3ヶ月後に振られる猫
この物語は
“ひとりの女子大生のひと冬の恋”を
描いたお話です。
主な登場人物
・私
都内に通うごく普通の女子大生。
サークルで出会った同い年の後輩が推し。
・彼(私の推し)
熊本から上京してきたちょっとミステリアスな男子大生。一浪していていて私と同い年。
出会った当初は俗に言う“陰キャ”?。
大2の夏から1年の海外留学に行く。
1年遅く入学してきた彼を私が自分の所属するサークルに誘ったのが2人の出会い。
共通の知り合いがいたわけでもないし、
2年生になったばかりの4月の私が新入生の勧誘に慣れているはずもない。
それなのに衝動的にどうしても彼に声をかけたくなったのだから、
今思えばあれは私の一目惚れだったのだと思う。
彼の誕生日は七夕の日に近く、
そして彼は七夕に生まれてこれなかったことをすごく悔しがる。
なんでそんなに?と周りに問われると,
真剣な顔をして「だって織姫と彦星が1年に1度だけ会える日って相当特別じゃないですか。」
と答えてしまうような人だった。
その場にいたみんなは、彼を結構なロマンチストだと笑っていじっていたけれど、端っこで私は彼の思想に惚れ惚れしていた。
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私と彼は話もよく合うことから月日を追うごとにどんどん仲良くなった。
どのくらい仲良かったかというと、
同期の中で彼に熊本弁を使ってもらえるのは私だけだったのだから、そりゃあもう仲良しこよしだ。
( 彼は学年の上下関係にとても忠実だから、たとえ同い年でも先輩には敬語だった。敬語では方言が出ないので、熊本弁で話してくれるようになるということは、すごく仲良い証拠なのだ。)
周りの人からお似合いだと言われたりもしたが、
私はなぜか引退するまでサークル内の人と恋愛をしたくないと思っていたし、そんなようなことをずっと公言してきていたため、彼のことも恋愛対象ではなく、
あくまで“推し”というような認識だった。
でもある日、
サークル仲間との会話の中で私がぽろっと
「彼みたいな人がサークルの外にいたらな」
と言ってしまったことをきっかけに、
私の知らないところで私と彼をくっつけようとする“くっつけ隊”が発足していた。
(余談) 後にくっつけ隊員同士がくっつくという、よくある展開もちゃーんと予定通りあって、勝手に私は恋のキューピットになった。
そんなくっつけ隊は日々私の恋心をくすぐってきた。
“留学へのカウントダウン”などを利用して、
時間はないぞと、いいのかそれでと、
彼みたいな人がいいってそれは、彼でええやん!と、そんな感じのたたみかけをされた。
その後押しにまんまとはまっていった私は、
推しを恋愛対象として少しずつ意識し始めることになる。
そしてその想いが加速してしまったのが
その年の12月。
私は彼と忘れられないクリスマスを過ごすことになる。(記事にすると4000字超え)
そしてどんどん本気で彼に恋をしていってしまう...。
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“ひとりの女子大生のひと冬の恋”とは
ざっとそんなお話なのだが、
この物語の結末はかなりショッキングだ。
ここで1度この記事のタイトルを思い出してほしい。
『3ヶ月後に振られる猫』
そう、、、
私は3ヶ月後の3月に振られてしまうのだ。涙
でも、「猫」、、??
その答えは、彼が私を振った時の言葉にあった。
( 実は2月に手紙を渡して告白をしていたので、1ヶ月間黙って私は彼の返事を待った。
もちろんその間も一緒に出かけたりした。)
そして1ヶ月越しにやっと彼が伝えてくれた言葉がこれだ。
彼:すごく好きなんだけど...
猫なんだよね。
... 猫なんだよね
?!?!?!?!?!?!?!
私のハートに大きな石が投げつけられた。
パリンと割れる音を彼に聞かれたくなくて
ごまかすように私は精いっぱいに笑った。
私:アハハハハハ
て、哲学のお話してます ⁈
つまりそれは..
彼:...うん。今は付き合えない..かな
サークルの1年分の思い出に加えて、
サークルの外でも思い出を重ねていた私たち。
でも、どうやら彼にとって
思い出の中にいる私は「猫」。
当時の私は、いつ彼からご飯やお出かけに誘われても飛んで行けるように、アルバイトのシフト希望を出すときも相当にらめっこして、スケジュール表にけっこう空欄を作っちゃったりした。
そんなのもすごく惨めに思えてくる。
ご飯に誘うのは「餌づけ」で
遊んでいる時間は「じゃれあい」だったか。
そうか。。
私は彼というご主人様のもと
コロコロ飼われていたわけか。
(この時の感情に身を置くとこんな言葉しか出てこないけれど、有限な時間をたくさん私に割いてくれていたと考えると、大切に飼われていたとは思う。)
しょげにしょげた3月だった。
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そうしてこの物語は
3月で終わりを迎える
...と思いきや、
1度愛情たっぷりに飼われた私は
なかなか彼を離れることはできなかった。
結局 “ひと冬の恋” で終われなかったのだ。
振られたあとも私は彼の猫として生きた。
そのおかげで、
彼が留学に飛び立つギリギリまで
近くにいることはできた。
そして、彼は私を猫のまま残して
その年の夏 アメリカへ行ってしまった。
我ながらいい子にお留守番をしていたと思う。
でも私の元に彼が帰ってくることはなかった。
そして
“1匹の猫のひと冬の恋”はその後
1年以上かけてじんわりと終わりを告げたのだった。
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あとがき
“ 猫なんだよね ”
あの日に言われたこの言葉は
後にも先にも忘れることができない。
その時抱いた感情は複雑にからまっていて
言葉で言い表すのが難しい。
あの感情に今、名前をつけるなら何だろうか、、。
「 友達 ≦ 猫 < 恋人 」
( 友達以上恋人未満 は「猫」である。 )
方程式の丸飲みだった。
理解なんか何1つしていないのに、
教えられた方程式をごくりと丸飲みして
その場を乗り切っていたんだよな、あの時の私は。
ここ、テストに出るからね〜
と誰かに言われたわけではないけれど、
この方程式を覚えておけば、きっともう
次のテストで傷つくことはないと思ってる。
でもできることなら
もう猫として過ごす恋はしたくないな..。
きっと今日も目には見えない裏側の世界で
私のような猫は生まれていると思う。
もしかしたらこれを読む貴方も
誰かの猫だったりするのかな。。
すごく共感します..
ご主人様はとても優しい。
でも、それは貴方が猫だからなのかもしれない。
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「本気になった方が負け。」
そんな言葉をときどき耳にするけれど、
最終的にどっちも本気になって優勝しちゃう未来は用意されていないのでしょうか?
あったら毎日祝杯をあげるのにな、、
どうかどうか未来に幸あれ。
- 終 -
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ここまで読んでくださった貴方に
心からありがとう存じます𓍯
そして1つだけお聞かせいただけたら嬉しいな〜なんて...
もし『3ヶ月後に振られる猫』の特別号があったら読んでくださるのでしょうか。
ちなみにその特別号は
「猫にとって忘れられないクリスマスのお話」です。
(当初はこちらを本編にしようかと思っていたのですが、このクリスマスを語ろうなら
4000字をはるかに超えてしまうので、さすがに本編としてはボツとなりました。)
もしも公開する運びとなった時は
また覗いてくださると嬉しいです。
改めて、皆さんの未来にたくさんの幸あれ𓍯
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DISH// の「猫」をお預かりしました。(通常のバンドver.も是非)
この歌を聴いていると
彼は彼で “野良猫” だったのではないか..
なんて説も浮かんできます。
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