分で気づいた時には半分治っているそうです!

あとは自分の行動を修正するだけ!とりあえず、恐れず対話するところから始めよう。


パリのドタバタ日記はこちらです→
https://viequotidienne629.wordpress.com


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